表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

始まりの終わり

 舞花が目覚めると、そこは見慣れた部屋の風景だった。けれど、自分の部屋ではない。

 あぁここか、良かった。と思う反面、あれは夢じゃなかったんだと感じさせられた。

「舞花……、目ぇ覚めたのか」

「兄さん。やっぱりここは兄さんの家か、良かった」

 舞花はベッドから起き上がった。

「無理しなくて良い、寝てろ」

「うぅん、大丈夫。気を失っただけだから」

「そうか。……覚えて、いるんだな」

 佐々木は静かに問い掛けた。その口調はとても重々しい。

「うん、はっきりと。兄さんいてくれてほんと助かった。私だけじゃ、何も出来なかった。ただ、見殺しにするだけだった」

 佐々木は舞花に近付くと、舞花の頭を右腕で包み込んだ。

「バカが、高校生にそんなこと出来てたまるかってんだ。無理、するんじゃねぇ。少なくとも今俺はここにいる」

「うん」

 舞花は、しかし声を押し殺して涙を流した。

「ねぇ兄さん」

「なんだ」

「お母さんとお父さんは?」

「……すぐに病院に運ばれ、手術を受けた。幸いまだ時間も経っていなかったからか手術は成功した。だがまだ目は覚ましていない。…安心は出来ない」

 舞花はしばらく佐々木の腕の中で泣いていた。下唇を噛み締めて。

「安心しろ、お前にはまだ俺がいる。仲間もいるだろ」

 そう言われてコクリと首を縦に振る。そしてゆっくり口を開く。

「兄さん。私兄さんの、そんなとこ好きだ。どんな時でも、決して何の保証もない無責任なことを言わないとこ。だからいつでも兄さんの言うことは、信用出来るんだ」

「あぁ、そうだな。ありがとう」

「私ね……どんな事が起きても、気休めなんて聞きたくない」

 とても悲しそうな顔で、佐々木は無理に微笑んだ。

「お前は強いな」

 舞花はまた、何も言わずに首を縦に振る。

「もう遅い、明日は休日だけど、もう寝ろ」

「ベッド…兄さんの」

「気にすんな、この家には敷き布団と掛け布団一式あるから、俺はそれで寝る。おやすみ」

「おやすみなさい」

 佐々木は舞花が眠るのを待ってから、その部屋を出た。

「あいつは……どれだけ強くなりてぇんだよ。無理すんなって、無理しまくりじゃねぇか。俺じゃそんなに頼りないか?」

 その呟きは、余分なものが何もない、その無機質な空間に飲まれていった。



 *



 昔から舞花は親が仕事で忙しく佐々木家(佐々木の実家)に預けられる事が多かった。

 舞花と佐々木は七歳差。けれど舞花が早生まれなのでほとんど八歳差だ。それでも二人は仲が良く、沢山話したし遊んだし喧嘩もした。

 舞花の通っている高校である佐倉高校は佐々木の母校でもあり、互いが中学と大学に通っている頃はあまり会うことはなかったが、佐倉高校で再びよく会うようになり、喧嘩の割合は増えたがまた仲良くなった。

