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第二話 ブレイブハンター

「名前が…無い?」

おそるおそる聞き返すと少女はこくりと(うなず)いた。

「名前が無いって、どういう事?」

「その通りの意味。…私はブレイブハンターだから」

「ブレイブハンター?……勇敢な狩人?勇気…ん」

少女は俺が良く理解できていないのを悟ったのか、少し溜め息混じりで話をしてくれた。

「私は惑星アスガルドからこの地球にきたの、ブレイブハンターは…そうね」

「勇敢な狩人といった訳し方でも正しいけど、地球以外の惑星では‘勇者’という意味だけでとられているの」

少し混沌(こんとん)とした表情の俺を見て、少女は少し間をあけて言った。

「宇宙一平和な惑星…それが地球。地球を護る為に世界各国に幾数ブレイブハンターがおくられた」

「えっと…地球を護るって、何から?」

そう言うと少女は意味深に目を閉じた。

「世界最悪の惑星ベルガモット。その惑星内には数々の極悪犯…宇宙中を支配しようとしている者たちが沢山いるの」

「さっきの男は…‘野獣’デキムスといって、地球を支配する為に惑星ベルガモットからやってきたある組織の幹部。不意に捕まってしまったところを貴方に助けて貰って……礼を言うわ」


話が唐突すぎた。夢物語みたいで。

理解するのには時間がかかった。今でも理解しきっているわけではないけれど。

「…ブレイブハンターっていうのは、その…惑星アスガルドにいる、地球でいう警官みたいなものってこと?」

「そういうこと。惑星ベルガモットを支配している‘魔王’に宇宙を支配されるわけにはいかないの」

「…惑星アスガルドと地球以外は、ほとんどが占拠されてしまったけど」

「ブレイブハンターだからっていってたけど、ブレイブハンターは皆名前がないってことなのか?」

そう聞くと少女は少し躊躇(ためら)いながらも答えた。

「……ブレイブハンターは本来。過去の経歴を捨て、一切の人間関係を断ち切ることからがスタートなの」

「…私は父母が‘ブレイブハンターだった’から、まだ幼いけどブレイブハンターになったの」

その言葉を聞いてすぐにしまったと後悔したが、当然遅かった。

「通り名っていうのはあるけどね。皆がみんな、ブレイブハンターって名称だと困るから」

少女は何を悟ったのか、話をそらすようにそう言った。

「通り名…皆がそう呼ぶ名か。なんていうの?」

「…花鳥風月。それだと呼び辛いから、ラルって呼ばれるわ」

「花鳥風月…ラル。なるほどね。俺は夢月。あ、ソラって呼んでくれ」

ラルは微笑しながら頷いた。

「―――ああ、そうだ。その刀って…」

「これは白刀・雪月花。世界最高の鍛冶師‘カルマ’が20年かけてつくったっていう名刀なの」

それが誰かは勿論わからないが、20年かけてつくる刀なんて信じられないほどだった。

「沢山の魔力…自然の力が込められているの。使い方によっては惑星一つ潰せる刀」

「!そういえば、あの…その、技っていうのかな…閃光がはしったと思ったら、ドドーンって…」

表現が下手なことに呆れたように溜め息をつかれた。

「自然の力と自身の精神力を調和させて、いわゆる魔法を使う事ができるの」

「それには神器とよばれる…武器ね。自然の力を取り込んだ武器が必要なの、この刀みたいに」

「ソラが言ってる技は‘光燕(こうえん)’といって、爆炎を光で眩く見えないようにして放つ技なの」

いよいよファンタジーじみた事を言われ、もはや混乱はピークをむかえた。

その事を察したようにラルは戸惑いながらも

「あ、大丈夫。いきなりは理解できないだろうから…ね」

(なぐさ)めるように言った。


その時だった。

下のほうでとても強大な爆発音がし、ガラガラと崩れ落ちるように2階の部屋が落っこちた。

「うわああああああああああああ!何だ!?」

「この魔力は…‘野獣’デキムスよ!」


何とか体を起こすと、目の前にはさっきの野獣がいた。



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