第十三話 彼の秘密①【秋庭実side】
知ってた人はごめんなさい。
作者の頭の限界はこの辺りです(ㅎωㅎ*)
第十三話 彼の秘密①【秋庭実side】
真剣な目、彼は何か思いつめたような顔をしている。私は緊張した。
「実は、俺はずっとお前を騙してたんだ・・・。」
「騙してたって何っ!?」
「ちゃんと順を追って説明する。聞いてくれるか?」
「聞かないと帰してくれないんでしょ・・・?それに私も、騙してたって話に興味があるわ。」
「ああ、聞いてくれ。この話が終わったら俺はきっとお前に殴られると思うし傷つけると思う。それでも聞いて欲しい。」
「話によるわよ。」
「じゃあ、結論から言うぞ。」
「・・・うん。」
秋庭実は一瞬躊躇ったが、覚悟を決めたような顔をして口を開いた。私は心臓がドキドキと鳴りっ放しだ。
「俺がハーヴェストだ。」
私は目の前が真っ暗になった。
★
もう大学の2年が始まる。俺は大学の1年次、TOTOで200万ちょっとの金を当てた。学生には大金だったけど、無駄に使うのも勿体無いので、俺はデイトレーダーを始めた。これで全て無くなってもどうせあぶく銭だ。そう思っていたが、次第に波に乗り、いつしか俺は大学も頻繁に休んで嵌るようになってしまっていた。金はどんどん膨れ上がり、我に返った時はすでに大量の単位を落とし、7億ちょっとの大金を手にしていた。こうして俺は新しい住居へ移動して、心機一転で2年次から真面目に学校に通うことを心に誓った。金は十分にあるし、基本的な単位は2年次でもダブらずに取れる。1年間頑張れば、他の学生に十分追いつけるだろう。その代わり、レポート地獄だけは覚悟しないといけない。春休みに学校で調べた取得単位は14単位。他の学生の約半分だろう。まだ十分に許容範囲だった。俺は引越しも済ませ、大きなマンションで一人暮らしを満喫していた。車も以前から欲しかった車種を買う。2人しか乗れない軽自動車だったが、オープンカーにもなるので満足だった。それに俺には隣に乗ってくれる女性も居ない。例え1人乗りだったとしても事足りた。
「新しいPCも買ったし、これで安心だな。どうせ講義開始は4月だし、3月は目一杯遊ぶかーっ!」
しかし、デイトレードに嵌っていた俺には、数少ない友人しか居ない。当然男だらけだった。野郎と2人でドライブなどゾッとする。そこで新しく始まるMMORPGのオープンβに応募し、俺は冒険者の住人となった。そしてその場所でチャムといちかに出会うことになる。
★
2人は初心者丸出しで連れ添って歩き、危なっかしかった。俺は彼女達を狩りに誘い、友人登録までしてしまった。自分は彼女達より10日ほど早くこの世界に着ていたので、予備知識もあった。彼女達は色々と教える俺に懐き、いつしか共に行動をするようになっていった。どうせネカマ(ネットオカマ)だと思っていたが、愛らしい女性キャラにチヤホヤされると悪い気はしない。すぐにリアルでは何をしてるか聞かれたが、俺は適当に30のニートですと自己紹介していた。当然受け狙いのつもりだったのが、彼女達はあっさりと信じ、自分達は○○大学の学生ですと名乗ったのだ。同じ大学の学生。しかも2人とも女の子だと言う。俺のテンションは急上昇し、そして絶対に自分の素性はばらせないと思った。同じ大学に通うのなら、すでに顔見知りの可能性もある。とっくに素の自分を晒してしまっていた俺はもう30ニートを演じ続けるしか無くなってしまっていた。まさに自分の首を絞めたのだ。どうせいつか2人とも飽きて止めるのだ。それまで俺は30ニートで通せばいい。そんな軽い気持ちも混じっていた。