 佐々木は大学生の頃から一人暮らしを始め、1LDKのアパートに住んでいる。彼の実家は少し遠く、車で三十分ほどかかる。

 舞花の家と佐々木の実家は近くて自転車で十分程の距離にあった。

 舞花の両親が運ばれた病院は佐倉高校から歩いて行ける距離。お互い家から行くのには少し時間がかかるが、学校の帰りに寄るには申し分ない。

 そして、翌土曜日。

 佐々木はリビングの窓を開け空気の入れ替えをしていた。

「んん……兄さん?おはよ」

「あぁ、おはよ。もう起きたのか」

「うん」

 舞花は部屋のドアからリビングを覗いていた。まだ起きたばかりで日の光が眩しいのか目を細めている。

「兄さん、洗面所借りるね」

 そう言って部屋からするりと滑り出て、洗面所に向かう。その舞花は制服姿でしかもくしゃくしゃだ。

「プハァ……。夢じゃないよね、私は今、生きてるんだよね」

 鏡の中にいるもう一人の自分に問い掛け、そして頷くその姿は、不安でいっぱいといったようだ。

「服……どうしようかな。家に取りに行けるかな。そう言えば私って、何処にいて良いんだろ……?」

「何言ってんだ、お前はここにいれば良いさ。ここなら学校だって変わらず行けるし、そう言えば武藤の家がこの近くだから一緒に行ったら良いさ」

「兄さん……。けど本当に、迷惑じゃない?」

 舞花は振り返って尋ねた。すると佐々木は首を振る。

「迷惑なもんか。まぁ俺の実家でも良いんだけど、あそこは学校が遠いからな……舞花はどっちが良い?」

「ここ」

 舞花は即答し、その速さに自分でも少し驚いているようだ。

「なら決定な。それで……服なんだが」

「やっぱりまだ家には入れない?」

 佐々木は俯きながら大きく横に頭を動かす。

「いや、現場検証は終わったから入っても良いって、今朝警察から電話があった。まだ見張りの警備がいるからそいつに声かけてから入ってくれって」

「なら、行こう。色々とってこなくちゃいけないものがあるの」

 佐々木は舞花の目を見る。恐怖、そして責任。行かなければと思っている瞳。

 大丈夫か、とは敢えて聞かなかった。聞いても大丈夫と答えるのが目に見えている。

「無理すんなよ。俺も同行する」

「ありがとう、兄さん。少しだけ待って、準備するから」

 舞花は駆け足で部屋へと戻ると、通学鞄の中にある水色と青の水玉に桜が刺繍されたポーチから櫛と鏡を取り出して実を味えた。

 くしゃくしゃの制服はパンパンと軽くしわを伸ばす。

「兄さん、私は行けるよ」

 舞花が、リビングでソファーに座っている佐々木にそう言うと、佐々木は立ち上がって舞花を促す。

「俺もだ。来い、車で送ってく」

 二人はまだ日が昇りきらない朝の早い時間に、アパートの一室を後にした。



 駐車場に停めてある佐々木の愛車に二人は乗り込んだ。昨日とは別に今日助手席に座った舞花。彼女はシートベルトをして真っ直ぐに前を見つめた。

「三十分くらいかかるから寝ててもいいぜ」

 舞花は無言で首を振った。その姿は、まるで見えない敵に挑むようでもあった。

 車はゆっくりと走りだし、徐々にスピードを上げて舞花の家へと繋がる道を追った。



 *



 約三十分後、車は舞花の家へ到着した。佐々木が運転席から警察に話しかけ一つ開いている駐車場に車を留める。

「舞花、行くぞ」

「うん」

「物は自由に持って行っていいと、あと何か忘れ物がっあたらいつでもとりに来て良いらしい」

「分かった」

 大きく深呼吸する舞花に佐々木は笑いかけた。

「何か絶対に取りに来たい物があったんだろ」

 佐々木のその言葉を聞いて、舞花の口元が綻びる。

「そうだった、行こう兄さん」

 舞花はゆっくりと、大地に足を付けた。

「鍵って閉まってないんだよね」

「まぁ警察の人がいるしな」

「なんか……変な感じだなっ」

 舞花はニコニコとしている。しかしそれが見せかけというのは佐々木にはバレバレだった。

「無理して笑ってなくていい、俺を欺けると思ってんのか?それとも、無理にでも笑ってないと辛くて泣きそうか?」

「あぁっと……どっちも、かな」

「はっ、なんだそりゃ」

 佐々木は手を差し出した。舞花はそっと自分の手を重ねる。強く握る。

 昔はよくこうして歩いた。今はもう絶対にないと思っていた。けどこの一瞬は、昔に戻りたい。



 室内は事件が起きたまま、残されていた。しかしいくつか無くなった物もあるし綺麗になった物もある。

 血痕や何かの痕は拭き取られたのか淡く濁って、よく分からないようになっていた。果してそれは親切かはたまた検証に使っただけか。

 舞花は家に入った途端無言になった。握っている手が汗ばんでいる。肩が震えているのは気のせいではないだろう。

 きっと、昨日のあの時を思い出している。

 佐々木は舞花の腕を引いて誘導する。

「靴は脱がない方がいい」

 舞花の耳元でそう囁く。理由は舞花も理解している。ガラスの破片や物が壊れた跡がたくさん床に散らばり危ないからだろう。玄関先で靴の裏を拭いたのも、靴の写真を撮ったのも、今後の捜査に支障を来さないためだ。

