第37話 諭吉と渋沢に敬礼ッ!
三十人の勇者を犠牲にして、私は景品をゲットした。
ちょこちょこ副賞みたいなのはもらってたけどね。あと、なんでかわからないけど、私が景品を獲得したときに大きな拍手をされたんですが……。
なんで? というか、私がやって発狂して台パンしているうちにいつの間にか、観客? ギャラリーみたいなのが増えてきて、さながらショーだった。
私が怒り狂って発狂しているのを見て、何が楽しいのだろうか。
やっぱり、人の不幸は蜜の味とでもいうのだろうか。さすがにそりゃねえって。
私は全くうれしくないんだが。
……うそです。777でそろった時には脳汁が出て、やばかったです。
もうね、やっぱりギャンブルって大当たりすると、勝っても負けてもhappyですよね! そして、あとでふと我に返って虚無感に襲われるんですよね!
ちなみに併設のホテルの価格は二人で利用しても14万なので、大負けもいいところだった。
投資三十万、回収十四万。差し引きマイナス十六万でした。
「負けたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。こんな圧倒的敗北は久しぶりだぁ。だからいやだったんですよぉ! やっぱギャンブルなんてロクなもんじゃないですね! クソがぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ゆほちゃん……。すとーっぷ。すとーっぷ。いっとくけど、これオンエアちゃんとされるからね。多分スタッフさん的には取れ高十分だと思うけど……」
「えー!? カットでしょ。清楚系VTuberがギャンブルしている姿とか、絶対に公開できませんよ!?」
「うーん。自覚症状無しかな?」
いったいえにし先輩何を言っているんだろう。まるで私が清楚系VTuberだというのにもかかわらず、ギャンブル配信をやって発狂しまくって、すっかりネタキャラが定着してしまったみたいなこと言うじゃん。
「よし! 帰りましょう……」
こうして、私とえにし先輩の悲しい悲しい遊園地デートは幕を下ろしたのでした。
めでたし。めでたし。
✕ ✕ ✕ ✕
「めでたしなわけあるかーーーーッ!」
私は翌日、配信をしていた。しかたない。大負けしたもんね。
スパチャ、スパチャを投げてくれ! みんなのお金を私が倍にしてくるよ!
:草
:こwれwはw笑うしかないwwwww
:うーん。自業自得
:むしろ安心したわ。最近全然ギャンブルしてなかったもんね
:お見舞金¥10000
「お見舞金ありがとうございます! これを元金にして、何倍にも増やしてきますね!」
:やめとけ
:これはろくなことにならない未来が見える
:そういうあなたが好き
:↑だまれ
:それでいいじゃあないか
:このコメント欄カオス
:まあ、配信者が配信者だからね
:蛙の子は蛙ってわけね
「うーーん。リスナーが私に冷たいぃ」
:これからゆほちゃんじゃなくて、負け金16ちゃんだね¥5000
:やめたれ
:さすがにこれはひどい
「傷心中の私を慰めてくれるようなかっこいいリスナーが欲しい……。そうだ。ひーちゃんのリスナーは優しいですよね? ……決まった」
:なにがだ
:やめとけ
:俺らがあの子の配信言ったら浮くんだよ
:↑お前だけ定期
:優しいリスナーのところに行こうとしてんじゃねえよ
:逃げるな! 逃げるな卑怯者! 俺たちから逃げるなぁ!
:ここが魔物の巣窟ですか?
:YES田中クリニック
「あれてますね。コメント閉じるか」
:なにをしろと?
:コメントを閉じても、俺の分身がお前を襲うだろう
:さすがにそりゃねえって
「ふっふっふ。この配信では私が正義なんですよ。何をやっても私の行動が肯定される世の中なんです。ようつべ君も認めてくれていることですしね! これは独裁者を育成するサイトなんですよ」
:そんなわけなくて草
:陰謀論者~! ここに新しい陰謀論が出たぞ!
:陰謀論者は自分のこと陰謀論者だと思ってねえんだよ
:ここは陰謀論者が豊富ですね
「まったく。陰謀論なんて信じたらいけませんよ。皆さんは騙されないでくださいね。……あ、そうそう。皆さんはちゃんとアルミホイルの帽子をかぶってますか? かぶらないと5G電波が私たちの脳を読み取るので!」
:おもクソ陰謀論者じゃねえか
:こんなところにいたんですね
:ごめんなさい。陰謀論者のかたはお断りしておりまして
:ちなみに国で認められている賭博は絶対に負けるように作られています
「ですよね! やっぱ国はクソだわ!」
:なので、一緒に賭博場を消していきましょう!
「……考えておきます」
:なんか、ホンモノが来たんですけど
:ここの配信、定期的にやばいやつ来ないとだめなの?
:↑そういう仕様にでもなってるのかな
:なぜですか? 今から国を変える時なんです。有名なVTuberのあなたが正しい情報を発信することによって、世界はよい方向に向かうのです
「ですね! ……賭博場は最後にしません?」
:無理ですね。順番なんてありません。さあ、手を取りって正しい世界を作りましょう!
「ギャンブルがなくなるのは嫌だぁぁぁぁ!」
:本省出したね。きみ
:才能あるよ
:このままゆほが陰謀論者系VTubermになるのかと思ってひやひやしたわ
:ギャンブル好きなうちは一生ならないから安心しろ
どうやら私は陰謀論とは波長が合わないようです。
なんで賭博場をつぶすんだよぉ! なくなったらお金を増やせる施設がなくなるじゃないか!
こうして、私とえにし先輩の楽しい楽しい遊園地デートは幕を下ろしたのでした。