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今日もチャムといちかは、俺のハーヴェストと狩りをする。3人でスノークと言う自称主婦に誘われ、血盟にも入った。そこで3人の親睦は深められ、もはや俺はこの2人と居たくてゲームを続けているようなものだった。学校は始まって忙しくなったし、予想通りレポートの嵐だ。1年生に混じって英語や第2外国語にも通う。ただ専門の講義は3年次からしか選択できないので、前期である程度は皆に追いついた。家に帰るとレポートをし、一段落すると冒険者にログインして2人と遊ぶ。彼女も居ない俺には悪くない生活だった。天然全開のいちかも好きだが、やはり俺はチャムと仲が良かった。もう血盟内では半分夫婦のような感じに扱われている。実際のチャムはこのすぐ傍で生活していることは知っているし、会いたいと思う。でも、俺は自分の素性を明かせない。いや、明かさないが正解だろう。MMOでは当たり前のことかも知れないが、俺はもう嘘で半分塗り固められていた。こんな俺の素性など知られる訳にはいかない。俺はこの生活がいつか終わりになるのを恐れるようになっていた。
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7月に入り、夏休みも間近になったある日、俺は子猫を拾った。マンションの裏で箱に入ったまま雨に濡れてニャアニャア鳴いていたのだ。子猫は3匹居たが、すでに2匹は雨に打たれ続けたせいで息が無かった。俺はずぶ濡れの生き残りを部屋に持ち帰り、ドライヤーで毛を乾かして毛布で包み、必死で看病した。翌日は動物病院に連れて行き、子猫はすっかり回復した。兄弟の墓はマンションの管理人の爺さんと一緒に裏の空き地に穴を掘って作ってやった。いつかは家が建つのだろうけど、それまではゆっくりと休ませてあげたい。それが俺に出来る精一杯だった。俺はこの死んでしまった子猫達のためにも、生き残った1匹を生涯面倒見ようと心に誓った。
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今日も空いた時間で冒険者にログインする。居たのはいちかだけだった。暇してるので、30台の狩場である亡者の城に狩りに行こうと誘われる。ここはソロだと厳しいが、ヒーラーやエンチャンターとペアなら何とか狩りになる場所だ。敵は30台前半のレベルで、29のハーヴェストでは少し荷が重かったのだが、いちかのエンチャントがあれば火力も耐久力も大きく上がる。これは行くしかないと思い狩りの支度を始めると、チャムがログインした。何ともタイミングがいい。やはり俺とチャムは何か運命的な繋がりでもあるのかもしれないと思ってしまう。当然、病的な俺の妄想だったが、やはり心が踊る。馬鹿なチャットで盛り上がりながら、今日は合コンだと言う情報を入手してしまった。チャムは行きたくないと言っていたが、いちかが無理にでもと誘っているようだ。余計な事をしてくれると思う。
「合コンなんか行くなよなー。すっげぇ心配になるじゃん。チャムは美人だっていちかが言ってるし、大学の男なんて放っておかないだろうな・・・。頼む、断ってくれっ!」
しかし、俺の願いも空しく散って、チャムは合コンに行くことを渋々承諾したようだった。俺はPCの前でガックリとうな垂れる。自分から正体を明かすことは無いが、やはりチャムやいちかが他の男とイチャイチャしている現実は見たくない。我ながら勝手な事を考えてると思うが、男なら仕方がない。好意のある女は全て、他の男と仲良くするのは我慢できない。もう7時近くなっている。もうすぐ姫君達は合コンに行ってしまうのだろうと思うと、やはり寂しくなった。悶々としていると携帯が鳴る。俺は何の気なしにキーボードで電話の件を伝えると、コールに出る。相手は結城だ。工学部で学部は違うが、スポーツ講義で一緒になって以来、学校ではつるむ事もある。その程度の知り合いだった。用件は飯でも食わないかと言う話。
「たまには男同士で友情でも深めるか~。他誰が来るんだ?」