「まずは舞花の部屋に行こう。二階だったよな」

 舞花はコクリと頷いた。

 そのまま二人は二階へと続く階段を上り、一番奥の舞花の部屋を目指した。

 舞花は部屋のすぐ前で立ち止まった。

「兄さんは、ここで待ってて。すぐ終わらせるから」

「分かった。何かあったらすぐ呼べよ」

「うん」

 舞花だって年頃の乙女だ、見られたくない物の一つや二つあるだろう。佐々木はおとなしくし従う。

「じゃあ……すぐ終わらせるからっ」

 舞花が部屋に入りドアを閉めると、後にはMAIKAと書かれたドアプレートがカランカランと揺れあたるだけだった。



 舞花の部屋は特に荒らされた様子もなく普通の女の子の部屋だった。竹刀や木刀が置いてあるのを除いては。

「お前らも持ってかなきゃいけないな」

 舞花は一本の竹刀を手にしてそう呟いた。そして竹刀袋にそれをしまう。木刀は別の袋にしまう。

「後……旅行鞄。これに最低限いる服詰めなきゃ」

 今は春。これから暑い夏へと向かう。

「夏物の部屋着、外着。冬物もいくつか…あと下着を沢山。制服も新品あったよな」

 舞花は忙しくたんすとクローゼットを行き来する。

「後は……残ってるお年玉と貯金、全部持ってっちゃお。一階に行ってせんめん用具も取ってこなきゃ」

 舞花は鞄に服を詰め込みチャックしっかり閉じる。

 すると何か思い出したのか再びたんすへ近付いた。

「着替えよう。今日も一日制服でいる訳にはいかないな」

 たんすから手頃な春服を見繕い引っ張り出す。

 冬でもはける裏地のついたチェックのスカートに七分袖のTシャツだ。

「早く着替えなきゃ、あまり時間かけると兄さん心配する」

 そして制服のブラウスを脱いでいる時だった。

「ひぃ! ひ、ひやぁっ」

 部屋の隅からカサカサッと這い出してきた黒い固まりに驚いて思わず悲鳴をあげてしまう。

 すかさず部屋のドアが開き佐々木が室内に入って来る。

「どうしたっ! ……っておまっ」

 佐々木は舞花を視界に捉えると思わず目を逸らした。

「お前っ、どんな格好してんだよ!」

 それもそうか。舞花は今ブラウスの前が完全にはだけしかも右肩が露になった……何というかえろい姿になっている。下にキャミソールを着ているもののほのかにブラのラインが透けて見え、誰だって目の前にそんな姿の女の子が現れたらビックリして目を逸らしたくもなるだろう。

 しかも舞花は美人だ。

 幼い頃からよく知っている佐々木ですら頬が赤くなっている。

「そんなことはどうだっていいから。兄さん、あいつどうにかして。私あいつだけは……」

 舞花が佐々木にそんなことを訴えていると、階段の方からドタドタという音が聞こえてきた。その後すぐにキビキビとした声。

「どうかなさいましたか!」

 警官だ。さっきの舞花の悲鳴を聞いて駆け付けて来たのか。

 舞花はやっと自分の今の状況がヤバいと気付いたのか真っ青になっている。

「兄さんどうしよ……う?」

 突然舞花の視界が真っ黒になる。何が起きたのかは何となく理解した。

 この匂い、兄さんだ。

 そう、佐々木は警官の声を聞いた瞬間舞花を隠すように抱き締めていた。

「大丈夫です。虫が出て来て、驚いたみたいで…。もう落ち着きました」

 佐々木は階段のラスト一段に足をかけている警官に言った。警官佐々木の様子を見て少し怪訝そうな顔をしたが、事前に従兄弟だと説明しておいたからだろう。引き返していった。

