転校生
~プロローグ~
ここは全てが管理された世界を想定して実験の為に作られた人工島、生まれた時からその存在意義が決定付けられ全人類がゆりかごから墓場まで決まっている世界......そんな能力開発人工都市(Development of Artificial Ctiy)『通称;DoAC』にあり、最先端の教育を学ぶことの出来るニノ坂グレッグレス学園(NinosakaGregresAcademy)『通称;NGA学園』、そこは人々が将来の仕事の技術能力が育成される場であり、簡単に言えば「決められた道のために自分の能力を高めよ」ということである。
この学校には異能力バトルがあり学部内で上位3名を選抜する大会「コミュニティファンタズム」とこの大会によって選ばれた上位者が学部を代表して学部同士がバトルする大会「ゼウスフェスティバル」が存在する。この大会は上位1名が選ばれる。
学部は理系学部、文系学部、医療学部、体育学部、宗教学部、運転操縦学部そして未知能力学部と亜人種学部の8つの学部が存在する。学部ひとつとっても沢山の学科がある。それらは全て、生まれた時に能力検査によって分けられる。
中でも未知能力学部はまだ解明されていない未知の能力を扱う生徒が集まる学部だ。
もう一つの亜人種学部は吸血鬼やエルフ、妖怪などのいわゆる長寿生命体が人の世とは違う時間感覚であるために特別に割り当てられた学部である
亜人種の存在が発表されたのは30年前で、当時は衝撃のニュースとして世界へと広まった。
この島の人々が異能力を使えるのは、国が密かに研究していた「新世代育成計画」が実現したからである。これは、亜人族に抑圧されず、均衡を保つために立てられた計画だ。
~任務資料から一部抜粋~
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「会長、おはよう」
この私、赤崎 蓮華に挨拶したのは幼馴染でもあり同じ生徒会のメンバーの書記である焔 夏奈だ。高等部2年文系学部裁縫学科であり学部内1位でもある。
「おはよう夏奈、今日は随分と元気ね」
「いつも元気だよー、それはそうと多分気分がいいのはさっきそこで転校生君に助けてもらっちゃったからかな。私惚れちゃったかも」
「ああ、確か私達と同じ2年に入ってくるっていう風間月火ね。確か生徒会の資料では未知能力学部γクラスに入ってくるはずだけど、接点なんて無いじゃない」
「それはそうだけどさぁ、れんちゃんはαクラスでしょ間接的なら接点あるもん。」
「だったら自分で行けばいいじゃない、それより遅刻するわよ」
気づけばあと10分で始業の鐘がなる時間だ
「それじゃあまた放課後にね」
-------
月火の朝は早い、しかしいつもはトレーニングの為だが今日はその為ではない。
今は学校に行くついでに町内を一周している。引っ越してきたばかりなので街の様子を見ることも兼ねて取り敢えず商店街に公園、駅などを一回りして学校に向かっているところだ。家から学校までは2km位はある。走ればすぐに着く距離だ。
一周が終わったところで学校に向かう途中、1人の女生徒が3人の不良に囲まれていた。腕時計を見ると7時20分で始業までは40分ある。
仕方ない無視するか、人前では怠惰な気持ちな月火はその横を歩く。
テクテクテクテクテク.........
「無視しないで助けなさいよ!」
どこからともなく飛んできた鞄がゴチンと音を立てて頭に当たって月火は倒れた、投げたのは絡まれている女生徒だ。
よし、このまま死んだフリしよう、そして全部が終わったら起きるか...
「おい、てめぇ」
そんなことを考えていたら、不良達は俺を囲んだ。そして女生徒は.......逃げた後だった。
「はぁぁぁぁぁ、ダルイダルイだるいよぉぉぉぉ!」
「そんなにだるいなら荷物持ってやるよ、金ごとな」
「あー、じゃあお金ないんでこれで」
立ち上がりながら月火は能力を使った。
「おい待てっていてるだ.....」
グニャリと何かを踏んだ。足元を見ると先程まで自分とともにカツアゲしてた不良少年BとCだ。
「済まないがそいつらは病院にでも連れてってやれ、肋が折れてるからな」
今度こそ、その場を後にした。
そういえば夏奈の奴め、後で酷い目に合わせてやる。覚悟しとけよ。
キーンコーンカーンコーン
やべえもうこんな時間か、さっさと学校に行きますか
「えー、今回この未知能力学部γクラスに転校してきた風間月火です。この学校にいる焔夏奈の彼氏です。よろしく」
クラスの男子が黙った。逆に女子からは興味津々の目を向けられた。なんせ、焔夏奈と言ったらミスニノ坂で3位という人気を持っているからだ。
「おい、風間といったか?忠告しておくがお前はこの学校にいる全ての男子の敵となった。無事でいられると思うなよ、この学校にはこの学校のルールがある。その中の一つがミスニノ坂のランク入りには手を出さないことだ。しかもそれを新人が破った。だからこそ我ら『夏奈ちゃんファンクラブ』が中心となってお前を制裁する。覚悟しておけ」
クラスメイトの男子の1人にそう言われた。
その時、月火は思った。今後、仕返しはよく考えてからしよう、と...
