外伝 キュードラ 愛の詩3
「フォージュリー様、3人共、同じ罠に引っかかってますね…… 」
フォージュリーはワナワナと身体を震わせた。
「馬鹿供が!!開始から悲鳴までの時間で、最初のジャンプの後に罠があるのは明白。にもかかわらず無様な真似を……彼らは戻って来たら地獄の特訓です !!」
フォージュリーの剣幕に皆が震え上がる。そこで前に出るメレッド。
「それで如何なさいますか? 」
「そうですね。最初の罠がバナナの床ならば、炎熱系の方に行ってもらいましょう。ジャンプする前に燃やしてしまいなさい。では貴方、お願いします 」
「はっ!!」
真っ赤な魔族が入り口に向かった。
「リアルタイム、シチョウ、50マンG。ドウスル? 」
「くっ……アコギな商売を……」
手が震えるフォージュリー。
「フォージュリー様、私に策があります。ここは払いましょう……」
ニヤリと笑うメレッド。
メレッドさんは魔界秩序管理局随一の知恵者……彼がそう言うなら間違いないでしょう……
「わかりました。ゴーレムさん。50万Gを払いますので、リアルタイムでお願いします 」
「マイドアリ……」
ゴーレムの水晶玉がステージ1の映像を写しだす。真っ赤な魔族は大量のバナナの床に立っていた。
「ふふふ……私の見る目は確かでしたね。彼ならば、このアコギなゲームをクリアしてくれるでしょう 」
一歩ずつ慎重に歩を進める真っ赤な魔族。大量のバナナの床を突破した。
床の安全を確認し、次のアトラクションに向けて走りだす真っ赤な悪魔。すると、直ぐに次のアトラクションにたどり着いた。
幅一杯の深い穴が空いており、細い棒が出ているが、先は霧で隠れていて見えない。
「フォージュリー様……」
「あぁ、室内に霧。罠ですね……しかし、最初の罠をクリアした彼ならば慎重に進んでくれるでしょう 」
真っ赤な悪魔は壺を抱えながら、慎重に棒の上に足を乗せる。何回か踏みしめて安定性を確認する。
「フォージュリー様……」
「さすがですね。え〜、名前は忘れてしまいましたが、彼は非常に優秀です 」
真っ赤な悪魔は細い棒をゆっくりと進み、霧の中に入って行った……
皆の視線がゴーレムの水晶玉に集中する。
「うわぁあぁあぁ〜っ!! 」
ヒューン
ガシャーン。
BAD END
〜いきなりゴキブリが現れたからといって、ビックリしすぎです。落ち着いて対応しましょう〜
メッセージが浮かび上がり、画面は暗くなってしまった。
「え……」
唖然とする隊員達。
「きぃ〜っ!!上級魔族とあろう者が、ゴ、ゴキブリに驚いて足を踏みはずすとは!! 」
フォージュリーの背後に現れる白い影。
「フォージュリー様、私にお任せを……」
片眼鏡、白衣の三つ目の魔族が現れた。
「おぉーっ、魔族領随一の昆虫博士の貴方なら、小虫一匹に驚くなど無いでしょう 」機嫌を直すフォージュリー。
「ふふふ、私、ビートゥールにお任せ下さい。強力な殺虫スプレーを持参しております。たとえ巨大なゴキブリが出ようとイチコロです 」
ゴーレムが、ビートゥール博士の背後にこっそり近づいた。ブンと手を振って殺虫スプレーを奪う。
「オマエバカ!! ソンナモノ、デナイ。キュードランド、タノシイ、ユメノクニ 」
「え……」
「ちょ、ちょっと待って下さい。変な虫が出ないならスプレーを取らなくても良いではないですか 」
ゴーレムはビートゥールを睨みつける。
「オマエ、タノシイ、ユメノクニニ、フサワシク、ナイ。シッカク 」
「えっ……」
「ゴキブリ、イジメル、ダメ。バツトシテ、ニュウジョウリョウ、ネアゲシマス 」
「にゅ、入場料なんてあったのですか? 」
フォージュリーがゴーレムに詰め寄る。
「ユメノクニ、イジスル、カネカカル。デモ、トクベツニ、サービスシテタ。デモ、ゴキブリ、イジメタ。ユメノクニ、サービスオワリ。ニュウジョウリョウ、ヒトリ、100マンG 」
「ちょ……」
「モンクイウ、サラニ、ネアゲ、シマス。ドウスル 」
「くっ……」
怒りのあまり、手が震えるフォージュリー。
「フォージュリー様、落ち着いて下さい……こちらに……」
メレッドが離れた位置から手招きする。フォージュリーはメレッドの元に向かった。メレッドはフォージュリーの耳元で小さな声で囁く。
「キュードラの首さえ取れば、憎っくきゴーレムから金を奪い返せば良いのです。それまでは我慢しましょう。魔界秩序管理局の予算で一時的に立て替えてしまいましょう 」
「……さすがですね、メレッドさん。その作戦でいきましょう 」
フォージュリーとメレッドはゴーレムの元に戻った。
「わかりました。すみませんでした。入場料、1人100万G払いましょう 」
フォージュリーは頭を下げて謝罪した。
ゴーレムは目を見開いた。
「オマエ、リッパ。オレ、カンドウ 」
「おぉーっ、ゴーレムを感動させるなんて……」
「さすが、フォージュリー局長!! 」
「ふふふ、大した事では無いですよ 」
満更でも無さそうなフォージュリー。
「トクベツニ、サービスパック、ショウカイ。100ニン、マトメテ、1億G。セットデ、リアルタイム、シチョウ、ツイテクル 」
「え……」
「デモ、ダイキン、サキバライ。イマダケ、ダイ、サービス 」
くっ……どうする……早めにクリア出来たら丸損。しかし、リアルタイム視聴ができるのはありがたい……
「さ、先払いしたら、途中で値上げは出来ませんよね? 」
「アタリマエ、トチュウ、ネアゲ、ヒドイ。オレ、ソンナ、ヒドイコト、デキナイ 」