「ぷはぁ……。兄さんありがとう、助かったよ。どうなるかと思った」

「それは俺のセリフだぜ。たくそんな姿で現れやがって」

「現れたのは兄さんの方だよ」

 珍しく揚げ足を取られた佐々木だがそこは咳払いで誤魔化しておく。

「兎に角だ。ドアのところに居たのが俺でよかったよ。舞花がゴキブリくらいでそんな叫ぶなんて思ってなかったけどな」

「それは、私も悪かったと思ってる。けどビックリしたちゃったのよ! 私だって苦手なものはあるの、あいつだけはどうしてもダメなの」

 佐々木はさり気なく自分の着ていた上着を舞花の肩にかけて立ち上がった。

「分かったよ。退治してやるから少し待ってろ」

 佐々木はそのままゴキブリがいる方へ近付き、どこから持ち出したのか丸めた古そうな新聞紙で一発バシッと決めた。

「これで大丈夫だろ。早く着替えて出てこいよ。竹刀はもう廊下に出しとくからな」

 佐々木は新聞紙をゴミ箱に投げ捨て、部屋の真ん中に置かれたそれらを手に取り部屋の外へ消えた。

「兄さんてさり気フォローとかサポートが上手いよな…」

 舞花は佐々木の上着をそっと掴んでそう呟いた。



「兄さんお待たせ。さっきはごめんね」

 舞花はそれから数分で着替えと残りの荷物をまとめ部屋の外へ出てきた。

「意外と早かったな。もう少し時間かかると思ってた」

「あぁ、それは……。もうあの時はほとんど準備終わってたから。後は試合用の袴と…どうしても持って行きたいと思った物だけだから」

 佐々木は舞花が持っている手提げを見た。

 どうしても持って行きたいって物が、こんだけんか……。

「なぁ舞花」

「兄さん、下行こ? 後必要なのは洗面具くらいなんだ」

 舞花は佐々木の言葉を途中で遮り階段へ向かった。きっと何を言おうとしたのか予想が付いたのだ。そしてそれを聞いてしまうと自分の決心が歪むことも。

「舞花……お前はそれで良いのか?」

 佐々木は誰もいない階段に向かって問い掛けた。

「いいわけないじゃん」

 佐々木が誰もいないと思っていた階段に隠れ潜んでいた舞花は、自分ですら聞こえないような低い声でそう呟いた。



 *



「兄さん。全て準備出来たよ」

 舞花は洗面所から顔を出した。かけた時間一分ちょっと。何という早さだろう、しっかりしている。

「何枚かタオルも持ったから、あとあれとあれも。うん、たぶん大丈夫」

 舞花は頭の中でいる物を総ざらいして頷いた。

「じゃあ荷物乗せるぞ。何か持つよ」

「じゃあこの旅行鞄と勉強用具。竹刀は私が持つよ」

「ん、了解」

 佐々木は言われた物を預かると玄関へ向かった。

「あっ、待って兄さん」

 舞花は急に立ち止まって佐々木を呼び止めた。

 そして親指であるドアを指差す。

 リビングだ。

「ちょっとだけ、覗いて良いかな?」

「好きにしろ」

「うん」

 舞花はゆっくりとドアノブに手をかけ回していく。

 キィという音がしてドアが開いた。

「……………。うん」

 舞花は泣くことも、震えることもせず、ただリビングを見つめ、頷いた。

「行ってくる。また」

 舞花はドアをしっかりと閉め玄関にいる佐々木の元へ駆け寄った。

「兄さん、これからもよろしくね」

「あぁ、よろしく」

 二人は玄関の重たい扉を潜り抜け、外の世界の風を感じるのだった。



 ここまで見てきて分かる人には分かったかもしれないが、舞花は佐倉高校内でも強いと有名な剣道部の部員である。とすると大体予想が付くかもしれないが、春樹や一斗、千里もその部員の一人である。千里の場合あくまでマネージャーだが。

 そして剣道部の現在の正顧問が佐々木である。舞花は小学一年から剣道を習っているが、完全に佐々木の影響を受けた形だ。

 剣道をする者として大切な物は竹刀、並びに木刀。袴や防具ももちろん大切ではあるが、武士の時代にそれぞれの命を守ったのは刀。つまり刀と名に付く竹刀と木刀が一番だと言うのは分かるだろう。