昼休み、クラスの女子が質問攻めにしてきた。答えられることは答えてそう出ないものは濁した。
クラスの男子はいない。それはこの学園生活の最大の危機だということを月火を除いた男子生徒以外知る由もなかった。
次の日の登校時、ストーキングしてくる男子が3人、学校に着いてからはほとんどの男子に睨まれた。
「はぁ、我ながら馬鹿なことしたなぁ」
「風間月火さん、生徒会室へご同行願います。」
後ろから現れた生徒会の腕章をつけた美少女に首根っこ掴まれて引きずられた。
「あれって、生徒会長の赤崎蓮華様じゃないか?」「ほんとだ、で、あいつは誰だ見た事あるような無いような...」「ばっか、あいつはMr.Kだぞ」「あーあ、もう捕まったか」「あいつも気の毒だな」
生徒会室には焔夏奈と赤崎蓮華そして月火の全部で3人いる。
「話がある風間月火、要件はわかっているな?」
会長専用の椅子に座ると赤崎蓮華はそう質問した。
「えーっと、何のことでしょうか」
「なんで私と君がその...こ、こい、恋人ってことになってるのさ!」
「あーやっぱりその事ね、理由は一応夏奈へのささやかな憂さ晴らしってところかな」
「な、何のことかなぁ?」
「とぼけるな、お陰で不良にいじめられちゃったよ。どうしてくれるのさ」
「報告によるとその不良は病院に搬送されたとの情報がありますが?」
生徒会長は目ざといなぁ、折角全力で無視した議題なのに言っちゃったよ。空気読んでよ
「で、ただの不良が病院に行ったところで問題でも?」
「ええ、その不良って言うのがうちの学校の体育学部3年の鮫島、轟、山田って事なの」
えっ?山田?一人だけ普通の名前じゃん、だめだ腹が痛いし笑いが止まらない
「この学校でも結構有名な不良だけど、リーダーはボクシング学科3位の山田 隆なのよ」
山田!お前が殴り損なったリーダーか!
「それで、一応事情を聞きたいの」
「事情も何も、そこにいる夏奈さんが俺に押し付けた結果です。俺は被害者です」
「そうなの、夏奈?」
「ええと、ワタシ、ヤツラニ、ナンパサレタ、カザマクンイタ、タノンダ、アーユーオーケー?」
「答えは、I can't understandだ!」
スコーンと音を立てて蓮華が投げた筆箱が夏奈の顔に直撃した。
「風間君、うちの焔がすみませんでした。」
「あ、ああこちらこそ代弁してくれてありがとう」
「酷いよレンちゃん、顔に傷がついたらどうするのさぁ」
「会長に頼みがある」
「出来ることならなんでもどうぞ」
「俺を生徒会に入れてくれ、夏奈ファンクラブのせいで教室に居づらい」
「そういうことならいいでしょう、実力は山田一派を倒したことで大目に見ます。.....がそれとこれとは話が別です。生徒会は成績と実力が共に5位じゃないとダメなの、入りたいのであれば来週もう一度来なさい。実力は私が判断できるように特例として校長に頼んでみます」
「ありがとう、蓮華さん」
なんだかんだで会長はいい人だな
「ねぇねぇ、風間君?さっきから気になってたんだけどなんで私達を下の名前で呼んでるのかな?」
夏奈は疑問を口にした。
「別に他意は無い」
「いやいや、自己紹介もしてないのになんで名前を知ってるのかって事。私達は資料で君の名前を知ったけど風間くんはなんで知ってるの?」
「知っているからだ、昔からな」
「ええぇ、まさかストーカー?」
「違うよアホ、今日は早くしないと同居人が怒るから帰る、じゃあな」
バタン!扉が閉まった。
「結局、わからなかったね」
「ええ、彼は何者なのかしらね、それも踏まえて今後聞き出しましょう」
「アイサー」
せいぜい頑張れよ、そう言い残して生徒会室の扉の前から移動した。




