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第四話 変わらない日常

今回は茶霧さんの日常などを細かに説明してみました。あんまり面白くないね^p^

あとは冒険者というゲームのシステムなどちょこちょこ。これも説明なので面白くないね(´・ω・`)

第四話 変わらない日常


 広大なマップの中、秋庭実の操る萌える闘魂はルーキーの館と呼ばれる場所に辿り着く。これから戦闘やアイテム使用に関するチュートリアルが始まる。私はその全てを把握しているので、簡単に説明しながら彼を最短で卒業させた。本来なら30分はかかる行程を僅か10分ほどで終了させ、ヒューマの故郷である「始祖の島」でレベル上げを開始した。町に入ると、まだ始めたばかりのような冒険者や、すでに高レベルであろう冒険者などで賑わっている。この島は、始めたばかりの人間を血盟(個人が盟主を務める小コミュニティー)に勧誘する先駆者も多数訪れるのだ。血盟に入っているキャラは、その血盟の旗が名前の横に付くので、無所属の人間は一目瞭然となる。まだ右も左も分からない初心者を援助して共に冒険したいと願う血盟もあれば、害と呼ばれる集団まで様々な人々が集う町だった。


「ここで最初のクエストがあるけど、やる?」


「よく分からんが、やったほうがいいのか?」


「うん、経験値もらえるわよ。」


「ならやっとくか。」


私の説明でどんどんとクエストを受けていく萌える闘魂。その間も、知らないキャラクターが声をかけてくる。初心者丸出しの初期装備にクエスト巡りをやっているから、どう見てもルーキーにしか見えない。そんなキャラは格好の鴨となってしまう。


「この旗うぜえな。」


「ああ、こいつらはPK血盟よ。一般人を殺して装備品のドロップを奪ったりする外道。こいつらのせいで折角集めた装備を取られて引退するプレイヤーも結構居るらしいわ。」


「どんな場所にもゴミは存在するもんだな。」


「ええ、それも一つの楽しみ方なのかも知れないけどさ。私は弱者相手に、しかもこんな匿名のゲームでしかやれないってのは社会のゴミだと思うわね。」


「恥ずかしい集団でOKか?」


「だね、最底辺だと思う。」


「弱者ってことは低レベルしか狩らないのか?」


「うん、自分達は40台なんかの強いキャラなんだけど、狙うのは大体20台までかな?強いキャラだと返り討ちにされた場合に自分が詰むことになるから。」


「負けたら詰みなのかよ?」


「そうよ。PKは名前が赤くなるんだけど、その状態で死ぬとボロボロと持ち物をドロップしちゃうの。PKKって言って、PKを専門に狩る人も居るくらいだからね。」


「ふーん、で、PKって何の略だ?」


「プレイヤーキラーの略よ。PKKはさらにそれをキルする人ね。」


「なるほどね。」


「ドロップって何だ?」


「持ち物を落とすことよ。モンスターを倒しながらお金や素材なんか拾ってるよね?それもドロップ。このゲームは死んだら物を落とすから注意して狩りしてね。」


「ああ、俗に言う遺品か。さっき見た装備の価格をこの落ちるお金だけで買うとなると相当時間かかるんだけど・・・。このゲームの装備って高すぎないか?」


「それもマゾゲーって言われる所以なのよね・・・。RMTが横行するのもそのせい。PKなんかが沸いてるのも同じ意味かな。装備を奪われるスリルも味わって欲しいみたいだけど、運営も無茶くちゃやると思うわよ。さすがに前回のアップデートで武器は落とさなくなったけど、防具でも相当な値段よ。スリルがあるのは変わりないってわけ。」


「うわぁー、俺やる気無くなってきたんだけど・・・。」


「大丈夫よ、明日私がいい装備貸してあげるから。」


「いや・・・、お前らとつるむ気無いんだけど。」


「何言ってるのよっ!あんたはこれから私達の血盟『銀の翼』で一緒にガンバルのよ?」


「ええええっ!リアル知り合いが居る血盟なんかゴメンだっての。そんなんだったらやめるわ。」


「え、本気で言ってる?」


「ああ。」


「じゃーいいわ、気が変わったら教えてね。装備は貸してあげるけど、お金貯まったら返してね。」


「あざーっす。」


「気持ちがこもってないわね。」


そして夜が明けるまで萌える闘魂は戦い続け、始発が出る6時にはレベルも7まで上がっていた。





 始発に乗るために一花を叩き起こすと、私はすぐに身支度を整えた。チャムをずっと抱いていた一花は寝癖を私に直してもらいながら別れを惜しんでいる。


「チャムちゃん、また来るからね・・・。」


「ふみゃぁ・・・。」


後ろ髪を引かれる思いの一花を引っ張り、私達は最寄の駅に急ぐ。そして講義には何とか間に合った。ちなみに山岡晴美は昨日飲みすぎたと言って講義を休んでしまっていた。メールで出席よろしくとだけ連絡があった。何があったかは聞かないほうがいいと思い、出席簿に名前だけ書いて提出しておく。一花は黙々とノートをとっていたけど、私は徹夜の疲れもありグッスリと眠ってしまったのは秘密だ。