 竹刀は消耗品ではある。しかし、それでも手入れを欠かさずやすりでささくれを丁寧に取って使える限界まで使う。

 舞花が部屋に入って真っ先に竹刀を手に取ったのは、そんな武士の心得からだろう。



 *



 舞花は荷物を乗せ終わると再び助手席に着いた。

 佐々木は既にエンジンをかけ準備満タンだ。

「出すぞ、いいか?」

 そう尋ねる佐々木に舞花は笑顔で答えた。笑顔と言っても、今にも泣き出しそうな、苦いものだ。

「うん。行こう兄さん。いってきます、我が家」

 車は道路へ出ると、軽快な滑り住宅街を抜けた。

「舞花、どっか行きたい場所とかあるか?」

「……うぅん。けど、しばらく揺られてたいかも。わがままかな?」

「いや、大丈夫だ。適当に走らせる」

「ありがとう」

 佐々木の言う適当は、いつも適切の方だということは、舞花が一番よく知っている、かもしれない。

「兄さん私ね、いってきますって言ったけど、ただいまとは言わないよ。だって今は、あそこは我が家であって私の住む場所じゃないから」

 舞花は窓の外の、せわしなく移り変わる景色を見て言った。

「そうだな」

 佐々木は一言、そう返すのみだった。



 しばらくして、外の風景はがらりと変わり、店やマンションのある街の風景から山や川のある自然の風景となった。

「兄さん、絶対適当に走らせてないでしょ」

 舞花は疑いを込めてそう言った。

「いや、適当だ」

 佐々木はそう答える。だが舞花には分かっている。佐々木がどこへ向かっているのかが。



 そして数分後、佐々木はとある公園の駐車場に車を留めた。

 舞花は車を飛び出して園内を見回す。とても広くて、緑や花や水が沢山の、自然溢れる公園。遊具なんかは一切なく、いるのは子供より大人が多い。

「ほら、適当じゃなかった」

「うるせぇ、適当に走らせてたらここに着いたんだよ」

 んなわけあるか。

 語調が荒くなっているのは照れている証拠だ。

「分かった、今日のところはそういうことにしといてあげる」

「何でそんな上から目線なんだよ」

「べっつにぃー」

 舞花は両手を大きく広げて走った。そして振り向き、佐々木向かって軽く舌を出す。

「おまえなぁ…」

 佐々木が拳を震えさせながら振りあげると、舞花は慌てて頭を守った。

 コツっと額に何か触れた。佐々木の指だ。

「馬鹿、本気で殴るとでも思ったのか?」

 舞花は愛想笑いで誤魔化している。

「たく……」

 佐々木はその辺にあったベンチに腰掛け、舞花もその隣りに座った。

 ベンチは大きな山と川、そして公園が一望出来る場所にあった。

「私ね、覚えてるよ。初めてここへ来た時のこと」

 佐々木は黙ったままで、何も言わない。舞花は続けた。

「私が中一で、兄さんが大学二年。あの日は今日と違ってここら辺一帯もう真っ暗だったね……」

 舞花は思い返すように遠くの空を見上げた。

 中学生になって、新しい環境にも慣れてきた時のことだった。

 私のクラスではいくつかのグループが出来上がっていて、私はその中でも比較的温和で当たり障りのないグループに入っていた。正直つまんなかったけど、放課後の剣道部で仲の良い友達が出来たからあまり気にしなかった。

 けど、そんなある時、どこのグループにも入れなかった気の弱そうな女の子が現れた。というか、今までは気付かなかっただけで元々いたんだけど、ある事件をきっかけにクラス中にその存在をしらしめることとなった。

 その事件とは…中学生の女子に在り来たりな、"いじめ"だった。

 その子は、元は所属していたのであろう、クラスでも女王様を気取っているグループのリーダーに、蹴られたりという暴行から物を取られたり死ねなどの落書きをされたりといったいじめを受けた。

 初めは私もすぐに収まるだろうと思ったし、受けるばかりでもないだろうなどと思っていたけど、一週間経った辺りからそれは激しさを増し、新人で頼りない担任はそれを気付いてないふりをした。クラスのみんなも、男子含め全員見て見ぬふりを突き通した。

 私は切れた。

 誰に?

 この事態を知っている全員に。

 自分自身も、先生にだって、いじめてる子いじめられてる子、見て見ぬふりした人、全てに切れた。

 なんで、何でそんなんなんだよこの世界は。

 気付いたら殴っていた。グーで思い切り、いじめてた奴の頬を。

 そして言い放つ。

 お前は最低だ。人の痛みを知らない可哀想な人間だ。お前にいじめられた子の痛みが分かるか?

 そいつはいきなりのことで驚いたのか、頬を押さえ倒れ込んだまま私を見上げ、震えだし……耳が裂けるかと思うほどの声で叫んだ。

 別のクラスの先生がすっ飛んできて、私を指導室に連行した。

 抗う気も、何もなかった。ただ、怒りで震えていた。

 指導室でしばらく待たされてると、お父さんが怖い顔して入ってきた。その時やっと、あぁ私親が呼び出されるほど大変なことをしたのかと気付いた。

 私が事件を起こしたのは放課後で、お父さんはたまたま仕事が早く上がり家にいたらしい。電話で学校から呼び出されたそうだ。

 お父さんはやっぱ怒るかな……と思っていたら私の顔を見た瞬間良かったといって、私を撫でた。私にはその言葉の意味が分からずただ驚くばかりだった。

 その後私は、なぜ同級生を殴ったのかと聞かれ、正直に言ってやった。

 イラついたから。

 生活指導の教師は根気よくなぜイラついたのかと聞いてきた。この先生とは普段から親身にしているから私がこんな暴挙に出たことがきっと信じられないのだろう。

 私は話した。いじめのこと、担任の対応、クラスの反応、自分の心情、全てだ。

 先生は安堵の溜め息を吐いた。そしてありがとうと言った。勇気を持っていじめを止めてくれて。

 私はただ、イラついて反射で行動していただけなのに……。

 先生は、この件は公にはしませんしお嬢様に停学といった処罰は与えませんので、お父様もご安心ください。この件にはお嬢様の担任に非があります。しかし一応お母様にはこのことをお伝えください。とお父さんに言った。お父さんも、はい分かりました。とだけ返事をして席を立った。

 先生に今日はあなたも帰りなさいと言われたので私は素直にそれに従った。

 帰りがけ、お父さんは私に偉かったなと言った。どうしてと聞くと、いじめに立ち向かえる人は少ないからなと笑った。

 私は小学生のときを思い出して少し顔を苦くした。

 家に帰り、間もなくしてお母さんが帰宅し、事件の話をした。

 お母さんは何と言うだろう、と少しワクワクしながら話を進めていくと、いきなり視界が激しく振れ、頬を痛みが襲った。軽く触れると切れて血が出ている。

 私はなぜといったようにお母さんを見た。なぜまだ話し終わってないのに私を悪いものを見るような目で見つめるの。だって私、悪いことしたなんて思ってない。この話にはまだ続きがあるのに……なぜ!

