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魔法戦艦グレートグレティ編4

 敵と味方が入り乱れて戦う戦場の片隅で、一匹の大きな蚊がひっそりと(たたず)んでいた……


「ワイの出番はまだまだやで……」

 迷彩機能を使って大きな蚊に偽装しているスキュポスである。ウルフンは戦局を決定出来る機会を密かに待ち続けていた。




「そろそろかしら……」

 グレティ姫は白式の魔力メーターを確認する。白式は魔力消費が大きい代わりに、水蒸気を魔力に変換出来る機能を搭載している。雲の中を駆け巡って水蒸気をかき集めていたのである。


 雲から飛び出した白式の前方に暗黒竜ブラドラが現れた。ブラドラは即座に破壊のブレスを放つ。


「ちぃっ!! 」


 全力で急上昇してブレスを躱す白式。ブラドラも急上昇して追いかける。




 その頃、ブレインマッスル ウィザーズ空挺部隊は、逃げ出したガーゴイル達を追撃していた。


 スピードでは勝る空挺部隊だが、ガーゴイル達は微妙に散りながら逃げるので中々殲滅出来ない。


 そしてブレインマッスル ウィザーズ空挺部隊を後方から追尾するのは、ブラドラ配下のブラックドラゴン編隊、通称ブラドラ編隊である。


 ブラドラ編隊は空挺部隊の後ろから破壊のブレスを撃ちまくる。


 しかし、ブレインマッスル ウィザーズ空挺部隊にスピードで負けているのと、目標の小ささのせいで当たらない。


 更にブラドラ編隊の後ろからは、魔法戦艦グレートグレティが現れる。ニョキニョキ生えた手から攻撃魔法を前面に向けて撃ち続けていた。


 たまに魔法が、ブラックドラゴン達のお尻や尻尾に命中する。「痛っ!!でも、それよりキモい……」

 ブラックドラゴン達はキモい戦艦から逃げ続ける。



 ブラドラは白式を追いかけながら、部下達の気配を探る。遠く下の方から騒めきが聞こえる。騒めきの方を見るとブラドラ編隊がキモい戦艦から逃げている姿が目に入った。


「あの船を落とせばワイらの勝ちやないか 」


 ブラドラは白式を追うのを止めて、キモい戦艦にターゲットを定めた。急降下による奇襲。それで決まる。


 ギュンと方向転換したブラドラはグレートグレティに向けて猛スピードでの突進を開始した。


「なっ!! 」

 ブラドラの急降下に気がついたグレティも機体をギュンと方向転換し、急降下を開始する。



 ビーッ!ビーッ!ビーッ!

「上空より巨大な敵接近!! 」


 艦内に警報音が鳴り響く。黒衣が魔法センサーで確認をすると上方より急降下してくる巨大な敵反応。


 各人の魔力の消耗が激しいので、交代で砲撃役を務めさせていたが、そんな事を言っている余裕はない。休憩中の部隊も迎撃に向かわせなければ……


「休憩中の第3班!!上方の砲撃を頼む。巨大な敵接近!! 」


「『「『「了解!!(ラジャー)」』」』」

 急いで上階に向かう第3班。


「上空より、エネルギー波接近。着弾まで15秒! 」

 管制担当が叫んだ。


「総員!!面舵いっぱい!!急げ!! 」


「『「『「了解(ラジャー)!! 」』」』」

 エンジン担当だけで無く、攻撃班も右に進路を全力で向ける為に最大級の魔法を放つ。


 急速に進路を右に曲げる魔法戦艦グレートグレティ。そこにブラドラの破壊のブレスが衝突する。


 ガガガガガガガガガガ!!!とブラドラの破壊のブレスが左舷をわずかに掠っていった。


「左舷わすがに被弾。損傷軽微 」

 整備担当がホッとした声を出した時だった……


「巨大な敵反応!!突っ込んで来ます!! 」


 ニョキニョキと生えた手から出る魔法攻撃をくらいながら躊躇なく突進するブラドラ。

 そんな魔法ぐらい我慢できるんや。ワイは男やで、このスピードで突っ込んで体当たりすれば終いや。


 魔法戦艦グレートグレティが目の前に迫る。


 上空から急降下してブラドラを追うグレティは、手詰まりとなった事に気がついた。魔法メガランチャーを撃てばブラドラと一緒に船まで破壊してしまう。


 ブラドラがグレートグレティに迫る。船は何度でも作れる。しかし仲間たちは……ブレインマッスル ウィザーズの仲間達を失ったら取り戻せない。


「だ、誰か!!止めて……お願い……」


「ワイに任せるんや!! 」

 ウルフンの叫び声が響き渡る。迷彩してグレートグレティの上でずっと休んでいたスキュポスが遂に姿を現した。



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