「智ってば寝すぎ~。」


「昨日は徹夜だったのよ・・・。ふぁあ・・・、まだ眠い・・・。」


「今日は昼までだからがんばろーっ!」


「一花、ノートよろしくねっ!」


「ずるいーっ!!!」


「私もう限界なの、今日バイトだし。」


「ねね、秋庭君と何かあった?」


「何も無いけど?」


「徹夜したって・・・、一人で遊んでたわけじゃないでしょ?」


「うん、秋庭を私達の世界に引き摺り込んでただけよ。」


「私達の世界って?まさか・・・。」


「そのまさかよ、彼は冒険者になったのよ。」


「うそーっ!本当に?」


「うん、キャラの名前は押さえてるから、その内勧誘しましょ。」


「やったーっ!!!これでチャムにまた会う口実が出来ちゃった。」


「その時は私も付いて行くわよ?抜け駆けなんてさせないからね。」


「ふふふふ、智ちゃん、チャムはもう私のものなんだからね。」


「まだ負けてないわよっ!」


「無駄無駄ぁ。」


そしてまた、私は惰眠を貪り、帰りに一花のノートをちゃっかりコピーして家路に着いた。





 自宅アパートに帰った私は、まず簡単に部屋を掃除して洗濯を済ます。昨日やっていないので今日中に片付けたかった。それから、書きかけのレポートを開くと一気に書き上げた。これで来週のレポートは心配ない。来週のプレゼミで使うレジュメだったが、アダム・スミスに関しての自分なりの考察をまとめるものだった。経済学部では登竜門のような題材だ。


「ふぅ・・・、やっと落ち着けたわね。週末はやっぱり思いっきり遊びたいし、これも試練だわ・・・。」


それから私はアルバイトの準備に取り掛かる。塾の講師をやっているので、必ず予習は必要だった。授業は1コマ1時間半で、受け持ちは英語と数学。相手は小学生から中学生。時給は2000円と高めで、月水金に6時から10時まで働いている。これだけでお小遣いには十分な額が毎月稼げていた。学費とアパート代以外は親に頼っていない。反対を押し切って県外の大学を受けたので、無駄な世話はかけないように気を配って入学時から続けているバイトだった。バイト先までは歩いて15分。シャワーを浴びてスーツに着替え化粧を施す。人に見られる職なので、このくらいは必要だった。5時半には塾に着く。他にもアルバイトの学生は数人居たが、女の先生が多いので変なナンパに会うことも少なかった。前にナンパ目的で入ってきた男が居たけど、すぐ塾長にクビにされた。ここは学業をするところ、不埒な輩は要らないと公言している。


「おはようございまーす。」


「ああ、茶霧先生おはよう。」


「智先生おはよう~。」


今日は若い女の先生と塾長と私の3人。私が教えるのは小学生の部と中学生の部で算数と数学をやることになっている。間に30分の休憩が入るけど、休憩時間も次の時間の予習などでトイレ以外の休憩など取れないために時給が発生するので、4時間で8000円は保証してもらっていた。9時30分に授業を終えると、次の授業の打ち合わせをして10時きっかりにタイムカードを押して家路に着く。今日は皆がよく授業を聞いてくれたので、気分が良い。塾長は高校生の英語と数学の担当で、いつも10時まで質問などを受け付けているのでまだ教室に居るはずだ。挨拶を済ませると私はテクテク歩いてアパートを目指した。





 家に帰る前にコンビニで色々と買い物を済ませる。もうすぐ使い切るコスメの買出しや、オヤツや飲み物などなど。レジで3000円ほど出す羽目になったが、快適な冒険ライフのためと割り切る。私は晩酌などしないし、タバコも吸わない。冒険のお供はチョコレートや飴玉だった。今日はいつも品切れになっている小梅キャンディーを買えたのでラッキーだった。自宅に帰り着くと着替える前にPCを立ち上げる。起動時間に服を着替え、化粧を落とし、準備が出来たら即ログイン。これが私のスタイルだ。スウェットの上下に髪はヘアバンドでまとめて、とても人前に出られる格好ではないが、楽なので仕方が無い。コーラをコップに注ぎ、買ってきたチョコレート菓子を机の隅に置くと、私はすぐに冒険者のログイン画面を起動する。昨夜見た秋庭実のPCの倍の時間をかけてログイン画面が立ち上がった。LOADING画面が疎ましい。私はパスワードを入力すると、すぐにキャラクターを選択する。今はチャムしか居ないわけなんだけど、その内に新しいキャラクターも作成することを考えたほうがいいかもしれない。秋庭実も引き込んだ手前、レベルが合うキャラでも作って一緒に遊ぼうかと言う考えが頭を過ぎる。


(まぁ同じ血盟には入らないって言われてるから、そこまでしなくてもいいかな?)


ゲームでは他人でいて欲しいという彼の考えも何となく理解できる。すぐに余計なことはしないでおこうという結論に達した。その間に、いつの間にかローディングが終了していた。


【血盟チャットログ】


いちか:あ、チャムキタ━━━( ゜ ∀ ゜ )━━━ク!!