俺は膝に乗って甘えているダンゴムシの喉をコチョコチョしながら会話を続ける。ふとチャットを見るとチャムといちかはまた合コンに行く行かないで揉めていた。チャムも往生際の悪いことだ。俺はチャットで飯に行く旨を伝えて後押ししてやる。チャムも渋々と合コンに行く準備をするようだ。電話を切った俺はダンゴムシを抱きながらPCの電源を落とし、適当に服を着る。男同士の食事でお洒落などするだけ無駄だ。それでもそれなりに高いTシャツにジーンズ、腕時計も機能重視の日本製だがけっこうな値段の物だった。
「髪はっと・・・、どうでもいいや。」
俺はそう判断して適当に手櫛で毛先だけを解して無造作ヘアを作ると、鳴くダンゴムシの頭をよしよしと撫でて玄関を出て行った。
★
飯だと言いながら居酒屋を指定した結城の言葉に疑問を感じながらも、約束より少し遅れて居酒屋に到着する。俺は車だ。酒を飲む気は無いのだ。しかし、駐車場で俺を呼ぶ結城の姿を認めて、全てを察する。
(チッ、合コンじゃねぇか。欠員でも出て仕方なくって感じの数合わせかよ。ついてねぇ。)
全てを分かっていながらも、そこで車をUターンさせる気にはならなかった。貴重な友人だ。たまには付き合ってやるかという気になる。結城は俺の傍まで小走りでやってきて、皆に見えないように胸の前で手を合わせて拝むような格好をする。
「どう言う事だ?」
「悪い、今日は合コンなんだ。」
「見りゃ分かるわ。勘弁してくれ。俺何の準備もしてねぇよ・・・。」
「お前はナチュラルに男前だし背も高いから関係ないだろうが。頼むよ。俺今日はマジなんだよ。」
「あの娘か?」
俺は結城の目線である程度の目星を付けている。そこに居るのはTシャツに赤いジーンズのとびきりの美人だった。思わず目を奪われるような美貌。でも気の強そうな目をしている。結城には荷が重いだろう。
「そそ、あれが有名な経済の雪女だよ。お前、実物見たことないだろ?」
「ああ、初見だな。でもあれだけ美人なら納得できるよ。」
「だよなっ!だけど今日は俺を立ててくれよ?」
「それは状況によるよ。」
「お前に出てこられると勝ち目無くなるんだよな・・・。頼むから大人しくしててくれ・・・。」
「分かったよ。だけど俺は好きにさせてもらう。」
「よし、じゃあもう行こうぜ。彼女達待たせてるし。」
「女に手は出さないけど、好きにさせてもらうぜ。それは許せよ?」
「頼むから空気だけは読めよ。」
「いえっさ~。」
「マジで頼むぞ・・・。」
そして俺は、自己紹介から宴も酣となった9時頃まで、ずっと壁を背にしてタバコを吹かしていた。
(あぁ~あ、つまんねぇな。どいつもこいつも盛りやがって、ダンゴムシと遊んでたほうがよっぽど有意義だぜ。ん?)
「悪いけど。」「私、髪を染めてる男って嫌いなんです。」「それとお喋りな男もね。」
結城が経済の雪女に見事に振られた。いい気味だ。思わずニンマリと笑みが零れる。その後、雪女はバッタバッタと他の男も斬り捨てた。
(すげぇ女、ありゃ相当手強いね~。不沈艦じゃねぇか。無理無理っと。)
そこに山なんとかと地味子さんが来て、俺に話しかけるが適当にあしらう。
「今日は数合わせって言ったでしょ?俺は空気だってば。」
「何よそれ~。」「結城君とこ行こう~。」
女達はヘラヘラ笑うだけの俺に呆れて連れ立って行ってしまった。他にやることも無いので、焼き鳥をツマミながらコーラをグイグイと飲んでいると、雪女が俺の所に来た。多分所在無げな俺の所で暇でも潰そうと思ったのだろう。
(どうせ暇だしな。相手してやるか。)
「ねえ、アキバ君でいいのかな?」
「ああ、あんたはサギリさんだよね?」
俺はそう言ってマジマジとサギリトモを見る。本当に美人だ。大袈裟ではなく、こんな美人には今まで縁が無かった。思わず目がマジになる。でも相手は経済の雪女だ。惚れても無駄なことくらい分かってる。
(まぁいいや。俺にはチャムといちかが居るし~って寂しいな俺・・・。)
心の中で自分にノリツッコミをしていると、意外にもサギリトモは自己紹介など始めた。俺も釣られる。そして、少しの間お互いに言葉を交わして、猫の話題が始まるとサギリトモが食いついた。
(お、やっぱ猫つえー。釣れた釣れたっ!)
