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傭兵団長は〇〇がお好き!  作者: あると
セイヤード国編
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そして闇は晴れた

「お前たちだけのせいじゃない。俺が信じる者を間違えたせいだ。リカルド、カナン、俺はマーリアのことを見れてはいなかったようだな。俺は母やアナ、ミルガルドの真実に全く気付いていなかった。調べてくれ、マーリアたちのことを。こんどこそちゃんと彼女を見る。俺が何を見過ごしたのか、何を間違えたのか、知らなくてはならない。そして子供たちに伝えなくてはならない。俺達の愚かさを…ちゃんと話をしていれば…こんなすれ違いは起こらなかったはずだ…類い稀な正妃がこの国を支えてくれていたはずだった」


そう真実の扉を開いた王は嘆いた。


「陛下、私たちは王の側近という立場にありながらあなたの心をおもんばかることが出来なかった。申し訳ございませんでした。我らがこうやって忌憚なく話し合いをしていれば…正妃様に去られることもありませんでしたでしょうに…」


過去のすれ違いがなければ、もっと早くに気づいていれば、王と正妃の離別はなかったと宰相は考える。


「我々は主従の誓いをやり直すべきだな。」


騎士団長の発言にうなづく彼らは過去への思いを胸に、未来へと共に生きることを決めたのだろう。


「陛下、私たちはあなたに無二の忠誠と無私の心であなたに仕えることを誓います。あなたを信じ、そして信じられる存在になることを、あなたに一生を捧げることを誓います」


王に傅き誓う2人は、もう2度と無意識に王を裏切ることはないだろう。

王の側近が王へ心を語らなければ、信頼の絆で結ばれているとは言えないのだから。


「リカルド、カナン、俺もいや、俺こそお前たちが誇れる王になることを誓おう。

共に信頼しあい、支えあう関係となろう。これからも、よろしく頼む」


自分を肯定する者のみを信じた王は己が闇にいたことに気づいてはいなかった。


だが、真実の扉は開かれた。闇は真実という光に照らされる。


そして、セイヤード国の闇は晴れ、王は光の道に戻った。


その後、王はマーリアの真実を知る。

彼女にとって王は否定せず愛をささやけば、何でも言うことを聞く都合の良い道具だった。彼女の寵愛をかさにした傲慢さは、芽はあったとしても王が育て上げた闇の華だった。


マーリアの母は乳母の立場にありながら実家を没落に導いた妹と原因となった正妃ユイファを恨み、その恨みを悪意に変えてキアやアセイに吹き込んでいた。彼らが母を恨み自分になつく姿を陰であざ笑うことを楽しみに生きてきた女だった。また、自分からしたと言っていた離縁だったが、実家の爵位が分家のものになったことで利用価値がなくなったとして婚家から追い出されたというのが真実だった。

他者の影響によって闇にのまれた哀れな女たちは一生、離宮から出ることは許されなかった。


そして先王の隠し部屋にて彼らはユイファの日記を見つけることになった。

彼女と王の甘酸っぱい恋話にアセイは身悶えることになるが、彼らに愛されていたことを深く納得した。


当初はすれ違っていた2人だが、だんだんと思いを通わせていった。だが、なかなか子が出来なかった為に王は側室との関係を拒むことは許されなかった。長い戦乱で王族が減っていたからだ。諦めかけていた正妃の妊娠と側室の妊娠は同じころにわかった。その側室は恋人の命を守るために後宮入りした女性だった。愛するもののために彼女は王に執着した。


どちらが男の子を生んでも正妃の負担は減るので正妃も側室の妊娠を喜んでいた。

だが、正妃より先に王子を生めとの実家からのプレッシャーに側室は耐え切れなくなり、正妃が先に王子を産んだことによって狂ってしまった。


そして悲劇が起こった。


悪いはずの人間ですら、その裏には悲しみがあった。


これからも人がいる限り闇は凝るだろう。だが、信頼によりそれは薄くなるだろう。かれらはもう対話と信頼を忘れることはないだろう。


そう闇は晴れたのだから。

これにてシリアス回終了です。次からは闇の裏の事情は明るかったって感じの話になっていきます。

雰囲気を変えたくてシリアス回は昔語り風に書いていたのですが、次からは

はっちゃける方たちの話になっていきますので文体が変わります。

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