第一話 冒険者
初めての方ははじめまして。他の作品の読者様にはこんにちは。
悪い顔の猫と申します。今回は知人の「恋愛小説は書けそうに無い」という指摘に反発して、恋愛物に挑戦しようと書いてみました。しかし、ただの恋愛でもつまらないと、廃人量産システムであるMMORPGを少しだけ舞台にかじらせています。
チャットログなどで、少しだけ専門的な言葉も出てきますが、それは後書きにでも解説を載せようと思います。
この話は不定期連載になると思いますので、気長に待っていただける方は目を通してください。
【注意】
作者は他にも2作品と書いていますが、これは全く趣向の異なる物語です。この作品の雰囲気を鵜呑みにして見るとエライ目に会いますので、心の準備をしてから読むようにお願いします。
第一話 冒険者
【チャットログ】
チャムさんがログインしました。
ハーヴェスト:お、チャムおつー・w・
チャム:お、ハヴさんいましたねw
ハーヴェスト:どうせ暇だしね^^;ニートなめんなよ
チャム:キャハw ニートでもゲーム内じゃ強いっしょw
いちか:|-`)
チャム:あ、いちかいたのねwwwwwwww
いちか:うむ、なんかまた私が入れない空気だったんで空気でいようと思ったんだけどw
チャム:なによそれ?w
ハーヴェスト:チャムは俺の嫁・・・
チャム:wwwwwwwwwwwwww
チャム:もしかして2人で狩ってた?
ハーヴェスト:んだ!でもまだ亡者の入り口だよ
チャム:クレリックいりませんか!?
いちか:バッファーがいるからいらないかも?w
チャム:いちかwwwwしょぼヒールしかないくせにwwww
いちか:^w^
ハーヴェスト:経験も金もしょぼくなる・・・
チャム:またクエストで骨集めて売ればいいでしょw
ハーヴェスト:・・・
いちか:私新しい武器ほしいのよ
ハーヴェスト:もうすぐ30だからね~ 俺も30グレ揃えなきゃ名
チャム:名w
ハーヴェスト:誤字くらい許せよwwwwwwwwww
チャム:私ももうすぐ28だあ~。寄生させて?w
ハーヴェスト:(´・ω・`)
いちか:仕方ないから待ってる・・・
チャム:あざーっすwwwwww
ハーヴェスト:ワープポイント使えよ・・・
チャム:お金ない・w・
ハーヴェスト:何時までいる?
チャム:明日も講義あるし12時くらいかな~
いちか:いやいや・・・ 今日は合コンでしょ・・・ 8時から約束してんじゃん
チャム:あー・・・ メンドクセ いちか行くの?
ハーヴェスト:嫁が寝取られる・・・
チャム:チャラいのしかいないから大丈夫っすよwwww
いちか:一応ほら、付き合いもあるしね?^^;
ハーヴェスト:いってらっしゃい^-^
チャム:その笑顔に悪意を感じるwwwww
ハーヴェスト:時間ないからもう行くよwwwwwいちかかもーん
チャム:待ってwwwwwwwwwwwwwwww
★
私の名前は茶霧智(さぎり とも)。現在20歳で大学生。彼氏いない歴20年。別にもてないわけじゃない。むしろ男は腐るほど寄ってくると思う。でもどの男も性交目的の軽薄な男に見えて好きになれない。別に同姓が好きなわけじゃないノーマルな女。でも男と付き合いたいとは思わない。今の恋人は専らゲームだ。巷で人気になっているMMORPG『冒険者』が私の恋人。実はこのゲーム内に好きな男が居たりする。彼はいつも下ネタを言い、私を笑わせてくれる。でも悪意を感じない。場に合った的確な言葉で私の少し荒んだ心を癒してくれる。自称ニートの30男。でもゲーム内で素性を明かす人間は少ないだろう。本当のところは分からない。ニートだ暇だと言ってはいるけれど、彼はいつも私達と同じ時間にログインし、レベルも然程離れていない。ハーヴェストは実はメインキャラではなく、名のある廃人キャラがメインなのかもしれない。でも彼のログイン画面を見たこともない私は真実を知ることは出来ない。そう、私は彼の真実を何一つ知らない。何処かミステリアスな彼だからこそ好きなのだろう。キャラクターとチャットしか彼を知る術は無い。いつかは会って話をしてみたいと思っているが、彼がハンサムな好青年である可能性は半々だろう。もしかしたら脂ギッシュなキモヲタかもしれない。でも、今私を一番理解し、一番優しくしてくれるのが彼だ。ゲームの血盟内で近々あると噂されているオフ会。彼も参加するのだろうか?もし参加するならば、私も勇気を出して行ってみよう。彼が私の幻想の中の彼と違っていても、彼を嫌いにはなれないはずだから。
★
【パーティーチャットログ】
チャム:疲れたー 休もうよ
ハーヴェスト:だな。今何時だ?
