ブレインマッスル ウィザーズ編2
ムサイは両手を大きく広げる。身体を大きく広げて威嚇する動物のようだ。
「ふぅううう〜」
ムサイの口から深い呼吸が漏れる。
警戒したのか動かないゴーレム。
その時だった。
ダダダッ
黒ずくめの何者かがムサイの後ろに駆け寄る。その手にはキラキラと輝く何かがあった。
「何や!あいつは何なんや! 」
スポッ!!
黒ずくめの男がムサイの頭にキラキラと輝く兜を被せる。
「装着!! 」
ムサイが高らかに叫ぶ。
「来たわ!! 」
拳を前で握るグレティ姫。
「行きます!! 」
ムサイは手を広げたまま、ゴーレム目掛けて走り出した。その手は次第に後ろに流れて行く。まるで忍者のような走りだ。
「『「『「来る!!」』」』」
目を輝かせて声を合わせるブレインマッスル ウィザーズ。
「火炎砲!! 」
後ろに回ったムサイの両手から爆炎が発せられて、グングンと加速しながら走るムサイ。
「ブレインマッスル〜 」
超加速して頭を前、手を後ろに向けて弾丸の様に飛行を始めたムサイが叫びを上げる。
「『「『「ウィザーズ!!」』」』」
応えるブレインマッスル ウィザーズ。
ドガーン!!とムサイの頭突きがゴーレムの頭を破壊した。煙を上げながら倒れこむゴーレム。立ち上がりガッツポーズするムサイ。
ガッツポーズで応えるグレティ姫と、ブレインマッスル ウィザーズ。
「ウフフ、私自慢のブレインマッスル ウィザーズはいかがかしら? 」
「……何か、ツッコミ所満載な気がするで……」
「どうぞ、何でも質問に答えるわよ 」
「まず第1に、あの黒ずくめは何やねん!! 」
「何の事かしら? 」
「いや、いや、何か黒ずくめがスポッと兜を被せたやないか 」
「きっと……幻よ……」
ウンウンと頷くブレインマッスル ウィザーズ。
「ちょい待ち!!ワイは見たで、何か黒ずくめの奴が兜をスポッと被せたのを 」
「姫様、ウルフン殿は新しい隊員。教えて差し上げてはいかがでしょう 」
ブーマー隊長代理が前に出た。
「そうね……わかったわ。彼は黒衣。幻のプラス1よ 」
「幻のプラス1? 」
「ウルフン様、最新の入隊者である貴方の隊員ナンバーは109番です 」
「ワイ、いつ入隊しちゃったの? 」
「そして黒衣様の隊員ナンバーは常に最後なので、今現在は110番。隊員が新しく増える度にプラス1されるのです 」
「だいたい黒衣って何やねん 」
スポッ!!
後ろからウルフンに忍びよった黒衣がウルフンに兜を被せた。視界が真っ暗になるウルフン。
「なんや、なんや、真っ暗や!! 」
逆向きに兜を被せられたウルフン。
「困っている人を人知れず助ける存在。またはお約束と人は呼びます…… ただし危ないので兜を人に勝手に被せては駄目よ 」
「えーい 」と兜を取り外したウルフン。
「黒衣はもうええわ!!次はムサイや。頑丈な兜被って頭突きしただけやないか!! 」
ブーマー隊長代理が姫の前に出た。
「ウルフン殿、彼は元々万年Cランクの魔法使いでした、その彼が頭突き1発でAランクモンスターを倒したのです。素晴らしいではありませんか 」
「いや、頭突き以外の武器が無いと、キツイと思いまっせ。相手は大魔王軍や。調練場のゴーレムとは違うんやで 」
睨み合うウルフンとブーマー隊長代理。その間に入り込むグレティ姫。
「わかりました、ウルフンさん。ブレインマッスル ウィザーズに言葉は要りません。拳で語り合って下さい 」
「ワイは構わへんで。ワイは百戦練磨の達人や。単純なゴーレムとは違うんやで 」
「私が出ましょう 」と言いながら腕をグルグル回すブーマー隊長代理。
「誰か来ても構わへん。ワイの変幻自在の戦いを見せてあげるんやで 」