#いつもの日常
0時を少し回った頃。
幽霊でも出そうなほど不気味な深夜の学校。
そこへ、かかっている鍵をいとも簡単に開けて何者かが学校へと忍び込む。
そして数分後、侵入者は何事もなかったかのように鍵を閉め夜の闇へと紛れ込んだ。
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数学の授業中。
「この問題の答えは?はい、じゃあ斎藤君。」
げっ、最悪だー。めんどくせー。
「わかりませーん。」
「そうですか。この問題は、ここが7です。ですので……。」
オレの投げやりな返答に「そうでしょうね。」と言いたげな視線を送り、まるで質問自体が無かったかのように授業は進んでいく。
オレだけでなく、クラスのやつの大半がまともな回答をしない。
それがわかっていて、先生らも特には突っ込んでこない。そこに地雷が埋まっているのを知っていながら、わざわざ踏みに行こうとする人がいないのと同じように……。
まあ多少例外な先生もいるが、その場合皆に好かれる人気者の先生か、周りの見えないKYなうざったいお節介先生のどちらかでしかない。
クラスの中には真面目に答えているやつもいる。けれどそいつらは大抵根暗で、皆裏で陰口もどきの悪い噂が流れている奴ばかりだ。
――――と、なんだか廊下のほうが騒がしくなってくる。
(あれ?火事でも起こったか?)
オレの席は廊下側の一番端の列で、後ろから2番目。
そして、前後に2つあるドアのうち、後ろ側のドアに一番近い席だ。
そのドアについている小さな窓から廊下の方を眺めると、真っ白い煙が立ち込めているのがわかった。
(火事なら逃げなきゃまずくね?)
クラスのやつらも廊下の異変に気が付いて、何事かとザワザワ騒ぎ出す。
すると、急に前方のドアががらりと開いて担任の先生が入って来た。
彼は、割と人気の先生で、先ほどの例外の一人でもある。
「落ち着け。念のため避難する。慌てずに校庭に避難してk……。」
視界が、一瞬にして真っ白に染まる。
オレの体は眩い光に包まれ、体が浮いているような感覚がする。
訳が分からない。
(なんだこれ……?)
思うと同時に、ふっ。と意識が遠のいた。