第13話 オフコラボ……じゃねえ!
ほら、みてみな? サムネに「元現役ギャンブラー(笑)クソゲーに負ける。クソゲーに負けるなんて、今まで負けてきたギャンブルはどうなってんの(笑)事あるごとにあんな叫んでたの?(笑)」っていう動画がアップされて…おい、ちょっと待て、金髪に幼げのある童顔。碧い目。これ発言してんの私の同期だよな。
動画は切り抜きみたいだけど…。
何やってんのあの子。ちょっと連絡して差し上げようか。
「もしもし? 希雨 サキちゃん? なにあの発言」
「…? どれ?」
「私が、クソゲーに負けたって発言。馬鹿にしてるでしょ?」
「いや、そりゃあ馬鹿にするでしょ? ギャンブラーは負けて勝つのが仕事みたいなところあるのに、勝てずに逃げてるじゃん」
「そりゃあ、パチンコなんて乱数確率引き当てるゲームなんだからさ。しかたないじゃん。これとあれとは全く別も―――」
「いや、でも負けて逃げてるのは変わりないじゃん」
「……………………」
沈黙ッ! …………なんか、こうやると、ガイシみたいじゃない?
ざわざわ……と似通ったところがあると思うんだけど、違うかな?
「ああ、そうだゆほちゃん。コラボしない?」
「…なに唐突に」
「いや、私たちってデビューしたてで、ろくにコラボもしてないし、同期みんな集まって、コラボでもしようかなって」
「はあ。なるほど」
「どうせ暇だしいいよね!」
サキはそういうと、ガチャ切りした。
せめて、OKかNOぐらいは言わせてほしかったんだけど。
まあ、私が暇なのわかって言ってるからなあ。
あんまり文句は言えないなあ。
そんなことを考えながら…というか、同期の集まりってなんだ?
オフコラボ? それとも配信上?
そもそも、企画は?
大丈夫かなあ。まあ、無理難題は言わないでしょう。
✕ ✕ ✕ ✕
―――いわれた。無理難題言われた。
オフコラボらしい。オフコラボはいいんだ。寧ろ、バッチこい! といった感じなんだけど、オフコラボの会場が私んちっての聞いて―ねーよー!
ということで、絶賛掃除中であります。
うーん。汚い。そもそも、親ぐらいしか家にあげないので部屋はぐちゃぐちゃ。
こんな姿見られたら恥ずかしくて死に―――はしないか。
こんな姿みられたら恥ずかしくなっちゃう。
―――いや、そのまんまだな。
私は思いなおして、再び掃除に取り掛かる。
✕ ✕ ✕ ✕
「はあ…疲れた」
私は虚空に向かってそうつぶやく。
虚空っていいよね。なんかかっこいいし。
いやいや。そんなことはどうでもいい。
とにかく、何をするのかまったく知らされていないのだ。
とりあえず、掃除だけは済ませたけど、いったい何をするのだろうか。
そんなことを思った。
この時のは私は、掃除したことを後悔した。
いや、後悔はしていない。けど、その努力が無に帰した。
時刻は15:24。集合時間は16:00。告知で17:00配信開始っていってるから、それなりに時間はあるけれど…。
まあ、同期は時間を守れるような奴ではないので、気長に待つか。
そんなことを考えていると、あっという間に四時に近づいてくる。
すると「ピンポーン」と、軽快な電子音が鳴る。
ほいほい。今出ますよっと。
「はーい」
軽い金属音と共に視界が開け、少し赤みががった空を背景に、赤みががり、腰まで届きそうなほど長い髪、朱色に染まった目。
そう――同期の紅葉 彩派。通称いろはす。
某天然水とは一切関係ない。…本当。
「あー、いろはす。あんたが大将だ」
「何が大将よ。お邪魔するわね」
「はーい。一名入りまーす」
「ラーメン屋じゃないんだから」
そんな他愛もない会話をする。
✕ ✕ ✕ ✕
なめていた。本当になめていた。
同期は時間を守らない。そうはいっても、流石にここまで遅いとは思わなかった。
ここが会社だったら首切られてるぞ。
「いろはす。どうする? もう配信始める?」
「そうね。それにしてもあの子たちどうなってるの? 時間って概念忘れてきたのかしら」
「言えてる…」
「はあ…あと五分で五時よ? とりあえず、枠は立てておきましょうか」
「はーい。枠建てるの、私のチャンネルでいいよね」
「ええ」
✕ ✕ ✕ ✕
無事、五分経過。
「はいどうもー。Vlive二期生。スロット回して脳汁ドバドバ。優楽 ゆほでーす」
「同じくVlive二期生。スロカス同期を見守る紅葉 彩派です」
画面にはいつもと違い、アバターが二人分表示されている。
茶色く、首筋にかかるかかからないかぐらいに切りそれえた髪。赤みががった目。それなりの大きさのある胸。野暮ったいパーカーをかぶっている。
そのアバターの前には「自由」と筆文字で書かれたマグカップが置かれている。
そして、その隣には画面上では途切れてしまうほど長い赤い髪に、右目の下にある涙黒子。すらりと細身だけど、出るとこはしっかり出ている。そんな体からは大人らしさ、のようなものが出ている。
赤紫を基調としたノースリーブセーターに、私のアバターと比べ物にならないぐらいに膨らんだ胸からは、セーターの上からでも、その存在感を露わにしていた。
赤い目には丸眼鏡がかけられている。それがより大人っぽさを主張していた。
背景はいつもの、優楽ゆほの部屋。、奥の背景には白い木製の本棚。その横白を基調としたのベットには灰色の猫のぬいぐるみがちょこんと置かれている。
:きちゃ
:ん? あと二人は?
:ほんとだ。二期生全員じゃなかったっけ?
「えーっとですね。いちおう、四時集合、五時までには絶対に来い。とはいっていたんですけど、しっかり遅刻かましてきましたねー」
:うーん。この
:社会出たら困りそう
:むしろ、あの二人にとってVtuberは天職みたいなところあるから
:二期生全員集合のはずが、半分しかそろってなくて草
:これは…もうどうしようもないな
:むしろ、安定感すらある
「はい、ということでね。いろはすとお話でもしながら、あほを待ちたいと思います」
:あほw
:むしろすがすがしい
:しゃーない。あほなのは確かだからな
:うーん。この
:あまりにも直球