 お父さんは私が頬を叩かれた音を聞き付けてか慌ててこちらにやってきた。そして様子を見て、私を庇った。

 その後はお父さんが変わりに説明してくれたが、お母さんは私を悪いものとして見るのは変わらないし、私もお母さんを許せなかった。たとえ叩くにしても、最後まで話しを聞いてくれたって。

「そして私は家を飛び出して、その辺をふらふら歩いてたときに車に乗った兄さんに補導されて、事情を話したらここに連れてきてくれて……」

「補導ってお前」

「似たようなもんでしょ、ここで兄さんから聞いた話は全部覚えてるよ」

 あの日は真っ暗だったけど、川の流れる音は心地良かったし、月に反射して時折輝く姿はとても綺麗だった。山も風で木々が揺れザワザワと唸ったり、麓に大きな影を作ったり、何というか神秘的だった。

「兄さんは覚えてる? 凄く感動的だったんだよ。私思わず泣いちゃったもん。そんな私を兄さんは優しく―」

「うっさい黙れ」

「……チェッ、つまんないの」

 兄さんはあの日、私に大切なことを教えてくれた。

 お母さんなんて、大嫌いだ。

 そう言い放った私の頭を兄さんは力強く撫でた。

 俺もな、お父さんや先生の意見に賛成だ。お前はよくやった。

 ところでその先生ってのは男だろ? んで担任は女。

 何で分かるの?

 考えてることが一緒だからだよ。男は誰だって、抗えないような強い敵に単身乗り込んで行くような奴を格好いいと思う。お前も似たようなものさ。

 けどな、女は違うんだ。目先のことだけじゃなくて、後のことも考える。

 あくまで予測の域を出ないが、お前のお母さんきっとはそうだった。

 どういうこと?

 考えてみろ。もしもいじめっ子を殴ったとき相手が反撃してきたらどうしてた? もしかしたらお前がもっとボロボロになったかもしれない。いじめの対象がお前に移ったかもしれない。

 お母さんはそう考えたんだよ。

 私そんなの平気。

 舞花が平気でもお母さんは平気じゃないんだよ。特にお前は過去があるからな。

 それに、やっぱり女の子が手を出すってことも、お母さん的には好ましくなかったんだろう。

 …………。

 けど―。

 納得いかないのはよく分かる。俺は男だからその辺の感情はよく分かんねぇからな。

 だがな、これだけは言える。お母さんは舞花が嫌いで叩いたんじゃない。舞花が心配で、けどお母さん的には許せないことがあって、動揺して手が出たんだ。その辺は大人も子供も変わんねぇよ。ただ心配してなければ手は出さなかったさ。どうなろうと構わないって証拠だからな。

 じゃあお母さんは、私のこと悪いものって……。

 見てないさ。それはお前の先入観だ。それより、お前の方がそうやってお母さん見てたんじゃないか?

 そうかもしれない。

 お母さんは、やってしまったという思いと不安、恐怖からそんなな表情をしたんじゃないのか。

 だとしたら……私は悪いことしちゃったの?

 お前は悪くない。お母さんも悪くない。だってお前は自分の信じる道を辿ったんだろ?

 お母さんだって叩きたくて叩いたんじゃない、反射で思わずやっちゃったんだ。今はきっと反省して舞花が帰って来るのをしょんぼり待ってると思うぜ。

 私……私でも許せない。

 話し聞いてくれたらまだ!

「許さなくていい。それはお母さんの話を聞いてからお前が決めろ。けど今、お前はお母さんが嫌いか? だっけな」

「そうそう、そして私が無言で首を横に振って、兄さんが胸貸してくれて……」

 佐々木は照れくさそうに頬をかいた。もう誤魔化そうとしていない。

「兄さんありがとう。あの時の言葉、胸に響いたよ。あの時兄さんに会えて本当に良かった」

「その話はもういいだろ? お前はよくもまぁペラペラと恥ずかしいセリフが言えたもんだ」

「本当のことだもん。正直にいかなきゃ」

 佐々木は何か諦めたようにはぁと溜め息を吐いた。

「後は私が落ち着いたら車に戻って家に引き換えしたよね。私帰りの車でぐっすり寝た記憶がある」

「いい寝っぷりだったぜ」

「気持ちよかったんだもの仕方ないでしょ」

 その後私はお母さんと少し話をした。お母さんは兄さんが思っていたとおりの感想を述べ、謝った。

 私は私自身の思いを告げ、敢えていいよとは言わなかった。今言ったら嘘になってしまうし、いつか自然に許せる日を待ちたかったのもある。

 次の日学校に行くと、驚くべきことにクラス全員にが仲良くおしゃべりしていた。いじめられてた子も話に参加している。

 良かった、仲良くなったんだ。

 そんなことを呑気に思っていると、突然いじめっ子が私の前に現れた。反射で身を構えてしまうのは既に癖である。

 何をするのか、と思ったら突如正座をし、頭を床に押しつけた。

 舞花さんの言葉、感動しました。弟子にしてください!

