表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/196

作戦本部編3

「テッド様より緊急入電。ファイヤーパンツに不具合発生。至急、替えのパンツを頼むとの事!! 」


 ほっとするアライブ。


「不具合とは何なんだい? 」

 平然と聞き返すメガネ君。そんな事、聞かないであげてよと思うカシュー。


 ドタドタと走りさる音が聞こえる。おそらく聞きに戻っているのであろう。


「テッド様に何かあったら……僕は生きて行けない…… 」青ざめるヤーフル。


 ドタドタと戻って来る音がする。


「た、多少、匂う気がするとの事……至急、至急、替えのパンツを求むとの事です 」


 ヤーフルの顔色が戻る。


「ふふふ、仕方ないなぁ。僕が持って行って上げようかな 」ニヤニヤするヤーフル。


「すまない、ヤーフルさん。君にはエタール討伐の使命があるし、エルフの隠れ里で兄上が待っておられる 」


「ウィッテ兄さんか……100年前の大戦の時に、まだ幼かった僕をウエスタン大陸に逃してくれた……」


「エルフの長のウィッテさんは、セントラル大陸中の森を移動しながら、大魔王軍に対する抵抗活動をしているんだ。ただ近年は大魔王軍の締め付けが厳しく苦戦しているらしい。ヤーフルさん、君の力を貸して欲しいとの事だ 」


 ヤーフルの表情が引き締まった。

「わかりました。命の恩人である兄様の力になれるのならば仕方がない。私はエルフの隠れ里に参りましょう 」




「なぁ、メガネ君。俺たちマカデミアナッツはどうするんだ? 」


「カシュー、僕達、マカデミアナッツは城壁地帯の防衛だ。僕達の役目は最悪の場合にも負けない為の盾なんだ。天の(ヘブン)(コーネクシオ)があれば、ミズガルノズの大蛇ですら城壁地帯は突破出来ない。僕達の役割は城壁地帯を守り、リヤ様やココを守りきる事なんだ 」


「わかった 」

 カシューが頷き、アーモンとヘーゼルが続いた。



 ドンドン!!

 再びドアが激しく叩かれる。


「どうした!! 」

 メガネ君の鋭い声が飛ぶ。緊急事態か?


「テッド様より『早く、早く、パンツを ……パンツの替えを……』との事です 」


「済まない。すぐに手配すると伝えてくれ 」

「畏まりました!! 」

 伝達員はドタドタと戻って行った。


「ところでメガネ君、アライブはSランク勇者だし、ヤーフルさんもビーゴ砂漠の謎の魔王だ。強いのはわかる。しかし、たった2人で敵地の真っ只中を向かうのは危険じゃないか。さすがに無理がないか 」


「カシュー、君の言う事もよくわかる。だから強力な助っ人を呼んであるんだ。出発までには間に合うはずだから心配はいらない 」


「強力な助っ人? 」


「あぁ、僕が一緒に旅したいくらいさ。きっと面白い事になるぞ 」


「メガネ君、メガネ君。地、地が出てるぞ 」

 カシューが肘でメガネ君の脇腹をつつく。


「すまない。さすがの僕も今回のミッションは大変なんだ。ストレスが溜まってしまってね。つい、地が出てしまった 」


「まぁ、多くの人々の命がかかっておるからの。仕方ない事ではあるわい 」


「ところで……」

 アーモンが前に出る。


「わかっている、アーモン……ヤーフルさんとアライブ君の出発は3日後だ。それまでに助っ人は来るはずさ 」


 ・

 ・

 ・

 ・


「ココさん、これを……」

 エイマがノートの束をココに差し出した。


「これは……」


「100年の間、多くの人々が天の(ヘブン)(コーネクシオ)の習得に挑戦して挫折しました。その人達が残した研究の記録です 」



 ココは受け取って、古びれた1冊のページを開いた。そこにはぎっしりと文字で埋め付くされていた。


「リヤ様は天の加護を受けた結界の賢者。生まれつきの才能で天の(ヘブン)(コーネクシオ)を習得されました。

 しかし、その後は他の誰も使用出来なかった。リヤ様の前は、更に30年前に亡くなられた賢者様が使われたと記録されています 」


 ページを進めるココ。


「もしかしたら天の(ヘブン)(コーネクシオ)を習得出来るのは、現世に1人だけかも知れません。でも、それでは次の修得者が出る前に国が滅んでしまうかも知れない。だから無理を承知で多くの先人が挑戦したのです 」


 ココは一心不乱にページを進める。


「ふふ、私もこのノートを受け取った時は、他の何も目に入らなくなりました。先人の積み重ねた努力は挫折では無くなりました。今、貴女に辿り着いたのですからね……」



 エイマは『私の書いたページに着くのはいつかしら?』と思いながら、一心不乱にノートを読み続けるココを見守り続けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