いちか:7時前
ハーヴェスト:そかそか あ、お前ら合コンじゃなかったっけ?
チャム:もうぶっちの方向で・・・
いちか:チャム・・・ 行こうよ~
ハーヴェスト:楽しんできたまえレディ達(´・ω・`)
いちか:寂しそうwwwwww
チャム:私がチャラ男に好きにされてもいいの~?・w・
ハーヴェスト:イヤデス
チャム:じゃ、行かないwwwww
いちか:ハヴちゃんwwwww
ハーヴェスト:チャムの可愛い顔も好きだけど、いちかのおっぱいも捨てがたい・・・
チャム:みたことないくせにwwwwwwwwwww
いちか:私D・・・
ハーヴェスト:Dかっぷハァハァ・・・(〃д〃)
チャム:私だって少しはあるわwwwww
いちか:チャムちゃんはスレンダーな巨乳ちゃんよ?86のEだっけ?
チャム:いちか!!!!
いちか:|-`)
ハーヴェスト:おさんには刺激が強すぎるわい・・・ 鼻血出た
チャム:想像すんなwwwww
いちか:ハヴちゃんは童貞だからな~
ハーヴェスト:30だから魔法を使えるよ・・・
チャム:やかましいwwww
ハーヴェスト:あ、ダチから電話きた
チャム:でてら
いちか:そろそろ私達も準備しよっか?
チャム:私いきたくなーい
いちか:我侭いわない
チャム:ハヴちゃんと一緒にいたいー
ハーヴェスト:残念ながら無理だな
チャム:戻ってたのかよwwwww
いちか:何か予定はいった?
ハーヴェスト:んだ、わしの友達がお食事に誘ってくれるとさ。友達少ないから行かないと捨てられる^-^
チャム:寂しいw
いちか:おk チャムも準備するー
チャム:ハァー 気が乗らない・・・
チャム:ハヴちゃんの友達って男でしょ?
ハーヴェスト:他に想像できるか・・・?
チャム:いんや?
ハーヴェスト:なら聞くなよwwwwwwww少しは察してくれwwwwwwww
チャム:^p^
ハーヴェスト:はらたつ子wwww
ハーヴェスト:んじゃまたのーノシ
ハーヴェストさんがログアウトしました。
チャム:いちか、ハヴちゃんって謎よねー
いちか:?
チャム:ニートのくせに用事多くない?
