8話
本日1話目です。
桜が散り、葉桜が青々としてきたある日
相変わらず、授業を受けていた。
公務員として大学までは出ている身としては、中学3年生の授業は非常につまらなく感じていた。
そして、5月が終わりが近づくと中間テストが間近に迫っていた。
先日も担任から
「来週からテスト週間に入るからな。テスト範囲を確認しておくようにな。」
とアナウンスがあった。中学3年生は高校入試も控えていることもあってか、クラスの雰囲気はいつもと少し違う様相をしていた。
「十森!テスト勉強してる?」
数学の授業が終わり、青山が話しかけてきた。たしか、青山は勉強ができていたはずだ。
「青山に比べたらしてないと思うけど、テスト範囲くらいは教科書見てるよ。」
「めずらしいな。十森はテスト範囲なんか見て勉強してるイメージがなかったよ。」
言われて気づいたが、中学生のころに配られていたテスト範囲をまともに見ていた記憶がまったくない。大人になってわかるが、テスト範囲は見ないと勉強してもあまり効果がない。
「親に言われてさ。塾に入れられるくらいなら、勉強をしなきゃと思うようになったんだよ。」
「ほう。それなら、オレと勝負するか?」
前の世界のオレでは青山に勝つのは不可能に近かった。たしか、青山は平均点85点でオレが平均点78点ぐらいだったはず。だが、今は違う。
「いいぜ。負けたらサラダ焼き奢りな!」
「まじか!十森が勝負にのってくるとは」
今回は、大人の知識もある分、こちらが有利なのだ。少しずるい気もするが、勝負はいつも非情なのだ。
「2人でおもしろいことやってんじゃん!オレも混ぜろよ〜」
眞島がオレたち2人の声を聞いてこちらにやってきた。
「今、十森とテストで勝負してたんだけど、マッシーも混ざりたい?」
青山が眞島にそう言うと、眞島は二つ返事で了承した。
テストで賭け事したりするのって、なんか学生らしさを感じるな。マッシーも平均点数は青山よりは低いがオレよりは高かった。二人してオレにたかろうという魂胆が見え見えだ。だが、今回は絶対に勝ってみせる!
その後、2人と最近流行っている曲について話をしていたら、次の始業を知らせるチャイムが鳴る。慌てて、2人が自分の席に戻っていった。
「ねえ、ねえ、聞いたよ。青山とマッシーのさん人でテスト勝負するの?」
授業の準備をしていると横の席の紗英から話しかけられる。
「ああ、そうだよ。」
「たしか十森って2人より頭悪かったよね。大丈夫なの?」
心配してくれているようだが、口が悪い。それも紗英らしいといえば、そのとおりだ。
「今までのオレとは違うのだよ。今回は絶対に勝てる自信がある。」
小馬鹿にしてきた紗英を横目に教科書を準備しながら言う。
「なにそれ。そんなのあるなら、ウチが知りたいんだけど。」
「秘策はな、、、勉強することだ。」
敢えて、間を開けてから当たり前のことをつげる。
「そんなの当たり前でしょ!!あんた、奢ってばっかりじゃお金がなくなって困るよ。」
もしかして、この間、オレが金がないって言っていたから心配してくれている?いやいや、そんなことあるはずがない。
「まじで勝てるんだって。見てろよ。」
ちょうどオレが言い終わるころに担当の先生が授業を行いにやってきた。次は、英語の授業だった。
授業が進み、テスト勉強のための英文づくりが課題にだされた。お題は『好きなものについて』をI like ~~で表すというものだった。
制限時間が15分与えられたが、大卒までしていたため、5分程度で完成してしまった。周りをみると、まだ作り終わっていない人でいっぱいだった。15分が終わると、
「では、できた文章をお隣のペアと見合って違う単語や文法をチェックしましょう。」
紗英とプリントを交換して、お互いに添削しあう。紗英のプリントは完成しているものの過去形と現在進行系が混ざっていたり、文法も違うところがあった。
「ちょっと、十森!これ、どういうこと?」
横を見ると、紗英がこちらを疑うような目つきで睨んでいた。
「あんた、英語が苦手だったよね。カンニングでもしたの?」
なるほど、カンニングを疑われているようだった。たしかに、中学生のころのオレは英語が大の苦手で5教科の中で1番、足を引っ張っていた。だが、それも高校・大学の英文法や文章問題の量などに比べれば、大したことはない。
「カンニングなんかするわけないだろ。さっきも言っただろ、秘策があるんだってな。そうでもしなきゃ、青山やマッシーの勝負にのるわけないだろう。」
「十森、さっき言ってたのマジだったの!」
ーーーーーーーーーー
授業が終わり、給食の時間となった。
配膳が済み、合掌を終えて給食を食べ始める。
「十森さ。テストの話だけど、どこかで勉強とかしてるの?」
紗英がご飯を食べる手を止めて、向かいに座っているこちらを見て話し始めた。
特に勉強しているわけでもないので、回答に困る。中学生のときは図書館で勉強していたことを思い出して言うことにする。
「図書館で勉強しているかな。」
「一人で行ってるの?」
「そうだよ。朝一から夕方まで勉強してるよ。」
今思い出しても頭おかしいころだったのかもしれない。周りの友だちが塾や家庭教師に頼る中で、自分を特別視していたのだ。
「すごいね。ウチは塾でしか勉強しないからダメなのかな。」
「いや、そんなことはないと思うぞ。勉強がゼロよりすごいことだと思う。オレなんかは図書館にいかないとゼロの日だってあるからさ。」
「なんか、ありがと。」
紗英が下を向いて何か喋っていた。
「なんか言ったのか?」
「なんでもない!」
ガンッ!
「イテッ!!」
紗英の言葉と同時に机の下から紗英の足がオレのスネめがけて飛んできた。
「何をするんだよ!痛えだろうが!」
反射的に紗英のくつ目掛けて蹴り返す。
「痛いじゃん!女子に向かって何するの!」
その後、給食をそっちのけで紗英と蹴り合いになってしまい、担任にまた怒られるのであった。
そろそろ貯めていた分が終わりそうなので投稿頻度が落ちると思われますが、がんばって書きますー!




