エタール討伐パーティ2
一際大きく、美しい網目状の斑紋の入ったリザードマンが現れる。
「ペレンティ様、この者達が勇者アライブを捕まえた、大魔王様直属の秘密部隊ロマンスグレーの者だと 」
「ロマンスグレー?……なんだそれは 」
ペレンティの目がギロリと動く。
「おおっ、貴方が噂のペレンティ将軍ですか 」
ニコニコしながら前に出るデュラ。
「なんだ、貴様は? 」
「大魔王様直属の秘密部隊ロマンスグレーの隊長、デューラと申します 」
「秘密部隊ロマンスグレー?そんな物は聞いた事が無いぞ 」ペレンティ将軍は訝しげな目で睨みつける。
「私は貴方を知っていますよ 」
「何? 」
「エタール様は、貴方の活躍を高く評価されております。今は将軍だが、近いうちに大将軍にすると 」
「なっ……」
「期待しているぞ、との事です 」
ニコリと締めるデュラ。そしてヤーフルに目で合図を出す。
バッ!!
ヤーフルが前に出て両手で巻物を広げて掲げた。
そこには『秘密部隊ロマンスグレー隊長の言葉は余の言葉。エタール』と立派な文字で書いてあった。
「エタール様から拝領したお言葉である。図が高い。
控えるのだ!! 」
「ははーっ 」
ひれ伏すペレンティ。
『えっ?』と立ち尽す部下達。
「ペレンティ将軍、貴方の部下達はエタール様のお言葉に従いません。反逆罪になりますよ 」
悲しい顔で囁くデュラ。
「す、すみません。おい、お前ら、エタール様のありがたいお言葉に従うのだ。俺が大将軍になったら、お前らも出世するんだぞ!! 」
「『「『「ははーっ」』」』」
一斉に土下座するリザードマン達。
「一糸乱れぬ見事な土下座、見事なり。皆さん、顔を上げて下さい 」
土下座したまま顔だけ上げるリザードマン達。
「私達は敵将アライブをエタール様の元に連行していく途上です。エタール様に拝謁したら、貴方達も遠からず出世させる様に伝えましょう 」
「『「『「ははーっ 」』」』」
リザードマン達は再び頭を下げた。
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「いや〜、上手くいきましたね。皆さん 」
「はい、見事な演技でした 」
笑顔で答えるガングロヤーフル。
「それだけじゃない……」
アライブが小さな声で呟く。
「わかっています。アライブさんの演技も見事でしたよ 」
「そうですよ、僕はアライブさんが本当に捕まっている様に見えましたよ 」
「いや……演技も大事だけど……そういう事が言いたいんじゃないんだ 」
「と、言いますと 」
「大魔王エタール国は独裁国家だ。法では無く、強い者の意向で全てが動く、何でもありなんだ。だから秘密部隊ロマンスグレーなんて嘘を信じてしまうんだ 」
「その通りですね。力のある者がやりたい放題してるからこそ、実際に何でもありだと部下達も思っているのでしょう 」
「まぁ、エタール様から拝領したお言葉である。図が高いで、将軍さんは直ぐに土下座しちゃったからね。僕はビックリしちゃったよ 」
「エタールは何をするかわからない、とペレンティ将軍は知っていたのでしょうね。そして、それこそがエタールの恐ろしさであると 」
「エタールを倒そう。この狂った世界を終わらせよう。人々が安心して暮らしていけるように。それが僕達の仕事だ 」
アライブは2人を見る。
デュラとヤーフルが強く頷いた。