いちか:ニートかどうかは分かんないよー
チャム:だよねー でも社会人のハヴちゃんて想像できんわー
いちか:さて、私も落ちて支度するね。チャムもさっさと準備しなよ?あとでメールするから
チャム:あいお
いちか:またねノシシ
いちかさんがログアウトしました。
チャム:^^ノシ
★
憂鬱な時間がやってくる。私は合コンが嫌いだった。大学内では女子グループでたまに催される合コン。私は男と付き合う気がないことを明言しているが、そんな私を心配し、一花はいつも私を誘う。女子グループ内での付き合いもあるのだけれど、やはり余計なお世話であることに変わりはない。今日は大学近くの飲み屋に集合だった。一花は可愛らしい淡いブルーのワンピースにシンプルなネックレス。髪は綺麗にアップされていた。この娘は清純を地で行っている。趣味はファンタジー小説を読むことだそうだ。メルヘンという言葉がこれほど似合う女の子も今の社会では少ないだろう。故に私は一花が合コンに行くことに少しだけ反発する気持ちがあった。合コンなどに行かなくても、彼女ならきっと素敵な彼が出来るに違いない。少なくとも合コンなどに参加する男に彼女は勿体無いと思う。今日もお嬢様なオーラを発しながら私に駆け寄ってきた一花と対照的に、私はシンプルなTシャツに赤いジーンズ。およそやる気の無い格好で彼女を驚かす。
「智ちゃん・・・。またそんな格好で・・・。大学にはスカートで来るくせになんで・・・?」
「やる気出ないって言ったでしょ?いいのよ。ちゃんと化粧だけはしてるから。」
「智ちゃんは本気出すと可愛いよ?わざわざ可愛くない格好しなくてもいいのに。」
「わざと可愛くない格好してるのよ。これで男の気を惹かなくて済むわ。」
「勿体無いなあ・・・。」
私と一花が話していると、大学の友達も現れた。彼女達もそれなりにやる気のある格好をしている。バッチリ化粧をし、勝負服に身を包んでいた。
(すっごいやる気だなー。でも一花のほうが可愛いのよね・・・。何か素材が悪いって言うか着こなせてないし・・・。)
内心ですごく失礼なことを思いながら、男の登場を待つ。待ち合わせ時間は19時50分。1分でも遅刻したら私は帰る気でいた。しかし、私の期待も虚しく3人の男が19時45分には現れる。こちらは4人。男が1人少ないと言うのも失礼な話ではないだろうか?
「あら?結城君。そっち3人?」
私達の代表である企画した女子が相手のユウキ君という男に話しかけた。
「ああ、山ちゃん悪い。もう来ると思うんだけどさ・・・。」
山ちゃんというのは企画した女子。山岡晴美という名前だ。だから山ちゃん。
「あ、来た来た。おーい、アキバこっちだよっ!」
今度はアキバか。秋葉系だったら笑えるのにと思いつつユウキ君の手を振る方向に目を移す。そこには可愛らしい車が止まっており、中から少し背の高い男が出てきた。あの狭そうな車に似つかわしくない大柄の男だ。私の身長が165cmあるが、少しヒールの高い靴を履いているにも関わらず、彼の目線は頭の上にあった。きっと180ちょっとはあるだろう。顔もキリリとした感じで、他のチャラ男とは一線を画している。彼も少しやる気を感じないTシャツにジーンズ。腕には日本製の時計を嵌め、髪はラフに何も付けずに適当に櫛で梳いただけという感じだ。
「どういうことだ?」
それがアキバと呼ばれた男の第一声だった。どうやら合コンとは聞いていない様子。ユウキ君はそんなアキバ男を駐車場の隅に呼び寄せ、何やら話している。少し私のほうをチラチラ見ているのがいけ好かない。最初から低いユウキ君の評価は私の中で一気に落ちる。アキバ男は腕組みしながら何度か頷いていたが、やれやれという顔をして皆に合流した。
「じゃあ、中に入りますかっ!」
テンションが高いのがうざい。ユウキ君と以下2名の男は、楽しくて堪らないという顔をしている。アキバ男だけは列の最後尾に少し離れて、ボキボキと指を鳴らしながら付いてくる。予約していた大きめの個室に8人は入る。全員が小鉢のお通しを置かれ、最初は生ビールで乾杯ということになったが、アキバ男だけはコーラを注文した。車で来たからだ。所謂ハンドルキーパーという役なのかもしれない。
「一人だけKYな奴が居ますが、気にせずにっ!今日はお互いの親睦を深め、大いに楽しみましょうっ!!!」
ユウキ君のお決まりの言葉で始まり、男から順に自己紹介を始める。今時こんな合コンもないだろうと思う。まるでお見合いだ。男達の名前は私の記憶には残らない。実際に他の2人の男は名前を名乗ったにも関わらず、私は彼らの苗字すら覚えなかった。いや、聞いていなかったと言うべきか。ただ目の前に座ったアキバ男のつまらなそうな欠伸を目の端で捕らえ、その仕草を観察していた。彼は自己紹介中にいきなりタバコを取り出し、一言「吸いますから近付かないように。」と言うと部屋の隅に背を持たれてスパスパやりだした。そして自分の自己紹介になると、「俺は数合わせだから気にしないで。皆は勝手にやってくれ。」という言い草。完全に空気を読まない人と判断する。ちょっとした苛立ちが私の中に芽生え、一花は面白い人だと私に小声で耳打ちした。
「おいおいアキバ、少しは空気読んでくれ。こいつの名前はアキバミノリって言うんだ。今日は1人来れなくて急遽呼んだから機嫌悪いのよ。みんなゴメンネ~。」
ユウキ君が申し訳なさそうに女性陣に声をかける。私はやる気のない自分のことは棚に上げて、このアキバミノリに腹を立てていた。
(ちょっと失礼すぎないこの男・・・。まぁ女が勝手に寄ってきてますってルックスだけど、調子に乗ってるんじゃない?)
