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夏生詩集2

次へと動き出す

作者: 夏生

思いのままに書き連ねて長くなってしまいました。

ご容赦願います。

電車内のドアによりかかって

晴れやかな空を見上げる


いつかの事を思い出し

大切な人のことを思い出し


心は世話しなく動く


晴れやかな空の下で

風に揺れるシーツ

走り過ぎてゆく車

雑居ビルに貼られた

派手な看板


飛んでゆく鳩の群れ


あの時言えなかった言葉が

浮かんでは消えていく

あの時言ってしまった言葉が

歪んで落ちていく


目に映るものと

遠い日の記憶が

合わさって離れて


電車内に視線を向けると

俯いたまま座っている人たち

の間で苦々しい表情を浮かべた

年配の人


違和感を違和感と口に出来る

最後の世代じゃないか

異様な様に慣れきった目で

思う


聞き取れないほどの言葉は

小さく車内の空気を揺らして

軋む音にかき消されていく


ブーツを履いている人が増え

マフラーを流行りの巻き方で

巻いている人が増え

マスクをした人が増えた


春も夏も秋も

あっという間に遠くへ行ってしまった


クリスマスも正月も

あっという間に過ぎてゆく


ドア越しに視線を戻す

壊されていく建物

変わっていく街並み


電車は曲がり道

下り道

登り道

ひたすら走ってゆく


余計なことは忘れてしまいなさい

母の言葉が妙に力強く響いた


忘れなければ生きていけない

人生があると教えてくれた人

忘れるにも努力が必要だと

教えてくれた人


電車は次の駅へ

次の駅へ

止まってはまた

動き出す


次へ次へ

流れてゆく風景とともに

私も心の向きを次へ向けて

動き始めた





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