プロローグ
ある世界で巻き起こる英雄譚!!!ではございません。
最初のうちは恋愛要素がメインです(主人公以外で・・・)
主人公の暗躍により幸せになったり不幸になったり・・・
基本はシリアスなはずなのですが・・・主人公が強すぎちゃうかも・・・
いずれ傭兵団の日常など小話中心のほのぼのとした感じにしていく予定です。
この世界では脅威となるものは竜や自然災害しかなかった。
どちらもまれにしか人を襲うことはなかったため、大地は森の恵みにあふれ豊かな生活を行うことが出来た。そして、多くの恵みにより富と力を蓄えた人々はもっと多くを求めたがゆえに人同士で争い始めた。
小さな国が乱立し、国内でも王族同士の権力闘争が起こった。そのため、あまたの戦乱が起こり激動の時代が到来したのだった。多くの民の血が流され王族の血が途絶えた国も多く、終わりが見えない暗黒の時代だった。
だが、戦いを制した者達により国は併合や同盟を重ね、世界は5つの大国に分けられることになった。小国などは全て大国に従い属領となり、力あふれる王たちに治
められた国はどの国も活気にあふれ平和な時代となった。
現在では国と国との争いは戦ではなく政略結婚などによる搦め手の外交取引が主体となっている。
ただ、暗黒の時代を忘れられぬ者たちもいた。戦を生業にし、数多くの戦場を渡り歩いた傭兵たちである。彼らは荒くれた者も多く、その多くは食い扶持を稼ぐために盗賊に身を落とすことになった。
彼らの存在は戦乱の時代の負の遺産として国の首脳陣の悩みの種であった。
その為、傭兵団はあまり歓迎される存在ではなくなってしまった。
多くは傭兵を辞め、国や商会に雇われる道を選ぶか剣を捨て民に戻るかを選択することになった。
そんな平和な時代になり、5年ほどたった頃、新たに傭兵団が立ち上げられた時はなんと無謀なと嘲笑されることも多かった。唯一残っていた古参の傭兵団も解散を発表したばかりだったからだ。
そのうえ、彼らは、真っ黒な頭からかぶるタイプのマントをかぶりその内の1人に至っては、顔の半分以上を隠す仮面をしていて見るからに怪しげな5人組だった。
そう、見たとたんに憲兵を呼びたくなるぐらいには・・・。
そんな彼らだが、傭兵団結成から3年ほどたった時にある偉業を果たしたため、国からの士官の誘いが後を絶たないほどの異名が付くほどの有名で人気のある存在となった。
まるでおとぎ話の勇者のように、彼らに憧れるものは数多く、彼らと接することが出来れば一生の自慢話となった。傭兵団の人数はだんだんと増えていったが団員以外で彼らの人数を把握できている人間はいなかった。
何しろ団長の顔も名前や幹部のことも秘匿されていた。団員や少数の関係者も絶対に口を割らないため彼らの情報は噂のいきを出なかった。
正しいとされるのは頭からかぶった黒いマントに顔の半分以上を隠す銀色の仮面をかぶる周りよりは小柄な人物が団長で、ほかに同じように黒いマントをかぶり、黒い仮面で顔の半分を隠している8人が幹部であろうということぐらいだ。
幹部にはどうやら銀髪の妖精王のような美青年や金髪の野性味溢れるイケメン 、はたまた黒髪の美少年などが存在するらしいが様々な噂が流れただけで誰もはっきりしたことは知らず、たまに起きる偽物騒動もいつの間にか偽物が捕えられておわる。そのため、幹部ではっきりしているのは、交渉役兼後始末係りとして働くある大貴族の出身と噂される程に礼儀作法にたけた砂色の髪と眼を持つ優しげな風貌の青年カイルだけだった。
そんな正体不明の彼らなので情報は高値で買い取られたり、彼らを題材にした劇や小説も流行していた。
彼らの活躍は数多いが、一番人気なのは彼らを有名にした黒竜退治だろう。
竜は何十年かに一度の割合で人里を蹂躙する災厄であり畏敬の対象でもあった。竜を倒すには多くの人が命がけで立ち向かわなくてはいけなかった。それでも倒せるのは土竜や砂竜などの飛べない下位の竜だけだった。それを竜の中でも最上位の飛龍である黒竜を倒した5人で倒した彼等は黒団と呼ばれ英雄となった。
そして今、5つある大国の1つセイヤードと呼ばれる海に面した国の王都に上位竜である青竜の群れが向かっている。1頭ならまだしも群れの竜を退治できる戦力はこの国にはない。そのため、彼らは最強と呼ばれる黒団に竜退治を依頼することとなった。
これは黒団が青竜の群れを退治するとともに平和になってから13年も経った為にたまってしまったセイヤード国の闇を打ち払うお話である。