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傭兵団長は〇〇がお好き!  作者: あると
セイヤード国編
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王の苦悩

「なっ!マーリアはそんな女じゃない!誰にでも優しく平等で慈愛に満ちている女性だ!彼女は母親に愛されなかった俺を愛してくれた!あの人はいつも俺の声を無視して、俺のことなんて見もしなかった!!!アナは母のことを何も教えてくれなかったくせに母を悪く言ったらひどく怒ったんだ。そして突然、乳母を辞めてカナンを連れて領地に帰ってしまった。きっと、母を悪く言った俺を嫌いになったんだ。でも、俺を愛さない母は悪くなくて愛されない俺が悪いのか?アナのこともあって、もう父上たちには聞けなかった。リカルドも戦争に行ってしまって、カナンもいなくなって、妹と離宮に閉じ込められていた時にマーリアたちと親しくなった。マーリアの母は俺じゃなくてあの女が悪いんだって…俺を愛さないのはあの女が感情がない人形だからなんだって俺の味方になってくれたんだ、妹の乳母なのに…。マーリアも私があなたを愛してあげるって!いってくれた。俺を救ってくれたんだ。だから、黒髪の女は嫌いだ。あの人を…母を…愛されなかった自分を思い出すからな…」


そう王の内心を初めて聞いた側近たちは衝撃を隠せなかった。


「まさか、知らなかったのか?カナン、乳兄弟のお前もアナ様からユイファ様のこと聞いていないのか?」


「母からですか?ユイファ様のことは何も…。私は彼女に会ったことがないですし、母もユイファ様のことは何も語らずはやり病で亡くなりました。それよりも、アセイ、あなたに謝らなくてはいけません。母はあなたを嫌いになんてなっていません。乳母はその子が10歳になれば辞めるのが普通です。あなたと1か月違いの妹のキア様が15で嫁ぐまで乳母をつけていたことの方がおかしいんですよ。それに、知らなかったんですね。リカルドが出征した後に王都にはやり病が発生したでしょう?母はその病に侵されたんです。だから別れの挨拶もなく病が終焉するまで私達は領地に戻され、アセイはキア様の離宮に隔離されることになったんです。私はあなたが乳母だった母のことを絶対に口にしないことに腹を立てたんです。母は病の淵で朦朧としながらあなたに謝らないと、伝えないとってずっとうわごとのように言っていました。私のことなんて一言も言わないのに。そうまでも母はあなたを想っていたのに…王都に戻ったらあなたは私も母のことも忘れたようにマーリア、マーリアと…だから、私は母の死も母からの伝言もあなたに伝えなかったんです。まさか、あなたがそんな勘違いをしていたなんて…。『あなたは何も知らないのに。怒ってしまって、ごめんなさい。あなたのお母様はあなたが生まれるのを心から楽しみにしていました。あなたはお母様にも陛下にも愛されて生まれてきたのよ』って伝えてって…死ぬ直前に急に意識がはっきりしてそう言い残して逝きました」


自分の嫉妬心のせいでアセイはずっと苦しんでいたのかと、母の遺言を伝えていればあんな女に執着することはなかったのかと宰相は後悔した。





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