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外伝 キュードラ 愛の詩2

 キュードラ暗殺部隊は海を渡り、山を越えて、人里離れた山の中にある軍の捕虜施設の前に到着した。


 入り口では二体のゴーレムが警護していた。


「フォージュリー様、破壊しますか?」

 充血した一つ目の悪魔が聞いて来る。


「メレッド君、多くの暗殺者が失敗してきたのです。慎重に行きましょう。いざとなれば我々全員で施設を制圧すれば良いのです 」


 フォージュリーは後方にいた若い悪魔達を指名する。「君達、ゴーレムを無視して入り口から侵入してみて下さい 」


「了解しました!! 」


 3人の悪魔がゴーレムを避けて入り口から侵入した。鈍いゴーレムなど相手では無い。我々は上級魔族、魔王軍の最精鋭だ。


「ふふふ、彼らは若手の有望株です。彼ら3人だけでキュードラの首を持ってくるかも知れません 」


「キュードラなど、もはや過去の人。あっという間に倒してくるかも知れませんな 」


「はっはっはっはっはっ……」

 キュードラ暗殺部隊の高笑いが響き渡る。


 タタタタタタタタ……

 先程の3人が駆け戻って来る。1人は30㎝ぐらいの壺の様な物を持っている。


「どうしたのだ、君達。その壺にキュードラの首が入っているのかい? 」


「いえ、入り口の中に扉がありまして、その横にツボと、張り紙がしてありまして、


 ①1回の面談は1人ずつになります。

 ②面談中は壺を離さずにお持ち下さい。

 ③壺を割ったり、落としてはなりません。


 いかが致しましょうか?フォージュリー様 」


「よくわかりませんが、仕方がありません。貴方から順番に行って見て下さい 」


「はっ!! 」

 3人が戻って行った。


「フォージュリー様、これは一体何なのでしょうか?」


「わかりませんね……変人との呼び声の高いキュードラです。何を考えているのやら……」




「うわわわわ〜っ 」


 ガシャーン!!



「ひぇええ〜っ!!! 」




 シーン……


「フォージュリー様……今のは一体? 」

「さぁ、ただ、どう考えても問題発生ですね 」



「ひゃああああ〜っ 」


 ガシャーン!!



「うわわぁ〜っ!!! 」



「これは……罠ですね……」

「フォージュリー様、キュードラは確か罠の名手として有名でした……」

「私も知っていましたが……キュードラの事だから大したことは無いと思っていましたが……」


「うぉおお〜っ!! 」


 ガシャーン!!



「ひぇええ〜っ!! 」



 シーン……


 

「3人とも失敗したようですね……」

「いかが致しましょうか? 」

「明らかな罠の中に情報無しで入るのは危険ですね……」


 その時、ゴーレムが喋った。

「ジョウホウ、ナラ、アル。タダシ、10万Gカカル……ドウスル ? 」

 *1Gは1円換算


「フ、フォージュリー様、いかが致しますか? 」

「……罠の可能性もありますが……10万Gくらいなら捨てた気で払って見ましょう 」


 メレッドは財布から10万Gを出してゴーレムに渡した。するとゴーレムの腹がぱかっと割れて水晶玉が出て来た。


 水晶玉に画像が映り出した。


「ステージ1? 」

 フォージュリーは左上に書かれた文字を読んだ。


 すると、画像の中ではドアが開いて、壺を持った若い悪魔が出てきた。


「これは先程の映像ですか……」


「1カイハ、ナガサ100メートル、ハバ10メートル……オクノ、デグチ、ツク、クリア 」


 フォージュリーとメレッドは画像を凝視する。床に幅いっぱいの大きな穴が開いている。床の高さも違う様だ。


 タンタンと軽快な音楽が流れ始め、戸惑う若い悪魔。

 しかし、この場に居てもラチがあかない。


 覚悟を決めた若い悪魔は、壺を持ったまま、ぴょ〜んとジャンプした。あの程度の穴、高位魔族にとって屁でも無い。


 穴を超えて着地する悪魔、しかし床の上には大量のバナナの皮。バランスを崩した悪魔は「うわわわわ〜っ 」と悲鳴を上げて壺と一緒に倒れこんだ。


 ガシャーン!!

 青ざめる悪魔。


 BAD END


 〜ジャンプする前に着地予定場所の確認をしましょう〜、の文字が浮かび上がり、水晶玉が暗く染まり映像は消えた。


「え…… 終わりですか? 」


「ソウダ、ツギ、ミタケレバ、10マンGハラエ 」


「なっ…… 」

「アコギな商売を……」

 騒めく悪魔達。


「いかがなさいますか?フォージュリー様 」

「仕方ありません。払いましょう。有益な情報なのは間違い無いようです 」



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