天の絆編3
「一斉に襲い掛かるワータヌキの大群。テッドとアライブの最大のピンチですじゃ……」
「ちょっと待ってくれ。アライブがテッドを肩車した状態なら『尻から火が出て大回転 二重奏』で……」観衆の一人が口を挟んだ。
「その通りですじゃ。一刻も早く大魔王エタールを倒す為に、疾風の英雄 アライブはテッドを肩車したまま駆け続けていたんですじゃ 」
「おぉーっ、さすがアライブさんだぜ 」
「疾風と言われるだけあるな 」
降ろしてから走った方が早いと思うけど……水を差すのは悪いので沈黙するエイマとココ。
「そして壮絶なバトルが始まるのですじゃ……
『行くぜ!!アライブ!! 』
『おう!! 』
テッド『尻から火が出て〜!! 』
アライブ『大回転〜っ!!』
テッド&アライブ
「『二重奏!!』」
二人は同時に尻から火を出して回転を始める。ポン吉に2本の極炎が迫る。誰もがポン吉の最後だと思った時じゃった。
ぴょ〜ん
ポン吉はその場で大きくジャンプした。
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
極炎に迫られて、次々とジャンプするワータヌキ達。
『なっ!! 』
回転しながら驚くテッド&アライブ。
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
ぴょ〜ん
まさにその場は、大なわとびの会場と化した。極炎が迫るとぴょ〜んとジャンプするワータヌキ達。
『ふふふ、みんな。ジャンプしながら少しずつ近づいて行くんだ。尻からの火が当たらなければ、こわくないぞ 』ドヤ顔のポン吉。
ぴょ〜ん、ぴょ〜んとジャンプしながら近づいて行くワータヌキ達。2本の火が出ていようと上下では意味が無い。このままでは負ける。その時、アライブは動いた。
『テッド!!僕の顔にしがみつくんだ!!前後に火を放てば死角は無い!!』
『し、しかし……』
照れるテッド。
『僕が犠牲になる。僕が我慢すれば済む。このままでは終わりだ 』
『わかった 』
アライブの顔にしがみつくテッド。
『行くぜ!!アライブ!! 」
『おう!! 」
テッド『尻から火が出て〜 』
アライブ『大回転〜っ!! 』
テッド&アライブ
「『 交響曲 満月!!』」
『ウォオオオオ!! 』
早く終わらせなければ、鼻がダメになってしまう。アライブは最後の力を振り絞って回転する。その円の軌道は、欠けたる物無き満月の様じゃった……
『ぐわぁ 』
『ぎゃあ 』
『火、火が〜 』
極炎に巻き込まれるワータヌキ達。ポン吉は味方の被害を見て即断した。
『ダメか……みんな、撤退だ。急いで、そこの湖に飛び込むんだ 』
出来る男、ポン吉は戦場を湖畔に設定しておった。尻から火が出て大回転を警戒しておったんじゃ。
『逃げろ〜 』
『急げ〜』
『早く〜』
我先にと湖に向かうワータヌキ達。テッドとアライブは大魔王軍特務部隊10万をたった2人で撃退したんですじゃ……」
ばぁやが皆を見渡す。
「それがこのカード『尻から火が出て大回転 交響曲 満月』ですじゃ 」
「おぉーっ!! 」
「なんだよ!!すげーカードじゃねーか!! 」
「このカードが意味するのは、忍耐、友情と自己犠牲ですじゃ。デッキにたった1枚しかないレアカードですじゃ 」
ばぁやはエイマを見た。
「尻から火が出て大回転 二重奏の完全版で、ばぁやの勝ちですじゃ 」
「ニャア 」
「そ……そんな 」
うなだれるエイマ。
「心配せずとも良いですじゃ。エイマや、占って進ぜよう 」
ばぁやはカードをむむむ、むむむむむと見つめる。