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7話

本日、2話目です。



翌日の放課後


なけなしの千円札をかばんの中にいれて1日をすごした。


帰りの会が終わり、カバンの用意をして部活に行こうとしていた。


「十森!今いい?」


声の先を見ると、紗英がバドミントンのラケットバックを肩から担いで、カバンを持った状態でこちらを見ていた。


「難波か。どうした?」


「この間の約束のことだけど、覚えてるよね?」


ここで覚えてないなんて言ったら、カバンで叩かれることになるだろう。ここで争ってもひどい結果にしかならないだろうから正直応えることにしよう。


「サラダ焼きを奢る話だろ?覚えてるよ。」


「それならよし!部活終わったら、公園だからね!」


「わかってるよ。千円しか持ってきてないんだ。一人一個だからな!」


「え?当たり前じゃん。んじゃ、よろしく〜〜」


紗英は満面の笑みをうかべて駆け足で教室の外へと出ていった。

何か話が噛み合っていないような気もしないでもないが、智たちになんて言い訳して一人で帰ろうか、考えながら部活に向かうことにしよう。




ーー




部活が終わり、約束された公園へと向かっていた。


「はあ、智たちには『学校によってから帰るから一人で帰るよ』って言ったら、気遣って付いてこようしてくれたのを無理やり来ちゃったから大丈夫かな。」


これで、いらぬ噂をたてられても困る。明日、何か言われたときにフォローできるように考えておこう。


公園につくと、近所の小学生や親子連れの人たちが疎らに遊んでいる姿がみられた。紗英たちがいるだろうと思い、周りを探すが見当たらない。


まさか、ここから騙された?まじか、、、、


公園に背を向けて帰路に戻ろうと歩き始める。すると、


「ちょっと!十森!どこいくの??」


振り返ると、紗英が一人で立っていた。近くに他の女子部員も見当たらない。


「あれ?他の連中は一緒じゃないの?」


紗英に問いかける。


「何言ってるの?一人に決まってるじゃん。」


それから、オレが思い違いをしていたことを伝えた。紗英は腹を抱え笑い始める。


「なにそれ、おもしろすぎる!みんなで十森に集るわけないでしょ!」


「いやいや、そんなこと言ってもよ!だって、2人とか難波は嫌じゃないのかよ。」


「なんでよ!早くいこ!売り切れちゃよ!」


そんなことを言いながら、紗英はオレを置いて先に歩いてサラダ焼きが売っている店の方向へと歩き出していく。


そして、サラダ焼きを2つ注文して歩きながら食べていく。


「おいしい!ありがとね、十森。」


紗英が横でサラダ焼きを食べている。とてもおいしそうに食べる紗英を眺めていた。

紗英って、サラダ焼きが好きだったんだな。前の世界では好きな食べ物も知ろうとしなかったな。たのしそうな紗英の笑顔を見てぼーっとしてしまう。


「十森は、好きな人っている?」


紗英はサラダ焼きを食べ終えて、顔をこちらに向けながら聞いてきた。


「好きな人か・・・」


考え込む。紗英の顔を見ると、真剣な顔でこちらを見てきていた。ここで笑ってしまっては紗英の気持ちを無碍にしてしまうのではないかと思い、真剣なトーンで話を続ける。


「今は、いないよ。」


紗英は、なんとも言えないような顔で何も言葉を発しなかった。オレは言葉を続ける。


「でも、気になっている人はいるよ。」


「え、ほんと?だれ?」


紗英はこちらの方を向いて気になっている様子だった。


「それは言えない。」


「なんでよ!教えてよ。」


押し問答になりそうだったので、質問で返すことにした。


「それなら、紗英は好きな人とかいるのかよ。」


「んーー。いる。」


「オレの気になる人が知りたいんだったら、先に紗英の好きな人を教えてよ。」


「それはいや。」


信号が変わり、横断歩道で止まる。


「それなら、十森の好きな人が年上か年下かだけでも教えてよ。」


「好きな人じゃねえし。でも、それぐらいなら、いいよ。タメだよ。」


正直なところ、このやり取りが好きではなかった。紗英がオレのことを好きだという保証なんかはまったくない。それに、オレが言ったところで高感度が上がるとも思えない。今言っている、気になる人だって、無難に誰とでも当てはまるようなことばかりだ。


「そうなんだ!紗英と同じだね。何部か当ててもいい?」


だけど、本当にそれでいいのか?オレは何のために中学3年生までもどってきたんだ。

紗英とすれ違ってきた過去を変えるために来たんだろうが!


「オレの気になっている人は女子バド部だよ。」


言ってやったぞ。いつものオレならごまかして有耶無耶のままにしてきたやり取りだが、変わってやるんだ。


「そうなの?!紗英の知ってる人??」


あれ?紗英のこの言い方は脈無し??でも、紗英は素でもこんな感じだからか分からない。


「そこまでは言えないよ。難波の好きな人は何部くらいは聞いてもいいだろ?」


とりあえず、紗英の好きな人の手がかりを掴むためにも情報を聞き出すしかない。


「んー何部だと思う?」


「野球部?」


とりあえず、メジャーな部活から聞いてみることにした。


「ちがうよー。」


「サッカー部?」


「ちがいます〜」


その後もバレー部やバスケ部などを聞いていった。しかし、どれも的はずれだった。なかなか情報が聞き出せないまま時間だけが過ぎていった。紗英の帰宅途中の分かれ道まで距離が近づいてくる。意を決して本題に入る。


「もしかして、男子バド部だったりする?」


紗英の顔を見ると、こちらの方を見ていた。紗英の目と視線がぶつかる。紗英の口が開いて言葉を発しようとしていた。心臓がとまったかのように自分の表情が動かなくなってきた。


「そうだよ。よくわかったね!」


その言葉を聞いた瞬間。ふと、秀樹と紗英が仲良さそうに話している場面を思い出して、複雑な気持ちになった。


もう、前の世界のようなことだけは繰り返したくなかった。だけど、ここで答えを聞くこともできない。


「そっか。お互いに付き合えるいいな。」


チキってしまった。。本当ならここで告白ができればいいんだが、万が一のことを考えてここではないと思ってしまう。


会話が途切れて、お互いに歩き続ける。



「ウチ、家こっちだから。」


「おっけ。また、学校でな。」


別れの挨拶を済ませて、それぞれの岐路へと歩みを進める。


あそこでもう少し攻めた話をすればよかっただろうか。でも、紗英の好きな人が違ったときのメンタルのやられ具合が尋常でない。


もやもやとしながら紗英から背を向けて少し歩いていると、


「ねえ!!」


紗英がこっちにむかって叫んでいる。車道が近くにあり、車の音で聞き取りづらい。


「あれ、本当だからね!!!じゃあね!!」


そう言い残して紗英は早足で行ってしまった。


本当って何がだ?わからないから走って聞き直しに行くのは格好が悪いからできないし、、きっと、好きな人がバド部だってことだろうな。


また、秀樹の顔が浮かぶ。それを消すように駆け足で家へと向かう。




ーーーーーーーーーー



紗英は十森と別れて家路を急ぐ。いつもよりも帰宅時間が遅れているため両親に勘ぐられることがいやだった。


「そういえば、最後の伝わったかな。」


紗英はため息をつく。


「メールでつい言っちゃったけど、バレちゃったかな。」


紗英は歩くスピードをより一層速くする。

頬がほのかにあかくなっていたことは誰も知らないことだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


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