猫の話ですっかり俺に気を許したような感じになったサギリトモ。態度も柔らかいそれに変化したように感じる。意外にいい雰囲気かもしれない。
「あれ~?智が男の人と仲良く話してるのって初めて見たかも?」
不意に俺の幸せな時間をぶち壊す声がした。ほんわかして如何にも天然な感じ。ふわふわしたイメージの女の子が俺とサギリトモを交互に見比べている。確かカンザキさんだ。
「仲良くないわよ。猫の話で少しだけ盛り上がってただけなんだから・・・。」
「猫?アキバ君は猫好きなの?」
「飼ってる。」
「行く。」
「はい?」
「一花?」
イチカ?俺の嫌な予感が膨らむ。そう言えば同じ大学に通う彼女達も今日は合コンだと言っていた。サギリトモは確か漢字で茶霧智だったはずだ。茶と霧で強引に考えればチャとムだ。それにイチカ。俺の閃きは確信に変わる。
(やべぇ・・・。こいつらがチャムといちかだ。間違いねぇだろこれ・・・。)
俺は焦る。つい会話にも焦りが見え隠れしたと思う。尤も、イチカが俺の家に行くと言い出したので焦っていると思われてるだろうけど、俺は全く違う理由で焦っていた。
(大丈夫だ。俺がハーヴェストだなんてバレるわけがない。だって30ニートじゃないもの。)
結局、イチカが俺の家に行くと言う話は無かったことにされたらしい。茶霧が猛反対したからだ。俺も少し安心する。
「今日は楽しかったです。もう会うことは無いと思いますが、今日のことは忘れません。」
これは帰り際のエピソード。茶霧が他の男達に言った言葉だ。徹底している。そして、俺とイチカと茶霧は2次会をパスして駐車場に取り残され、結局2人して俺の家に来ることになった。
★
2人が部屋に来て、お腹の音で茶霧がいじけたり、猫の名前で悲鳴をあげたりでドタバタもあったが、俺は自室でレポートを書いていた。明日までに提出のレポートが2枚あり、俺はまだ1枚しか仕上げていなかった。やっとレポートを完成させ保存して、ワードを閉じる。すでに時計は夜中の2時を指していた。もうこんな時間かと思いつつ、クラシックの作業用BGMに繋いでいたヘッドフォンを外す。部屋の外で物音が聞こえた気がした。何だろうと思いドアの前に移動すると「どこだよっ!」と言う大声が聞こえた。茶霧だ。
「夜中に大声出すなよ・・・。何か用か?」
「ノックしましたけどね・・・。って言うか、反応してよっ!」
意味の分からない茶霧に俺は顔を顰めたと思う。どうやら帰りたいけど電車が無くなったので送っていけということらしい。
(面倒くさ・・・。)
俺は泊まる事をお勧めする。歩いて一花の家に行くと言う案も出してきたが却下した。夜は何かと危険だ。茶霧は仕方ないと一花を客室に寝かせる。その後、彼女は俺のPCの冒険者を発見した。
「ねえ、あんた冒険者やってるの?」
突然の茶霧の言葉に面食らってしまった。PCの電源を切っていなかったことを激しく呪う。
「え?あー、これはほら、あれだよ。」
「どれよ?」
「前にやろうと思ってDLまでしたんだが、結局やってないんだよ。」
「は?インストールまでしててやってないの?」
「あ、ああそう、インストまでしたんだった。」
俺はテンパってしまった。当然、普段ハーヴェストでログインするためのアイコンだ。アップデートまで完璧にインストールされている。キャラを見せろだなんて言われたら全てが終わるだろう。それだけは避けたい。とりあえず、まだ始めていないと言い訳してみた。すると茶霧は、俺にアカウントを作って今からやろうと言い出す。
(冗談じゃねぇよ・・・。アカウントって言ってももう自分の名前で作っちまったよ。仕方ない。実家の住所でもう1アカウント作成するしかないか。名前は重複しても大丈夫だろう。面倒なことになったな。)
