第6話 こいつが噂のギャンブラー
「あー、今の私は苛々してますね。あたりどころか、確変も来ないのでねー」
:確変とは?
:次、大当たりが出やすくなる奴やgrks
「ちなみに、この時ですでに二万は使ってます。イライラするのも納得ですねー。昔はしなかったんですけどねー。こうも長い間やってないと感覚変わりますねー。あと、この台全然回らないのでそれでも苛々してますねー」
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「あー、そうですね。福沢、渋沢の両方が四人吸い込まれてから、アツくなってきてるんですよねー。たしか、信頼度70%とかだったような気がします」
✕ ✕ ✕ ✕
「ちなみに、これ編集で三〇分ぐらいにまとめられてますけど、現実時間で五時間ぐらいずっと黙々と打ち続けてましたねー」
:俺、パチンコしたことないんだけど、そんなもんなのか?
:↑そんなもんだ
:ヒョエッ。恐ろしいな
:渋沢、福沢。散っていったお前らのことは絶対に忘れない
:渋沢、福沢ぁ? そんな奴もいたなあ。もう、台に吸い込まれていったがな
:よかった。まだ、渋沢、福沢を知っている人がこの世にいたなんて……
「ちなみに、一回、大当たりが来たらそこでやめようと思ってたんですけど、一向に来ないので、苛々してますねー……とか言ってるうちに、信頼度70%のイベント来てますねー。あー、そうそう。ここで確変おきて……」
『いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
「大当たりですね。今回は渋かった分、喜びもひとしお。みたいなそんな感じです」
:うーん。やな大人
:こういう大人にはなりたくない
:というか、なんでこんな叫んでんのに、
「ちなみに、今回の戦で失った、渋沢、福沢は五名。取り返した分は二名。戦死が三名で、大負けですね。気分は最悪でした。そのあと、怒りで次郎を食べましたというそんな話でした」
:あ、そういう
:というか、なにげにVliveの映像編集技術がすごいんだが
:結構驚き、働けたんだな。Vlive
:おいwお前ら、それじゃあまるでVliveが働いてないように聞こえるぞ?
:いや、間違ってないだろ
:どれだけ下ネタ言っても、よっぽどのことがない限り忠告しないんだぞ?
:さすが、Vlive心が広い
:↑ただ単に管理ミスだろw
「はい、じゃあいっていた煙草でも吸いましょうか」
私はそう言い、煙草の包装を破り、中から一本取りだす。
「はい、ということで、ここには事前に用意していたライターがあります」
:なんという手際の良さ。まさかお前キューピーからの差しg
:↑ライターぐらい持ってるだろ
私は流れるコメント欄を見ながら、ライターで煙草に火をつける。
「はい。吸います」
私はそう言い、煙草に口を近づけ、息を吸う。
「おえっふぇっふぇっふぇっふぇ………ごほっごほっ」
吸うと、咳きが込みあげてきて、思わず咳き込む。
「や、やべえ。合わねえ。私にはびっくりするぐらい合わねえ」
私はおののきながら、そう口にする。
:いや、いっぺん箱の中の煙草全部吸ってみな? 飛ぶぞ?
:↑それはそう。ほんとにそう(体験談)
:ゆほちゃん。吸っちゃだめだ!
「あー。はい。もう、カスは十二分に堪能したので、いいいかなーと思います。あと、煙草は続けませんし、これ以上は吸いません。煙草って百害あって一利なしっていうじゃないですか。なので続けようと思いません」
:ギャンブルやってるやつが言うと説得力がない
:自分自身も百害あって一利なしって言われてるやつやってるんだよなあ……
:まず、我が身を顧みたほうがいいと思う
「せ、正論パンチはやめてください。もうギャンブルも辞めましたから」
:いうて、俺たちも正論嫌いなんだよなー
:大丈夫。正論嫌いなのはみんな同じ
:むしろ、正論が好きな人がいない
:いや、弁護士とかは好きだろ。正論
「あー。ちなみにこの後、ちょっと大事なことします」
:だ、大事なこと?(意味深)
:なになんですか? ナニなんですか
:ガッ←椅子を蹴る音(パンツ脱いだ)
「あー。下ネタじゃないので。あと、パンツは履いてください」
:わかってたよ、な?
:あ、ああ。勿論だ
:やっぱ、お前もわかってたか…。お、俺? そ、そりゃあ勿論
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「はい、ということで、ファンネームを決めたいと思うんですよ」
:ほーん
:へー
;( ´_ゝ`)フーン
:↑まwwたwwwお前wwwwかwwwww
:草生えすぎだろ
:笑いの沸点が低すぎる
:お前ら、コメント欄大好きだよな
「はい、ということでね。案を募りたいと思います。皆さん、コメント欄に案出してみてください」
:アンパンマン
:↑は? なぜアンパンマン
:↑アンパンマンのパチンコがあるからだろ。知らんけど
:アンパンマン
「アンパンマン以外で」
:バタコさん
:ジャムおじ
:チーズ
:草
:笑
:草w
「ファンネーム、本当にそれでいいんですか? ちょっと、私的には嫌なんですけど」
:OK、OK話をしようか
:さすがに悪ふざけが過ぎたな。うん
:あー。さ、なに「極楽の民」とかどう
……極楽の民。
:ちょっと長くないか?
:極民とかがいいと思う
:極民、草w
:響き可愛いのに、感じ全然可愛くねえww
「と、いうことは「極楽の民」で、いいんですか?」
:え? 何その言い方? 不満?
:じゃ、やめる?
「いやいや。全然そうじゃなくて。いいなー、と思いますし、むしろそれがいいです。さっきのは最終確認みたいなか感じで…」
:あー。おk
:おkおkのおk
:おk
;桶
「じゃあ、極楽の民、略すと極民。で決定です!」
うーん。いい。何がいいかというと、ファンネームという響きがもう。
というか、ファンと一緒に決めた感があって、満たされるぅー。みたいな。
そこから、少し雑談を交えて、配信画面を閉じた。
画面にはこのライブは終了しました。と、かかれている。
「んっ」と、声を上げながら、腕を伸ばす。
今日も充実した一日だったなあ。
そんなことを考えながら、わたしはようつべを開き、手あたり次第気になったVtuberの動画を見る。




