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第一話 黄昏

校舎は八割崩壊し、先程までいた体育館までもが爆発していた。

更に追撃するかのように、高い爆発音が鳴り響く。

とうとう先生までもが各個人で逃げ出し、生徒達もそれぞれ散っていくように逃げた。

「何が起きてんのかわかんねーけど、早く逃げっぞ!」

他の生徒も先生も全員逃げているのに、裕也だけが俺の側に残っていた。

「ソラ、どこ見てんだ!?ここは危ないって――――」

「何が起きてんのか分からないからこそ気になるじゃん。このまま下がれないよ」

ダイナマイトなんて生温い火力じゃない事は確かだった。

人間が起こせるものとは思えなくて、どうしても気になった。

「おいおい…死んだら終わりじゃん。って言っても…無駄か」

「まぁ…死なない程度に何が起きてるか見てくるよ!ユーヤは逃げててくれよ!」

俺は爆発音がしたほうへ走っていった、がすぐにユーヤに肩を掴まれて止められた。

「ユーヤ…!」

「一人で行かせて、死なれでもしたら後悔すっからさ!」

その時更に爆発音が鳴り響いた、音の大きさからすぐ側で起きたことが分かった。

音がしたほうを見ると、一人の少女と野獣のような男がいた。

「うほー!…美女と野獣ってああいう事を言うんだろうな」

「腐敗臭……?」

少女は手に純白の刀を。野獣はゴリラのような姿をしていた。

少女が刀を逆手に(かざ)すと、眩い閃光がはしった。

「…これ伏せたほうがよくね?」

「そう思うなら早く伏せろ!」

伏せたと同時に、また爆発音がはしった。

顔を上げると、地面が割れ、校舎が完全に吹き飛んでいる光景を目にした。

「―――-これ夢か?」

そう聞かれ、俺は頬をつねり言った。

「残念ながら現実だ」


それから何度も破壊の繰り返しが続いた。

その間俺と裕也はほとんど身動きができなかった。

現実離れした状況に、動揺を隠しきることなどできなかった。


しばらくし、少女は野獣の手に捕まった。

野獣は高々と雄叫びをあげ、歯をむき出しにしてニヤリと笑った。

少女は苦痛そうな表情を浮かべていた。

その表情を見て、俺は決意した。助けなければいけないと思った。

「ユーヤ、お前って…強い?」

「まさかソラ、俺に戦わせる気か!?無理無理無理無理怖い!」

「少し気を引くことでいいんだよ、頼む!俺が合図をしたら―――-」

説明すると、裕也はなんとか納得してくれた。


俺はこっそりと野獣の後ろまで移動した。

俺は裕也に向けて片目を閉じ合図をした。

それとほぼ同時に、野獣に小さなガレキの石が当たった。

「あ゛あああ゛!?」

野獣が少し振り向いた。

振り向く時、足は少し開く。

その瞬間を狙って俺は野獣の股間周辺を全力で蹴った。

「う゛お゛おおお゛あああ゛!!」

野獣は痛みの余りか、少女を握っていた手を離した。

「よし!」

俺は少女を抱きかかえ、すぐさま逃げようとした。

しかし少女が少し苦しそうに指をさした。

さした方向には、純白の刀が落ちていた。

「ユーヤ、それ頼む!」

「分かったから先逃げとけって!」


俺は自分の家に向かって走り出した。

「…あなたはだれ?」

少女はただ、その言葉を発したっきり黙っていた。


自分の家に玄関から入ると、家族に見つかってしまう。

2階に行く為に昔から倉庫に隠しておいたハシゴを出したと同時に裕也が刀を持ってきた。

「とりあえず俺は一旦家に帰るから、話はまた後で聞く!」

裕也はそう言い残し、すぐさま帰っていった。

自分の部屋に入った俺は、溜め息をこぼしそっとベッドに座った。

「えっと…君はどこから来たの?あ、名前も」

「…この世界とは違う世界から。名前は無い」

俺は何を言っているのか分からなくて、思わず何を言えばいいかわからなかった。

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