アキバミノリは、こちらの鋭い視線に気付いたが、少しだけ口の端に笑いを浮かべてそっぽを向いた。今、絶対に鼻で笑ったに違いない。そこに山岡晴美が席を移してきて、アキバミノリにアプローチを開始するが、意に介さない様子であしらわれている。
「ねぇねぇ、茶霧さんって経済学部でしょ?」
ユウキ君が機嫌の悪い私に話しかけてきた。私は生返事だけを返す。あなたに興味はありませんと態度に出さないと、学内で会った時に声を掛けられるからだ。下手すればそのままお茶に誘われる。そんなことは真っ平だった。こんな髪を明るく染めた男など、眼中に無い。そんな私の冷たい態度にも関わらず、ユウキ君はさらに質問をぶつけてくる。
「俺は工学部なんだっ!こっちは女の子少なくってさ、こんな合コンでもないと女の子と知り合うチャンスも無いわけだよ。もしかして俺のこと軽い男だと思ってない?だとしたら心外だな~。俺はけっこう誠実だよ?今日はせっかく知り合ったんだし、お互いにもっと楽しもうよ?今日は2次会3次会まで企画してるから、絶対参加して行ってね?」
私が聞きもしないのに、ユウキ君はペラペラと喋る。今日の狙いは最初から私だったのかもしれない。先ほどのアキバミノリとのやり取りで薄々感じていたが、予感が確信に変わる。一刀両断にしておかないと、後々面倒なことになりそうだ。
「ねね、番号とアドレス教えてよ。」
「悪いけど。」
「ん?」
「私、髪を染めてる男って嫌いなんです。」
「・・・。」
「それとお喋りな男もね。」
ユウキ君の顔が見る見る曇った。少し可哀想だが、気のある素振りで男を振り回すのはもっと悪いと思う。だからいつもの如く、適当に理由を付けてバッサリと斬り捨てた。ユウキ君は小さく「そっか、ごめんね・・・。」と呟くと私から離れて行った。当然このやり取りは大っぴらに行ったわけではない。場の空気を一気に変えてしまうので、いつの間にか皆に気付かれないようにやる術を私は身に付けていた。ただアキバミノリだけは、こっちを見てニヤリと笑っている。全て見ていたらしい。他の2人も同じように適当な理由を付けて斬り捨てると、やることのなくなった私は、暇つぶしにアキバミノリの対面に席を移す。うちの女子2人も、先ほどアキバミノリで撃沈しているのをこっそり見ていたので、明らかに今まで合コンで出会ってきた男とは違うコイツに少しだけ興味が出たのだ。
「ねえ、アキバ君でいいのかな?」
「ああ、あんたはサギリさんだよね?」
「そうよ。茶色い霧で茶霧。名前は智よ。知るの下にお日様の日で『とも』。アキバ君はどんな字書くの?」
「俺は秋の庭でミノリはそのまま実行の実で『みのり』だ。よく『みのる』と間違われるけどな。」
「そっか、秋庭君って今日は数合わせなんでしょ?」
「そうだよ。そういうあんたも数合わせか餌でしょ?」
「餌?」
「そそ、あんた目当ての男を呼び寄せるんだよ。所謂撒き餌だ。あんたの名前で男を集めてるんだよ。気付いてないのか?」
「いやいや、皆が私に彼氏を作ろうとお節介を焼いてくれるだけよ。そんな気毛頭無いんだけどね。」
「いやいやいやいや、あんた餌だよ。経済のサギリトモは美人で農学部でも有名だもん。その名前出せば合コンで男集めるのなんか簡単でしょ?俺も実際見て納得したよ。でもやる気ねぇカッコしてんな?」
「褒め言葉として受け取っとくわ。でもやる気ないのはお互い様でしょ?あなたも相当やる気ないわよ・・・。」
「俺は飯だってんで来ただけだよ。呼び出されたのもさっきだしな。最初から女が来るって分かってたらもう少しは空気読むよ。今日の態度はあいつらに対する当て付けだ。あんたらにも不愉快な思いさせて悪いとは思ってるんだけどな。でももうすぐお開きみたいだから、やっとゆっくり出来るよ。」