ハーヴェスト:みっのっり!ボンバイエ!みっのっり!ボンバイエ!


萌える闘魂:・・・・


薩摩大根:チャムこん


いちか:チャム遅かったね?


薩摩大根:彼氏でもできたか?(・・


いちか:チャム反応なしー


ハーヴェスト:同級生居るぞ?・w・


チャム:あんた何してんの・・・


萌える闘魂:いやさっぱり・・・


氷の貴公子:彼はチャムの同級生だって?^^


チャム:そうですけど・・・


いちか:名前聞いてたから勧誘した(`・ω・´)


チャム:いや、うちは入らないって言ってたからビックリしただけ


氷の貴公子:新しい子が仲間になって嬉しいよ^^


薩摩大根:もうすぐしたら皆ログインするからさ、狩りに連れてこうぜ


萌える闘魂:いや、俺は別のとこ行くって・・・


薩摩大根:逃がさんよ


スノークさんがログインしました。


いちか:秋庭くんも一緒にやろうよー


チャム:いちか、本名はやばいよ


いちか:あ、そだよね・・・


ハーヴェスト:あきばみのり君ってここの人は知っちゃったよ・w・


氷の貴公子:まぁまぁ^^ 忘れるってことでいいでしょ?^^


スノーク:盛り上がってるね?新人さん?


薩摩大根:本名を晒されたくなかったらここにいるんだ


いちか:きょうはくwwwwwwwww


ハーヴェスト:もう逃げられんなw


氷の貴公子:今日から仲間になる当今くんでおk?^^


スノーク:当今wwwwwwwww


いちか:当今www


薩摩大根:てことで血盟ハントに行こうぜ~


チャム->萌える闘魂:あんたいいの?こうなったらこの面子止まらないけど?


萌える闘魂->チャム:これが昨日言ってた囁きチャットだな。これは他には見えないのか?


チャム->萌える闘魂:うん、私とあんただけの会話


メイルさんがログインしました。


萌える闘魂->チャム:正直しんどいけど、一花ちゃんが勝手に勧誘飛ばしてきてさ、PTだと思ったらこのざまだ


チャム->萌える闘魂:笑えるわね^p^


薩摩大根:メイルちゃん、狩りいくぞー


メイル:いきなりですかwwww


萌える闘魂->チャム:ほとぼりが冷めたら出て行くよ


萌える闘魂->チャム:しばらく厄介になるわ


チャム->萌える闘魂:じゃあ今日は知らないところいっぱい連れて行ってあ・げ・るw


萌える闘魂->チャム:きしょ


氷の貴公子:いざ、巨人の塔へ^^


いちか:巨人とかwwwwwwwwwwwww


ハーヴェスト:あそこ40台の狩場wwwwwwwww


メイル:死ぬでしょwwwwwwww


薩摩大根:俺が守ってやるお


スノーク:わたしは38だからおk


メイル:大根なんかじゃ守れないwwwww


チャム:レベル上げられるならおk


萌える闘魂:俺レベル8なんだが


氷の貴公子:大丈夫だよ^^ぼくが48だから死なせない^^


チャム->萌える闘魂:きしょって言うな・・・





 高レベル狩場巨人の塔で、秋庭実の歓迎ハントが行われた。私も実は1回しか来た事が無い。後からログインした血盟員2人も加わり、狩りは滞りなく行われ多数の戦死者を出して幕を閉じた。終わる頃にはチャムのレベルは28となり、萌える闘魂はレベル13まで上がっていた。萌える闘魂はLv10から使用できるグレードで最強の装備を貸してもらい、その後も着々とレベルアップするだろう。私も負けていられない。早く30になって新しい装備を買わなくちゃいけない。金策が出来るか微妙だけど、それでも地道にお金を貯めて買うしかない。苦労した装備だからこそ、感動も一入ひとしおなんだ。そこは他人に甘えたらいけないと思う。秋庭実はハヴさんからDグレードの装備一式を借りていた。同じヒューマの戦士系なのでお下がりみたいなものだ。それに20からはCグレードを着れるようになるので、案外短い付き合いになるのかもしれない。それよりも私は装備が欲しい。明日から露店放置で要らない物を売りさばかなくちゃ。

銀の翼:チャム、いちか、ハーヴェストの所属する血盟

氷の貴公子:血盟主。^^を多用する人は経験上ですが痛いのが多いです

薩摩大根:血盟員。高校生らしい。

スノーク:血盟員。自称主婦。

メイル:血盟員。自称OL


血盟とは、他のゲームではギルドなどと呼ばれるコミュニティ。チャットは違う色で表示される血盟チャットがある。


チャットに関しては、一般は白、囁きは紫、血盟は青、PTは緑など、色分けされて見やすくなっている。ここでは全部白黒なんだけども・・・。


装備グレード表

Eグレ1~9

Dグレ10~19

Cグレ20~29

Bグレ30~39

Aグレ40~49

Sグレ50


補足はこんなもんかな?次回あたりから話を少しずつ動かしましょうかね(ゝω・`)

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