 一瞬思考回路が停止して、無理やりフル起動させる。

 ええっ! 何言ってるの。

 そんなこんなで私には新しい友達(いや弟子なのか?)が出来、また普通の平和な毎日を送った。

「兄さんのおかげだよ、何もかも。お母さんと仲直り出来たのも、クラスのみんなが仲良くなれたのも、私に弟子が出来たのも」

「今でもその子とはやり取りしてるのか?」

「うん。高校は違うけど一か月に一度は向こうからメールがくるよ。お姉さまぁー! って。その呼び方変えようよって言っても変えてくれない」

 佐々木は喉の奥でククッと笑った。

「相当気に入られたな」

「まぁね。何でも甘やかされて育ったもんだからああやってガツンと言われて感動したんだとさ」

「なるほどな……」

 舞花は隣りの佐々木を見つめた。その澄んだ瞳は、憧れと尊敬と……。

「ん? どうかしたか」

「何でもなぁい」

 と言いつつ舞花はベンチから立ち上がった。彼女の笑顔は日の光を浴びて一層輝く。

「兄さんが私に教えてくれたこと、一生忘れないよ。兄さんは、弱くて泣き虫だった私に強さをくれた、勇気をくれた、今の私をくれた。今の私があるのは、私が本当に小さかったときに兄さんがくれた、力があってこそなんだ」

 舞花はくるりと半回転し、佐々木にお辞儀をする。

「何に似合わねぇことしてんだよ。おれは少し損してんだぜ、強くしすぎたって。おかげでよく歯向かってきて喧嘩が耐えねぇ……今でもな」

「むぅ、それはささきせんせーが私ばかり難しい問題当てるからでーす」

「その言い方すんげーうぜぇな」

「せんせーが生徒にそんなこと言っていいのでしょうか」

 途端二人の周りにはピリピリとした空気が張り詰める。

「やんのか?」

「いいねぇ、私だって昔より強くなってんのよ」

 舞花も佐々木もお互いある程度の間合いを開け構えをとった。

 隙を見計らって舞花が懐に飛び込む。それを待っていたとばかりに佐々木が一発打ち込んでくる。

 舞花はニヤリとして、それをギリギリのところで避け背後に回り込む。そして一発。

 佐々木も舞花のその動きには驚いていたが瞬時に対応。舞花の出した腕が肩に当たる寸前で横に移動し、舞花は打つ対象が無くなりそのまま前に倒れ込む。わけではなくて、見事な受け身で腕にくるダメージを流しすぐ立ち上がったが、はぁと肩を落とししゃがみ込んだ。

