#まさかの……
「あの小さく見えるやつがフィーナの家だよ。」
深い森から出る直前、リーフが遠くを指差し告げた。
「じゃ、私はここまでだから。」
「うん!ありがとう♪」
ウキウキと、満面の笑みでお礼を言う雛菊。
「あ、うん。……えーと、頑張ってね! それじゃあ私は、キュラウ様を起こしに戻るよ。またね!」
「うん、そっちも頑張ってね!バイバイ~。」
ピューと森の中へ帰っていくリーフ。
森に背を向け、リーフとは反対側に進むオレら。
――机が重すぎてツラい。
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森を出た頃にはまだ水色だった空が、家に着いた時には藍色に染まりかけてた。
――オレンジ色の時は、滅茶苦茶綺麗だった。
さて、どれが言われた家やら。そこには3軒の家が建っていて、3軒とも似た造りだった。
「……だ、大丈夫……です、か?」
「疲れたぁー!」
地面に寝転がってヘバっているオレを、雛菊が心配そうに声をかける。
「雛菊さんこそ、なんで大丈夫なんだよ?」
机を抱えたまま、相当な時間歩いたが……。
「な、なんか、ワクワクしちゃって……そ、そしたら……へ、平気……でし、た。」
オタクパワー恐るべし(笑)
「あそこ……だよね?……フ、フィーナさんの家。」
雛菊が一番左の家を指し示す。
「うんー?なんで分かるんだ?」
3軒共そっくりな家。どれが合ってるかなんて分からない。
「えとー……ここ……。」
雛菊が指差したのは一番左の家の、門の所に掛けられている『フィーナHOUSE』と書かれた看板。
「それじゃ、これ押しゃーいいのか?」
答えを聞く前に押したボタンは、一般的な玄関の外に付いている呼び鈴。
ピーンポーン
音も一般的。
「まさかの、異世界でチャイム……。」
雛菊が、なんか呟いてた。
その頃。
リーフ 「たっだいま~♪そして……いい加減、起きろジジィ!」
キュラウ 「うるさいのぅ。なんじゃ?」
リ 「起こしに来た!キリッ。」
キ 「寝かせてくれぬかのぅ。寝る子は良く育つんじゃよ。」
リ 「あんたはさっさと朽ちろ!!」
キ 「シワシワリーフと違って、わしはまだ若いんじゃ。」
リ 「あぁ?誰がシワシワだってェ?!」
キ 「おや。耳まで悪くなったんかのぅ?ふぉっふぉっ。」
リ 「なァ。あんた眠いんだよね?寝たいんだよね?」
キ 「な、なんじゃ?急に。」
リ 「それならさー、永久に寝かして、 あ・げ・る♪キャハハァ!」
キ 「わ、わしはもうちょっと、君達(おんにゃの子の下から覗く下着を)を見ていたいがのぅ。」
リ 「ア?今、なんか混じったヨね?」
キ 「気のせいじゃろぅ。」
リ 「嘘ついてんじゃねェぞ!クソジジィ!!」
キ 「リーフは酷いのぅ。なぁ、リーリュよ。」
リーリュ 「えぇ、そうね。」
リ 「ぎぎゃッ!いつの間に!」
リュ 「フフフ。」
リ 「え、いや、リーリュ? こ、これには深い事情があってね?」
キ 「ガツンと言ってくれぬか?わしが言っても聞かなくてのぅ。」
リュ 「えぇ、そうね。ガツンと……。」
キ 「そうじゃ、そうじゃ。助かるわぃ。」
リュ 「あのね、前々から思っていたのだけれど……。」
リ 「ひぇぇ……。」
リュ 「キュラウ様には、もっと働いてもらわなければいけないと思いますの。今までの分も。」
キ 「まさかの、わしが怒られるとは。リーリュは酷いのぅ。なぁ、リーフよ。」
リ 「(小声でリーリュに)さっきと真逆(笑)」
リュ 「(小声で)今のイラっと来たわ。ちょっと殴ってもいいかしら?」
リ 「(小声で)もちろん。レッツゴー!」
キ 「二人でこそこそと何を話しt...。」
バコッ。
ガツン。
リ 「リーリュ、なんで私にまで〜?(泣)」
リュ 「さぁ?(笑)」
勝者 リーリュ
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長いわッ!!