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腐世界改訂メモ  作者: たんぽぽ
6/15

#妖精

「おぃ。じじぃ、聞いてんのか?」


「まぁまぁ、落ち着くのじゃリーフ。そんなに怖い顔をしておったら、そちの顔にまたシワが増えてしまうわぃ。」


「あ゛ぁ?てめぇ、それ、もうあたしにシワがあるような言い方じゃねぇか?」


「おや。気づいておらんかったか?もうすでに、眉間と頬にシワがあるんじゃがのぅ。

リーフもシワのできる歳になったみたいじゃ。時が過ぎるのは早いわぃ。」


「キュ・ラ・ウ・さ・まぁ-。あなたは相当、切り倒してほしいみたいですね……。フフフ……、アハハ。」


「おぉ、怖い怖い。わ、わしを切り倒しても良い事なんて何も無いぞぃ。わしがいなくなったら、只でさえ少ない妖精が生まれなくなってしまうわぃ。そんな事になって一番困るのは、そちたちじゃろう?」


「てめぇの代わりなんで、そこらじゅうにいるんじゃボケぃ!周りの木も見えない程、あんたの目は衰えたんか?あん?」





「……ほ、ほれ、リーフ。……こ、言葉が乱れておるぞぃ?わしに向かって、そんな口を利いてはいかんぞぃ……。」



さっきまでとは打って変わって、老木はどこか怯えたような声。



「あん?ようやくあたしに怖じ気づいたのk……いでッ!」


「あんたたち!いい加減にしなさい!」


ガツン。 バコッ。

2つの音は綺麗なハーモニーを奏で、森に響き渡る。




「全く、もぅー。」


いつの間にかもう一人、新たに妖精がいた。

彼女は腰に手を当て、お怒りポーズ。



「……相変わらず、リーリュのパンチは痛いのぅ。」


「痛いよ~。リーリュぅ~。拳骨は酷いよぅ~。怪力暴力女ぁ~。」


「はぃ?」


「ひぃぃ。ごめんなさいぃぃーー!!」



リーリュ――と呼ばれた後から来た妖精――に睨み付けられ、リーフ――と呼ばれた初めにいた妖精――は自分の失言に気づき、怯えて謝る。



「リーフ。あなたはもっと妖精らしくしなさい。それと、キュラウ様には敬語!」


「…………はい。」



リーフは、シュンと俯く。



「キュラウ様。あなたは怠けすぎです。仕事はきちんとしてください。」


「……すまんのぅ。」



キュラウ様と呼ばれた老木も、シュンとした声を出す。

そんな二人(一本と一匹?)に、満足げに頷いたリーリュ。



「お見苦しい所をお見せ致しました。では私はこれで失礼します。」


オレらに向き直り軽く頭を下げると、リーリュは二人をキッと睨み付けてから森の中へと飛んでいった。







リーリュがいなくなると、シュンとしていたはずのリーフは普通にケロッとした顔を上げる。


「もぅー。キュラウ様のせいですからねー?」


丁寧な口調に戻っている、が……。



「これこれ。人のせいにしていいのかのぅ?シワシワリーフよ。」


「へぇー。自分の立場が上だからって、そんなこと言っても良いと思っているんですかー?本当に切り倒したくなってしまいますー。」


……また始まった。

二人とも、本当に反省していたのか疑問になってくる。





「あ、あのぅ……。」


面倒くさいなーと思っていたら、雛菊が話に割り込む。――だが。



「シワのある奴の言う事など、信用せんわぃ。」


「あ゛ぁ?あたしにシワは無いっつってんでしょうが!!」


「ほれほれ、ようやく認めたようじゃのぅ。今、わしは()()()シワがあるなどと言っとらんわぃ。ほっほっほっ。」




――雛菊は無視されていた。


「ぅぅー……。」


よっぽどの勇気を出して、声を発したんだろう。顔は真っ赤で、恥ずかしさ(?)に小さく踞っている。

俺は辺りを見渡し、ポツーンと一つだけ落ちている小石を見つける。

それを大木目掛けてポーンと投げた。


幹が大きすぎて狙いが外れる訳がない。



コツーン。



何故か綺麗な音が、辺りに響く。



「全く。人が話している時に横から石を投げてくるとは、礼儀のない奴らじゃのぅ。」


「ホントだよなー。あんたら、あたしらの邪魔すんじゃねぇ!」



うげ。矛先がこっち来た。

ま、いいや。全部こいつに向けちゃえば。



「いやぁ~。なんかこいつが聞きたいことあるっぽくて。」



苦笑いを作り、雛菊を差し出す。



「なぁに~?」

「何か用かのぅ?」


二人はハモり、雛菊に注目する。


「あの……えっと……その……。」


急に注目された雛菊は、パニック気味。

――ちょっと無茶ぶり過ぎたか?



「えっと……あの……。」


真っ赤になって俯いた雛菊は、それでも必死に言葉を発した。




「私達の“魔術適性”、教えてください!!」


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