「まだやるか?」

 佐々木は勝者の笑みで舞花を見据える。舞花は唸った。

「前よりは続いたもん」

「確かに前よりは動きが良くなってるがまだまだだな」

 佐々木は舞花に手を差し出した。舞花は悔しそうにその手を取る。

「隙あり!」

 その声とともに舞花は手を取ったのと逆の手で佐々木のみぞおちを突く。佐々木がうっ…と鈍い声を発した。

「お前なぁ……人がせっかく」

 佐々木はゆらりと揺れた。一瞬何が起きた分からなかった。

「いったぁぁぁっ! 兄さんギブ、ギブアップです! すみません、許してぇー」

 舞花は腕を後ろで捻られ喚いた。ハァハァ言っている。

「本当にそう思ってるか? あ?」

 佐々木の目は本気だった。舞花は涙を滲ませながらこくこくと頷く。

「よろしい」

 腕を解放され舞花はへたれ込んだ。肩を回して調子を見ている。相当痛かったのだろう、まだ苦い顔をしている。

「自業自得だ、反省しろ」

「くそぉ……」

 舞花はまだ瞳を塗らしながら呟いた。すると佐々木が振り返り舞花を睨む。

「何か言ったか」

「いえ! 何でもないです」

「ふん。ほらいつまで座ってんだ。もう帰るぞ」

 差し出された手に、今度はおとなしく掴まった。

「兄さん」

「なんだ」

「何で兄さんそんなに強いの?」

「さぁな。まぁ一つ言えるのはお前とは年も性別も違う」

「そっか、そうだね」

 舞花は一際強く佐々木の手を握った。必死に何かを我慢しているような顔だ。

「思い出したか。両親のこと」

 舞花は何も言わずに俯いた。

「辛いか」

「うん。嫌い嫌いとか言っときながら結局は大好きなんだなって、話してて改めて思った」

「そうだよな」

 佐々木は内心思った。ここに連れてきたのは失敗だったか、あの記憶は親のことを思い出すだけで辛かったか、と。

「私ここに来て良かったよ。だから兄さんは悪くない。あの思い出はいつまでも忘れたくなかったから、だからありがとう」

 佐々木は苦虫を噛んだ。

 なんて聡い奴なんだ、こいつは。そんなに分かりやすい顔はしてないはずだぞ。

「そんな顔しないでよ、せっかくのイケメンが台無しだ」

「うるせぇ!」

 佐々木は吐き捨てた。

 舞花の方が辛いのに、舞花は佐々木に心配されまいと必死に陽気に振る舞っている。時折見せる悲しげな瞳も、すぐに振り払って笑顔になる。

 そんな舞花は……凄く健気で痛々しい。

「泣きたかったら泣けよ、俺で良ければ一緒にいてやる。一人で抱え込むのだけはやめろ。……笑うなよ?」

「何言ってるの。笑わないよ、笑うわけない。人がせっかく言ってくれた親切笑える方がおかしいよ。……兄さん以上の人なんて、兄さんでももったいないくらいなのに」

 終わりがけは少し声が小さくなった。佐々木は意味を理解していて敢えて尋ねた。

「どういう意味だ?」

「そういう意味だよ」

 舞花も佐々木が理解しているのは分かっていたので軽く受け流した。

 もう車は目の前だ。佐々木がロックを解除すると、舞花は走って車に駆け込む。

 そんな舞花の後を、佐々木はゆっくり歩いて追った。

「兄さん遅いよ」

「別にそんな急がなくても……」

「ねぇ兄さん。私お腹空いちゃった」

 このお調子者発言も、舞花の演技の一つにすぎない。舞花は色々なことを器用にこなす分、昔から勘違いされることが多い。

 少し威張った頼れるお姉さん、と周りから思われている舞花だが、実はそんなのはただの仮面にすぎない。舞花はその仮面が一番人に迷惑をかけず役に立てると踏んだからその仮面を手に取った。

 ひとたびその仮面が取れようものなら、舞花はきっと別人のようになるだろう。根っからの妹気質、甘えることが得意で泣き虫。怒るとめんどくさいけどどうしてもほっとけない可愛さを持つ。

 そんな舞花の仮面の下を知っているのは佐々木ともう一人……。舞花は両親の前でも仮面を外さない。外すのはきっと自分の部屋だけ。もしかしたらそれすらないかもしれない。

 舞花にとって仮面を外すのは恐怖でもある。本性を知ったらもう誰も一緒にいてくれないんじゃないかという思いが舞花を頑なにさせる。そして本性を知っている人でもその仮面の下を見られるのは不本意なのだ。

 たとえ仮面がずれたとしても、すぐに片手ですっと直すし、たとえ落ちてしまっても、慌てずに拾って顔に戻す。

 仮面が割れようと、その痕が分からないくらい綺麗に直して戻す。少し、時間がいるだけで、必死に直してくる。ただ一度割れるとその後しばらくは脆いままなので気を張っているが、それも直ぐに落ち着く。

 舞花は少しの間仮面の下を見せようと、いつの間にか立て直し元に戻る。完全に立て直すまでは自身も気を使って仮面をしている。仮面をしている自分を頑張って演じる。無理している、とも言う。

 今が、それだ。

 舞花は昨日仮面を落とし、その姿を佐々木に見られた。けれど今朝はもう仮面を直す準備をしていて、今は既に仮面をしている。危うく、無理して笑ってるのはまだ仮面が直ったばかりだから。直ぐにいつものようになってしまう。

 佐々木はそれがなにより心配だった。舞花はけして自分から仮面を外そうとしてくれない。だが無理やり剥すわけにもいかない。

 佐々木は車のエンジンを掛けた。

「何が食べたい?」

「私は……何でも。何ならコンビニでも」

 ほらほら、なってしまったよ。

 友達の前では少し威張った頼れるお姉さん佐々木の前では負けん気の強いしっかりした妹。

 気付かないふりをしてるのはどこのどいつ?

「じゃあ家の近くのファミレスな」

「了ー解!」

 調子よく走り出した車に揺られ、舞花はそっと瞼を閉じた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

第一話と打って変わって量が増えたので心配でしたが、本当に嬉しいです。これ以上はないように気をつけます。

どんどん面白くなっていくので今後ともよろしくお願いします。


2012年 11月25日 春風 優華

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