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小説家になろう

作者: 日曜日夕


感動的な歌は唄えないし、


美しい絵だって描けない。


だからこんなクソみたいな詩を、


詩だと言えないような詩を書きました。


本当は、こんなことをしている場合じゃないんだけど。



小説を書くしか無いんだ。


知識も経験も、語彙も表現力もないけど、


持てるばかりの言葉を以て、


稚拙で軽薄で、どうしようもない自分を露せ。


作品ページはいつだって悪天候、


燕が飛ぶより低い総合PV。


「つまらない」さえ言われない、


好きか。嫌いか。いや、問題外だ。


書く以外あるわけないだろ透明人間。


思わず足止める絵なんて描けないんだ。


ここにいるって声も上げられないんだ。


誰かに読んでもらなければ、言葉は「無い」も同然だ。


だから小説を書くしか無いんだ。



転機なんて訪れない。


どんでん返しはやってこない。


書いて書いて書いて書いて、


書いた先に報われるわけじゃない。


社会の底辺で泥の中を這いずった末、


自分以外みんな死ねって虚ろな人生のどん詰まりの底、


ナイフの代わりに言葉を選んだだけだ。


居酒屋で愚痴を吐いてる暇なんて無いし、


後悔に脂汗垂らして何になんだ。


だからといって小説を書いて何になるのか、


んなもん分かるわけないだろ。


答えを持ってないなら探すしか無い、


ただ小説を書くしか無いんだ。




転機はいつだって今だ。


そう言われるが、そう思えたことは一度もない。


曇天模様は続く未だ。


止まない雨はないって言った馬鹿は誰だ。


現実はずっとずっと雨続きじゃねぇか。


だから俺は太陽を書くんだ。


稚拙で滑稽で、中身がなくて乱雑で、


誰も見ない太陽を、存在さえ知られない太陽を。


誰かの為じゃない、自分の為の太陽を。



だけど、それでも評価は嬉しいし、


「おもしろかった」と言われたらむず痒い。


自分の為の太陽が、豆電球くらいになれればいいな。


一度そう思ったら、小説を書くしか無いんだ。


書いて書いて書いて書いて、


その太陽熱で分厚い雲を吹き払うまで。


小説家になろう。


そんな夢を語った少年時代、今は置いていけ。


縋り付いていたら一歩だって先に進めやしない。


夢を見ている暇も後悔する余裕もないから、


今は小説を書くしか無いんだ。



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