マッドマキシマム編5
ストックが増えて来たので投稿回数を増やします。
「ニャア 」
「うんうん……ばぁやも臭いのは嫌ですじゃ 」
「ニャア 」
「臭そう、とても臭そうと……その通りですじゃ 」
「ニャア 」
「勘弁して欲しいとな……う〜ん。ばぁやは臭いのは嫌ですけど、耐えられるのじゃ……しかし猫には無理そうなのですじゃ 」
ギィッ……
3号が扉を開ける。
「お帰りはこちらだ。どうする? 」
道を開ける隊員達。
「残念なのですじゃ……ばぁやと猫は大事な家族。今日の所は帰るのですじゃ……」
「逃げるのか?ばぁや 」
勝ち誇るシュラオン。
「ばぁやの負けは認めるのじゃ。でも、猫がさっき勝ったので一勝一敗なのですじゃ。決着は次回なのですじゃ 」
ばぁやはシュラオンや隊員達を見渡す。
「見事なのですじゃマッドマキシマム……死ぬで無いぞ……戻って来たら決着をつけるのですじゃ 」
・
・
・
・
「モヒー隊長、ニヤニヤしながら寝てますね 」
「あぁ、でもとりあえず助かったな 」
「ドラゴンゾンビも燃え尽きたみたいだぜ 」
「どうします?リッキー副隊長 」
「隊長が起きてから、キャンプに向かうとしようぜ 」自分も座り込むリッキー。
「リッキー副隊長!! 」
「どうした? 」
「む、向こうの空が真っ暗に……」
「そろそろ日が暮れる頃だからな。それがどうした? 」
「が、ガーゴイルの大群がキャンプ地に向かっています!! 」
「なんだと!! 」
すかさず立ち上がり双眼鏡で確認するリッキー。その視界にはガーゴイルの大群が一面に映っていた。
「やばいな……ここからじゃ間に合わない。あの数にはキャンプ地の警護隊も太刀打ちできないぞ……」
「あぁ……ガーゴイル達が降下を始めました 」
「くそっ!!仕方ない、ガーゴイル相手なら少しは俺達にも出来る事がある。助けに行くぞ!! 」
「モヒー隊長は? 」
「誰か……よし!お前が残れ。他は全員でキャンプ地の救援に向かう 」
「おう!! 」
ギャアアアアァ ……
その時、薄暗くなり始めた世界に悲鳴が鳴り響いた。
「副隊長!あれを!! 」
皆の視線がキャンプ地上空に集まる。
ガーゴイルの大群の中に10匹ぐらいの飛竜が突っ込んでいる。
「あ、あ、あれは!!3番隊です。3号副長直属の飛竜騎兵隊です!! 」
ガァアアアアアア!!
武装した飛龍が吠えながらガーゴイルの群れを切り裂いて行く。一丸となって縦横無尽に飛び回る飛竜騎兵隊は、瞬く間に千を超えるガーゴイルの大群を壊滅状態に追い込んで行く。
「飛竜騎兵隊って、すげぇな……」
隊員の1人が思わず呟いた。
「あぁ、俺達マッドマキシマムと獅子王軍との決戦の時も凄かったらしいぜ 」
「そうなのか? 」
「あぁ、シュラオン様が敵の主力を引きつけて、手薄になった獅子王の本陣に飛竜騎兵隊が奇襲をかけたらしい 」
「そうだったのか。あの時は不思議だったんだ。俺達1番隊は敗走寸前だったからな。何で敵が逃げ出したのかと思っていたが……」
「マッドマキシマムの最終兵器だからな。敵にあまり知られたくないんで、ここだけの話にしてくれ 」
「わかった 」
「それで3号副長は、奇襲の混乱に乗じて一撃で獅子王を倒したらしいぜ。さすが副長だぜ 」
「それほどでも無い 」
上空からハスキーボイスが響いた。咄嗟に隊員達が上空を見ると、一頭の飛竜がゆっくりと降下して来ていた。
着地した飛竜の背中から、金色のモヒカンの覆面マスクが飛び降りて来る。3号副長だ。
「モヒカン1号 」
3号は寝ているモヒー・カーンに声を掛ける。
「2号も遂にやって来たらしい…… 」
「やっと来やがったか……あの野郎 」
モヒー・カーンが目を開けて呟いた。
「2号は天然だからな。計画通りにはいかないさ 」
「ちげーねー、あの野郎。相変わらず『それはダメだから』とか『何々だと思われるから 』とか言い訳ばかりしてそうだな 」
「フッ……だが2号はやる時にはやる男だからな 」
「ケッ、わかっちゃいるさ。奴の力が必要だ。避難民を無事に騎士王国に送り届ける為にな 」
「そうだな。俺達は、それぞれの場でそれぞれの責任を果たすさ……」
そう言うと、3号は懐からタバコを取り出した。
「おい、3号。お前、タバコなんて吸わねーだろ 」
「シュラオンから貰ったんだが、俺は吸わないからな。ほらよ 」
3号はモヒー・カーンにタバコを投げる。
片手でキャッチしたモヒーカーンは咥えて火を付けた。
「シュラオンからの伝言だ。殿を頼むとの事だ 」
「任された 」
「わかった。伝えておく 」
「そうだ、3号。その飛竜カッコいいじゃねーか 。タバコの礼に、俺も良い物をやろう 」
「良い物? 」
「あぁ、お前に新しい名前をやる。お前は今からドラゴンライダー3号だ 」
3号は少し考える仕草をした……
「悪くは無いな……」
「あぁ、俺はモヒカンライダー1号で、あいつは…… 」 モヒー・カーンはニヤリと微笑んだ。
次回は連載100回突破記念の、ウルフンとミーネの過去篇ざっくり解説の予定です。