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紅く朱く染まりゆく葉

作者:
掲載日:2025/10/20

「もう秋ですね」

貴方がそう言う。

「はい」

僕はいい答えを出せなかった。

「すぐにお別れの日がくるのでしょうね」

「そうですね…」

貴方が言った言葉に僕は「寂しい」と言いかけたけどぐっと飲み込んだ。

「秋は好きですか?」

「好きですよ」

「私も好きです」

その言葉に少しドキドキした。

「読書、芸術、スポーツ、料理、紅葉…全てが素敵で美しいですね」

「そうですね、でも僕は読書が1番好きですかね」

「ふふ、藤村ふじむらくんらしくていいとおもいますよ」

彼女が美しい笑顔を見せる。

紅葉くれはさんは何が好きですか?」

「やっぱり、『紅葉こうよう』が好きですかね」

「名前通り?」

「そうそう」

そんな冗談にも笑って返してくれる貴方が美しい。

今年の春、高校3年生の始まり。紅葉さんと「偶然」同じクラスになった。

僕の心は紅色に染められた。

僕が最初に紅葉さんを知ったのは中学の初め、クラス表を見て名前に惹かれた。「偶然」目にとまった。『紅葉くれは 朱華あやか』。何と美しい名前だろうと思った。秋らしい、美しい名。

委員会決めの日、僕と紅葉さんは「偶然」同じ委員会に入った。図書委員だった。彼女も本が好きらしいと知った。

「よろしくお願いします、藤村くん」

彼女は微笑みかけながら言ってくれた。

名は体を表す、そんな言葉がぴったり当てはまるほど美しい人だと思った。

勿論、見た目も性格も全てだ。紅いリボンがよく似合うと思った。

同じ委員会になったことをきっかけによく、話すようになった。

「紅葉さんって綺麗な名前してますよね」

「そうですよね、私も自分の名前よく気に入ってます」

今思い返すとそんな事を急に言われ少し気味が悪いと思う。だけど貴方は優しく返してくれた。

その時僕は彼女の色に心を染められた。

そして、今…秋、僕の中では貴方の季節だ。

「ふふ、実は私もうすぐ誕生日なんですよ」

「そうなんですね!おめでとうございます!」

「よかったら祝ってくれませんか?10月の12日です」

「勿論、何か欲しいものありますか?」

「いえ、そういうのは申し訳ないので大丈夫ですよ」

そんな会話をした翌日、僕はやはり何かあげようと思いプレゼントを考えた。

「お誕生日、おめでとうございます!これ、よかったらどうぞ。」

嫌がられたらどうしようという不安で心が煩く鳴っている。

「わ、!綺麗!紅葉もみじの栞ですか!」

喜んでくれて、心がホッとした。

「はい、紅に葉ってもみじとも読みますからね名前とかけて見ました。手作りなので、少し出来の悪いところもあると思いますが…」

「とても嬉しいです!手作り凄いですね!」

彼女の誕生日、お金は掛からないが我ながら素敵なプレゼントをしたと思う。

「そう言えば、藤村くんの誕生日はいつなのですか?」

「僕は、5月12日ですね。」

「藤の花の季節じゃないですか!君も名前と被ってるんですね!」

「本当だ。今まで気づかなかったです。」

「そうなんですか、私はお母さんがよく花の話をしていたので、小さい頃から知っていたんです。藤の花すごく素敵なんですよね、見たことありますか?」

「どこかの神社で見た覚えがあります。時期がぴったりでとてもきれいでした。」

「でも5月かぁ…祝えないの残念です…」

その言葉を聞いて胸がぎゅっと苦しくなった。

「卒業してしまいますからね。気持ちだけで嬉しいですよ」

「何かあるかな…あ、これ!よかったらどうぞ!すごく早めですが誕生日プレゼントとして受け取ってください」

彼女が僕に月と紅葉もみじの葉が描かれた栞を差し出しながら言った。

「え、いいんですか?こんないいもの」

「実はそれ手作りなんです。それに君の名前とも掛けれますしね」

そう微笑みながら言う彼女の笑顔にドキッとする。

「手作り…自分で絵をかいたんですか?」

「そうです!実は絵を描くのが好きで…」

貴方の新しいことを知れてとても嬉しい。

「そうなんですね!絵上手で尊敬します!」

「ありがとうございます!」

こんな時間、ずっと続いて欲しいと願うがそんな願いは虚しくあっという間に季節は過ぎ、冬になった。

「遂に受験ですね。そう言えば君は志望校どこなんですか?」

「僕は紅葉こうよう高校です」

「そうだったんですね!実は私も紅葉高校志望なんですよ!!一緒になれるといいですね!」

その言葉は僕の頑張る気力になった。

そして受験発表の日……緊張した足取りで向かったが、帰りの足取りはとても軽かった。貴方も僕も受かったのだ。

「無事受かりましたね!高校もよろしくお願いします!」

その言葉に心が踊る。

「そうですね、嬉しいです!」

「部活とか入ろうかな?藤村くんは入るんですか?」

「何かいいものがあれば…」

そんな話をしながら僕は幸せを噛み締める。

次の年の5月。高校生になった貴方はまた1つ大人への階段を登ったように、少し雰囲気が変わった。

「誕生日おめでとうございます!良ければこれどうぞ!」

そう言って紫色の花の栞を渡してくれた。あまり見たことがなく直ぐには気付かなかったが藤の花の栞だ。

「これは…!藤の花!」

「そうです!」

「本当…綺麗…!」

「喜んでもらえて嬉しいです」

藤の花の栞をそっと指で撫でる。

また、貴方とこうやって話せる嬉しさの気持ちや、貴方からのプレゼントを貰った喜びが心を満たす。

僕は勢いで告白をする事にした。

「…!紅葉さん…!」

「どうしましたか?」

「僕…紅葉さんがずっと好きでした、!付き合ってくれませんか…?」

典型的な告白の言葉を言っていてだんだんと不安が襲ってくる。

「…!!」

彼女が驚いた顔をした。急にこんな事をいったのだから当たり前だ。僕は少し後悔した、が。

「実は…私も好きでした。お願いします…!」

少し顔を赤らめる貴方を見てつい、紅葉を思い出す。なんて可愛いんだろう。

そしてその年の秋。

「朱華さんの季節が来ましたね」

「ふふ、それ私以外に言ったら引かれちゃいますよ?」

「大丈夫です。朱華さん以外には言わないので」

「私も引いちゃうかも」

「じゃあ言うのやめます」

「嘘ですよ、むしろちょっとうれしかったり?」

「可愛いですね」

「そんな事急に言われると照れちゃいます〜」

もしかしたら『偶然』の重なりを人は運命と呼ぶのかもしれないと聞いたことがある。それなら僕と朱華さんの出会いは運命だと、

紅く朱く染まりゆく葉と貴方の横顔を見ながら僕は考える。

「どうしたんですか?」

「いえ、何も」

「気になるんですけど」

「いや、朱華さんとの出会いは運命だったのかなと思いまして」

「なにそれ(笑)」

「え〜言わせといてその反応?(笑)」

「いえ〜私もそう思いますよ」

少し微笑む貴方を見て幸せを噛み締める。

「これからもよろしくお願いしますね!葉月はづきくん!」

いやぁ…深夜テンションのノリで書いてしまったので結構恥ずかしい作品になってしまった…

一応補足として、葉月は主人公、藤村くんの下の名前です…。表現が上手くなくて分かりにくくてすみません…

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