プロローグ的なわたし語り
わたしは、その”彼”の言っている事が、
あまり分かりませんでした。
「死にたい」と思う人、つまりはわたしです、
に対して、末期癌で余命の確定された、「自分よりマシ」、ということでしょうか?
それとも、死にたがっているわたしが生きる今日は、
どうしようもなく生きたい”彼”が願う今日である、か明日であるか、みたいな事なのでしょうか?
なんにせよ、わたしは「死にたい」と思う。
人間として死にたいと思うほどに、不幸なのです。
それなのに、生きたいと思う、幸福な彼に、自分よりマシ、
なんて、軽々しく言われたくない、そういう気持ちだったのです。
そして思うのですが、彼は不幸じゃないのでしょうか?
死にたい、って思わないのでしょうか?
彼の将来は、希望が無く、近いうちに実際に死にます。
わたしだったら、現状の死にたいに、さらに死にたいが乗算されて、考えたくもないのですが。
彼は、死にたくない、だから死にたい人を止めたいのでしょうか?
わたしに感情移入して、止められたら、なにか彼にとっての、生きる希望になるのでしょうか?
分かりません、
わたしはわたしでしかないので、彼の気持ちは分からないのでした。