仕方なく新しいアカウントを作成し、茶霧にいいようにキャラを作成され、『ハーヴェスト』と『萌える闘魂』の二重生活が始まってしまった。
★
翌日、一花の策略に嵌められた俺は血盟『銀の翼』に勧誘されてしまった。これで血盟内でも一人二役だ。嫌になる。時期を見てとっととトンズラした方が良さそうだ。萌える闘魂を育て上げる気は無い。ハーヴェストで一杯一杯なのに、もう1匹養える訳が無かった。
(何してんだろ俺・・・。)
激しい後悔が俺を襲う。自分で自分のキャラクターにツッコミを入れてそれをきり返す。我ながら馬鹿みたいだ。他人に見られたら切腹ものの屈辱だ。寂しい男全開だった。当然知っているスノークや薩摩大根、メイルにも「初めまして」の連発だ。これは痛い。
「あーっ!やってらんねぇっ!!!」
俺は馬鹿みたいに^^を付けるハナクソ盟主にイライラしながらPCの横にあるベッドに寝転んで、キーボードだけ引っ張ってくると適当に血盟チャットの返事をしていた。たまにデスクトップの画面を切り替えてハーヴェストと闘魂をうまく使い分けながら会話を終了させようと努力したが、結局チャムもやってきて血盟ハントになると言う。
「Lv8で巨人とかアホかっての。何回死ぬんだこれ?範囲で一発じゃねぇか。」
そう愚痴を言いながらも、俺は忙しくPCを操りながら何とか2キャラを動かして血盟ハントを乗り切る。終わる頃にはもうクタクタだった。今日はもう落ちたほうがいいと思い、萌える闘魂の方のアカウントを落とす。ハーヴェストは売りたい装備があったので、そのまま露店放置させた。今日はもう店じまいだ。
---ピンポーン---
「誰だこんな時間に?」
俺は時計を見る。もう23時過ぎだ。インターホンのTV画面に手を振る一花が映っていた。
「一花ちゃん?何してんだ?」
「チャムに会いに来た~っ!」
「いやいやいや、時間やばいっしょ?」
「だいじょぶー。」
「待ってな。今開けるから。」
「やったっ!」
俺は玄関の自動ドアを開けると、嬉しそうに中に入った一花を見届けて自宅の玄関に回る。程なくチャイムが鳴り、一花がドアを開けて顔を覗かせた。
「やっほっ!」
「一花ちゃん、こんな夜中に男の家に来たらダメでしょう?」
「だいじょぶだよ。ちゃんと痴漢避け持ってるから。」
そう言うとポケットからスタンガンを取り出してバチバチやって見せる一花。俺はゾッとして一花に変なことをする気が全く無くなってしまった。痺れるどころじゃ済みそうに無い。
「チャムは?」
靴を脱ぎながら一花がキョロキョロする。チャムを探しているようだ。そして玄関で勝手に来客用のスリッパを履いてパタパタと音を立てながらリビングに向かう。
「やれやれ・・・。無邪気だね~。」
「秋庭君、チャム居ないよーっ!」
俺は先ほどまでゲームをしていた。恐らく自室にチャムは居るはずだ。
「ああ、多分俺の部屋だと思うってっ!ちょっと待てええええええええっ!!!」
一花は俺の言葉を聞くや否や自室のドアを開けて入ってしまった。
「あああああああああああああああああああっ!!!」
俺は思わず叫び声を上げる。PCでは看板を上げたハーヴェストがアップで座っているはずだ。
「ハヴちゃんが居るっ!!!」
時すでに遅し。昨日必死で守った秘密はあっさりと一花にバレた。
痛いので物を投げないでください。ベタすぎてワロタって反応の方が嬉しい作者です(`・ω・´)
実際にMMOで知り合いの人間にリアルで会うのなんて凄い確率だと思いますが、作者はネットカフェで横に座った人が思いっきり知ってる女の子だったことがありますが、実はオッサンでビビッた事があります。ネカマってやーねっ!当然バレル前に移動しましたとさ(´・ω・`)