「へー、いつもそんなじゃないんだ?」
「流石にいつもこうだと友達も出来ないだろうが?コミュニケーション能力くらいあるわ。でも今日はそんな気分になれない。家に帰ってゆっくりとゲームでもするよ。猫のご飯もまだだしな。腹空かせてっから早く帰ってやんないとね。」
「猫飼ってるの?」
「ん?ああ、最近だけどな、捨て猫を拾ったんだ。3匹いたんだけど、箱の中で2匹は死んじゃっててさ、唯一の生き残りが俺の部屋に居るわけだよ。マンションの裏に穴掘って埋めてやったんだ。切ない世の中だよなぁ。あんな可愛い子猫を平気で捨てる奴の気が知れんよ、マジで。」
「マンションって猫飼っていいの?」
「そこに食い付くな・・・。うちのマンションはOKなんだよ。猫って可愛いぜ?毛もモフモフしててさ。俺が帰ったらニャーンって鳴きながら走ってくるのよ。飯食ったらゴロゴロいいながら膝の上で寝てね。今は女より猫だな~。」
「男の一人暮らしに猫って少し悲しいような気もするけど、猫が可愛いってのは同意ね。うちも猫飼えたらな~。」
「お前のとこ猫ダメなのか?」
「普通のアパートはそうよ・・・。あんたのアパートが異例なのよ。」
「そうとも言う・・・。」
「あれ~?智が男の人と仲良く話してるのって初めて見たかも?」
ほんわかした言葉が横から聞こえた。一花だ。彼女も他の男に執拗なアプローチを受けたようだけど、綺麗に受け流してきたらしい。天然の一花は口説かれていることすら気付いていたか微妙なところだけど。
「仲良くないわよ。猫の話で少しだけ盛り上がってただけなんだから・・・。」
「猫?アキバ君は猫好きなの?」
「飼ってる。」
「行く。」
「はい?」
「一花?」
「猫見に行く。」
「行くってあんた・・・。」
呆気に取られたような秋庭実。少し焦った様子がおかしい。
「猫触りたい。」
「いやいや、俺って一人暮らしだよ?」
「何か問題あるのそれ?」
「一花、大問題よ普通は・・・。」
「男の一人住まいに女が来るってことは大問題でしょ・・・。」
「猫と遊ぶだけじゃダメ?」
「まぁ俺は構わんが・・・ね?」
「私が許さないわよ。」
私は断固として反対した。一花を男の家になど行かせるわけにはいかない。最悪の場合貞操の危機だ。
「だそうだ。」
秋庭実は少し笑いを浮かべて残念というゼスチャーをする。
「でも行く・・・。」
「一花っ!」
「智も一緒に行くよね?」
「え?」
いつの間にか時計は夜の10時を回っていた。
クレリック:回復専門職。上級職になると高レベルのヒールを覚える。チャムの職
バッファー:エンチャンターとも言う。身体能力をアップさせる魔法を使う。バイキ○トとかそんなの・・・。いちかの職
ハーヴェストはウォリアー:様々な武器を使いこなす近接戦士系の職業。
茶霧 智(さぎり とも) キャラクター:チャム
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茶霧智の友人。同国立大学に通う学生。経済学部。19歳
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MMORPG冒険者を楽しむ自称ニートの30男。チャムの一番の友人。変わり者
秋庭 実(あきば みのり)
同国立大学に通う学生。合コンで2人と知り合う。農学部。20歳
神崎一花は他作品にも出ている同一人物です。あの事件が起こらなければというifの設定で登場しています。だって作者は一花が大好きなんですもの。今度こそ幸せになって欲しい。