第62話 戦の気配と新スキル
「ふう……こんなところか」
DBT第二回戦から早三日。
俺は、この三日間で領地の開拓を進めた。まあ開拓とはいっても施設を増やしたわけではなく、防衛にKPを突っ込んだ。
理由はある。
南から魔族が紛れ込んだ王国軍が迫ってるからだ。
その数なんと、10万。
正直、今のままでも対応はできそうだが、念には念を入れておいた。
プラン曰く王国軍の到着は、まだ三日はかかるとのことで、今さら慌てふためくことでもない。
次にダンジョンの開拓だが、敷地範囲をさらに縮小し、今は全長10kmの一本道。さらに横幅を1mに変更した。これであれば大型の魔物の侵入はまず不可能。
そもそも広大なダンジョンというのはロマンではあるが、その分DP消費が激しくコスパが悪い。もちろん、侵入者が比例して多いのであればDP収入も多くなるが、ここは死の荒野。
領地半径200kmをもってしても、せいぜいが隣国の足に入るかどうか。今はスフィアの命を守ることが最優先。そのためにも、ダンジョンは小さい方がいいのだ。
そして新たな仲間に加わった、スフィアの妹のセレナ。彼女は引っ込み思案だと思われたが、この三日でルナリスたちや領民と打ち解けている。
――そう、まさに俺の隣でな。
「ダイチ様、どうして私を姉様たちのように可愛がってくれないんですか? 私だけ追い出すのはズルいです。やっぱり私の体が幼いからなんですか?」
「セレナにはまだ早いのです。そういうことは大人になってからですよ」
「スフィアさんの言う通りですよ。セレナちゃんはもう少し大きくなったらですね」
「そうですわね、セレナ様はまだ若い果実。その日が来るまで、このレーナお姉様が色々と教えてあげてもいいのですわよ?」
「おい、レーナ、セレナに変なことを吹き込むなよ? だが、皆の言う通りセレナにはまだ早い」
「ん。セレナはシルフィが遊んであげる」
「ピューイ♪」
「ボクもそう思うドラ」
「ぷに〜♪」
「ワンッ!」
「お前ら……こんなに狭いコアルームで俺に密着するんじゃねえよ! セレナもいい加減にその腕を離して、いや、身動きひとつ取れねえだろうがよーッ!!
いつものように寝起きで、プニョプニョバインバイン全裸やられたい放題パーティを避けるため、コアルームのゴシックベッドで寝た俺。
さすがにここなら安全だろうと、誰にも言わずに寝室を変えたにも関わらず、いつもと同じ光景だ。
起きたばかりというのに、すでにHP1の俺は、強引に地上に戻り、こっそり温泉でレベルアップをした。
そして落ち着いたところでステータスの確認だ。
拠点:ダイチカントリー
LV:12
住民:289,149
開拓:<召喚><強化><進化><限界突破>
任務:29
スキル:<念話共有><配置変更><住民鑑定><住民強化><忠誠共有>
領主への忠誠心を、住民間で連鎖的に高める
<念話共有>と組み合わせると統治力が跳ね上がる
領域:半径300km
KP:527,672(一日経過+2,891,500KP)
やはりレベルが二つも上がっている。
住民が十倍以上に膨れ上がったのは、王国軍が拠点に入ったことで、強制的に領民にしたからだ。
領民が増えればレベルが上がり、さらに領域が広がる。すでにヴァイスクローゼ王国の民は、俺の住民だ。
そして新しいスキルも獲得した。
<忠誠共有>。
住民の忠誠心を連鎖的に高めることができる、最高のスキルだ。
強制的に住民にしたとしても、すでに忠誠心が高いため、敵であっても一瞬で仲間にすることができるわけだ。
「ん? 待てよ。これってもう牢屋も戦闘も必要ないんじゃないか?」
《マスター、残念ながら何者かに生み出された魔物や魔族、召喚モンスターなどは、その効果は発揮しないと断定します》
「うっ、やっぱそうだよな……」
そんなチートスキルがあれば、世界征服なんて余裕だからな。
俺は少し肩を落としながら自宅に帰った。
◇
「ちょうど、いいところに使えそうな駒を発見〜! あの男の子には申し訳ないけど、別に大丈夫だよね。王国軍と一緒に三人のダンマスを入れて、っと。よし、これで通知完了。これは見ものだね。一万の魔族軍と九万の人間軍、そしてダンジョンマスターが三組合流した連合軍の完成だよ〜。到着まであと三日というところだね。あぁ、楽しみだな〜」




