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(一応)清楚系Vtuber、配信でギャンブルしたらキャラ崩壊したけどリスナーにめちゃウケてV人生変わった話。  作者: 団栗珈琲。
第三章 四人寄ってもクソはクソ

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第15話 主役は遅れてやってくる?

「あっ、続報です」


 :こんなほんわかした続報中々ないぞ

 :次はなんて言ってるんだろ


「えーっと『もうすぐ着く』らしいです。早いですねー。高速でも乗ったのかなあ」


 :いや、そりゃあ流石に高速乗るだろ

 :急いでるはずだからな

 :それにしても、ゆほちゃんの部屋どうなってんのか気になる¥3500


「あ、スパチャありがとうございます。あんまり言いたくないんですけど、実は結構散らかってて……」

「え? 嘘。結構片付いてると思うんだけど」

「それは、いろはすたちが来るの知ってたから、事前に片づけてただけだよー。いい機会だし、掃除ぐらいしておこうと思いましてですね……」

「へー」


 :返事素っ気なさすぎ

 :笑える

 :↑笑えねえ

 :ここで漫才すんなw

 :夫婦漫才ならぬ、婦婦ふふ漫才だな

 :↑なに言ってんだお前

 :これは、俺たち人類が理解できる範囲を超越している

 :いや、まだ意味ギリわかるだろ

 :↑韻踏んだ?

 :踏んでねえよ

 :よく文字だけでそこまで想像できるな

 :お前の想像力に完敗、乾杯

 :↑お前は絶対わざとだろ

 :お前ら、コメント欄で漫才すんな

 :ww

 :草

 :まだつかないのー?


「まだみたいですね。「マッチョ」って送られてるので」


 :は?

 :は?

 :は?

 :は?

 :は?


「あー、マッチョっていうのは、サキが勝手に考えた造語で、ちょっと待っての「ちょ」と「待っ」で「マッチョ」らしいです。これで一つ頭がよくなりましたね!」


 :は?

 :は?

 :は?

 :は?

 :は?


「あ、文句ならサキにいってくださいね? わたしはただありのままを説明しただけなので」

「それにしても、暇ね。マシュマロ読まないのよね」

「マシュマロ? なにそれおいしいの?」

「まあ、おいしいけど、そのマシュマロじゃなくて……」


 :まーた漫才やってるよ

 :好きだなあ、漫才

 :これもう、M1目指せるんじゃないの?

 :M1なめんな

 :↑お前どこ目線?


「はいはい、もうサキちゃんの造語の説明してたらキリがないから。……それにしっても、初の二期生オフコラボで、よく堂々と遅刻をかませるわね。逆に尊敬に値するわ」


「あ、サキちゃんから、『ありがとう』らしいです」

「なに? 私たちの配信を車内ラジオみたいにして聞き流してるの? 良い度胸じゃない。というか、ほめてないわよ、皮肉よ。皮肉」


「『もう着く』らしいです。というか、なんか私がサキちゃんからメッセージを読み上げる機会みたいになってるんですけど、どうにかなりませんか?」


「どうにもならないわ」

「そんな殺生な……」

「別に殺生なこと何も言ってないでしょ。辞めればいいだけじゃない。遊歩がメッセージ読むのを」


 :倒置法

 :倒置法だ

 :こ、こいつ、倒置法の使い手だったのか

 :↑お前らなにで盛り上がってんの?

 :辞める、メッセージ読むのを→わかる。それで盛り上がる→わからない

 :お前らっていっつもめちゃくちゃだよな

 :↑それって誉め言葉?

 :配信内容とおんなじことすんな


   ✕   ✕   ✕   ✕


 そうこうしているうちに、配信開始からまあまあ時間が経った。

 一時間は経っているんじゃなかろうか。

 すると、ピンポーンと音がする。気配でわかる、こいつぁAnyazonではないと。

 そう、希雨こいねがうサキ一行であると。


   ✕   ✕   ✕   ✕


「ということがありました」

「そうね。別に説明する必要はないわね」


 :辛辣

 :それがいい


「希望を願っても全然、奇跡は起こらない。Vlive二期生の希雨こいねがうサキとー?」

「クソゲー初めて早十年。最近はクソゲーが少なくなってきて悲しい、Vlive二期生、城鐘しろがね ひすいだよー。今回私が用意した企画は―――!!!!!!!」

「はい、今何が起こっているのかわからない人に状況を説明すると、ひーちゃんの口をゆほちゃんが閉ざしています」


 :あ、過去のトラウマ

 :過去って行っても最近だけどな

 :メジャーNii究極クローザーか

 :嫌なんだろうな……



 画面上には二体のアバターが追加されている。

 茶色く、首筋にかかるかかからないかぐらいに切りそれえた髪。赤みががった目。それなりの大きさのある胸。野暮ったいパーカーをかぶった、私。優楽ゆほ。


 エメラルドを連想させるような明るい翡翠色の目に、薄く緑がかった神は肩甲骨のあたりまで伸びていて、白を基調とした衣装は鎖骨辺りが開いているが、いつもどおり、「断崖絶壁」というほかないその胸は、みているとなんだかほっこりしてくる。城鐘ひすい。


 眉毛にかかった金髪、その金髪を後ろに一つに束ねている。俗にいうポニーテールに幼げのある童顔。碧い目にブレザーを脱いで、シャツだけになっている。希雨サキ。


 画面では途切れてしまうほど長い赤い髪に、右目の下にある涙黒子なみだほくろ。すらりと細身で、赤紫を基調としたセーターに、私のアバターと比べ物にならないぐらいに膨らんだ胸からは、セーターの上からでも、その存在感を露わにしていた。

 赤い目には丸眼鏡がかけられている。それがより大人っぽさを主張している。紅葉彩派。


 私といろはすが画面の右側で、ひーちゃんとサキが右側に表示されている。


   ✕   ✕   ✕   ✕


「ということで、ゆほちゃんの精神面を考慮して、マスマロ返していきたいと思います」


 :えー

 :もっとクソゲーで苦しもうぜ

 :そんな殺生な

 :四人も集まってマスマロ返すの?


「あ、安心してください。ちゃんとプレイしますので」


 :よかった。これにはワイくんもニッコリ

 :ヌハハ! もっと苦しめえ!


「それでは、前半、マスマロ返しを始めます」

 そんな、スポーツの開始の挨拶みたいなことを、いろはすがいった。


 :スポーツの挨拶かな?

 :なにも臆する必要はないんだけどなあ

 :おい、お前チュッパチャプスでチョップ(笑)を見てないのか?

 :↑みてない

 :まあ、ゆほちゃんのマスロはコピペ置き場だから

 :それって配信者としてどうなの?

 :いいだろ

 :いや、でもまともな質疑応答したい時に困らないか?

 :まともな質疑応答ってなんだよ


 こうして、一度は断念したマスマロ返しがスタートした。


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