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Trick or Circus

第六十回開催は10月27日(土)

お題「トリックオアトリート」/仮装

10月31日はハロウィンです。


作業時間

10/27(土)

16:39〜17:30

「Trick or Circus」


毎週やっていたワンライですが、仕事と入院で10回近く抜けています。

抜けている分は徐々に書いていますので、少々お待ちいただければと思います。

 陽が落ちてきた。

 ぼくはママを急かして、フランケンシュタインの怪物に仮装させてもらう。

 パーティグッズ用の青のフェイスペイントを顔中に塗り、今日のためにねだって用意した、紫のリップクリームも。

 目の周りには真っ黒なメーキャップをした。おっと、おでことほっぺに傷も忘れないように。

 最後に頭にでっかいネジを模したヘアバンドを被ってぼくの仮装が終わる頃、陽が丁度良く暮れていた。

「本当にひとりで大丈夫?」

 ママが心底心配そうに言う。大丈夫、とぼくはお菓子入れのバケツをぶんぶんと振り回した。

「友達と待ち合わせしているし、大丈夫だよ!」

 ぼくはとびきりの笑顔を向ける。

「あらあら、せっかくの笑顔が怖いわ」

 ママは笑って、ぼくの両方のほっぺたに片方ずつ、軽くキスをしてくれた。

「いってらっしゃい、住宅街から外へ出ないようにね」

「はあい、後でね、ママ」

 僕はバケツを高く掲げ、ママに挨拶をした。

 街ではもっと大きなパーティがやっていると聞いたけれど、どんなものなんだろう。

 住宅街を回って車両進入禁止の柵が見えたところで、ぼくは元来たコースを戻ろうとした。今度は反対側のおうちでも脅かしてやるんだ。


「トリックオアトリート?」


 ぼくはその微かな声を聞き、振り返る。見ると柵の奧で、真っ白な顔をした真っ黒なやつがゆらゆらと揺れていた。

「”トリックオアトリート”ってなんだい?」

 真っ白な顔をしたやつが僕に向かって語りかけてきた。ぼくは辺りを見回して、そいつが見ているのはぼくかどうか確認する。

「”トリックオアトリート”ってなんだい?」

「魔法の言葉さ」

 ぼくはちょっぴり格好をつけて、それからバケツの中のロリポップを取り出した。

「この言葉を言うと、イイモノが貰えるんだ」

 ぼくは持っていたロリポップをひとつ、そいつに投げて寄越した。そいつは身体に見合わない白くて細い手で、それを受け取ると、沈黙した。

「トリックオアトリート、良い夜を」

 ぼくはまたちょっぴり格好をつけて、元来た道を戻ろうとすると、背後がぱあっと明るくなった。

「トリックオアトリート! 飴をありがとうぼうや、お礼に私が率いる一夜のサーカスで遊んでいって」

 白くて黒いそいつは、いつの間にかサーカスの団長になっていた。

 メリーゴーランドに、フェリスホイール、あのテントの中はどんな楽しい事が待っているんだろう?

 ぼくはママの言いつけを破り、柵を越えていた。誘惑に勝てなかったのだ。

 ぼくは横目に真っ白な顔をしたサーカスの団長が、長い柄の鎌を振り上げるのを見た。暗がりでよく見えなかった白い顔の目には、眼球が無かった。

 そうか、こいつはハロウィンの日に現れる、シニガ……

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