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撤退開始編2

 街道中部〜


 街道の横の平原を北上しながら、避難民に向かう魔物達を排除してゆく勇者達がいた。パーフェクトオーダーのリーダーであるライルが率いる騎士王国の援軍の第1陣である。


「リーダー、ゾンビの連中は一掃出来たみたいだぜ。こちらの被害は死者はゼロで、軽傷が10人くらいだってさ」シーフのパルンがライルの側に寄る。


「そうか、怪我人の治療とゾンビ毒の浄化が終わり次第出発しよう。それまで一旦休憩だ 」


 アンジーや同行のモンク達が怪我人の治療をしている。休憩とは言え、戦場で警戒を怠る事は出来ない。それぞれが自然と外側を警戒出来る位置で座りこんだ。


 ライルがダースクの方を見てみると、ダースクは弓の手入れをしていた。ダースクの顔が上がり、こちらを見る。どうやら気が付いたようだ。


 ライルはダースクの横に行き、座りこみ剣の手入れを始めた。


「リーダー!!、緊急事態の狼煙が!! 」

 パルンが駆け寄って来る。


「街道の反対側か……」

 ダースクは素早く位置を特定した。道の反対側に行くには南下する人の流れを超えなくてはいけない。


「厄介だが仕方がない。俺とダースクで先行する。パルン、お前は皆の準備が整い次第、皆を率いて来てくれ 」


「わかった!! 」


 ・

 ・

 ・

 ・

「あれか!! 」


 山の様な巨大な死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)が、避難民達に糸の網をかけて引きずっている。


「ダースク!! 」


 ダースクは黙って弓を放った。放たれた矢は糸のまとまった部分に命中する。糸が切れて網がほどける。


 ライルはスピードを落とさずに死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)に突進する。網状の糸を放って迎え撃つ死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)


「風神剣 !! 」

 ライルが駆けながら左手の剣を振ると、突風が巻きおこり、網が吹き飛んで行く。


 近づいたライルに死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)の脚が襲いかかる。


 ライルは襲い掛かって来た脚に飛び乗って駆け上がって行く。近づけまいと放たれる蜘蛛の糸を風神剣で吹き飛ばす。


 蜘蛛の頭にたどり着いたライルは右手の雷神剣を振り下ろす。


「雷神剣!! 」

 死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)の頭を雷を纏った剣が貫いた。


 ギャアアアアァ ……悲鳴を上げる蜘蛛の頭を貫いた雷が発火する。蜘蛛から飛び降りるライル。風神剣で風に乗り、離れた位置にゆっくりと着地した。


 腐敗した身体が燃え上がり崩れてゆく死の蜘蛛(ゾンビスパイダー)。それを見つめるライルの元に

 ダースクとパルン達がやって来た。



「すげーな……リーダー。それが噂の風神剣と雷神剣か 」パルンがマジマジとライルの剣を見る。


「あぁ、師範から拝領した2本の秘剣。風を操り機動性、防御に優れた風神剣と、雷を操り破壊力に優れた雷神剣。この2本の秘剣を使いこなせれば……俺もテッドorアライブやミーネに負けられないからな 」


「リーダーは努力家だな。まさかセントラル大陸に来て、着いた当日に剣の達人に弟子入りするなんてびっくりしたぜ 」


「あれほどの達人の剣を見てしまったらな…… 」


「無限流最高師範ケンマロ。スケルトンなのに白く長いあごひげ、白く長い眉毛。仙人の様な衣を纏う伝説の双剣使いか……」ダースクが思い出す様に呟いた。


「俺なんてケンマロ師範のあの格好を見て、ペテン師かと思ったぜ 」嬉しそうなパルン。


「実は俺もだ……」

 クールなダースクがニヤリと笑った。


「ちょっと待て、お前ら。確かに格好は怪しいが、剣の腕前と実績は本物だぞ 」


「冗談だって、リーダー。騎士王様もケンマロ師範のあごひげはつけ髭と思うって言ってたじゃないか。ある日、急に生えてたって 」


「くく…… 」

 笑いを堪えるダースク。


「あのお人柄が多くの人達を惹きつけているんだ。人徳だ。人徳 」


「剣と笑いの二刀流だって、皆言ってるぜ。リーダーも目指すのかい? 」


「いや……それはテッドに任せよう……」


たまには良い、こういうやり取りも。ダースクは笑いを堪えながら、そう思った。



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