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転生開拓者のRestart 〜ご都合主義が激しすぎる能力で死の荒野を開拓しています〜  作者: 上下サユウ


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番外編その5【セレナの手帳】

 私はセレナ。セレナ・エス・ドーラと言います。

 魔族の第二王女で、ダンジョンマスターをしてました。といっても、今は元第二王女です。


 ちょっと暇になったから、いつも書いてた手帳に、今までのことを振り返りながら、書いていこうと思います。


 〜 私の315年間の記録 〜


 私は魔族の第二王女として生まれました。

 大好きな、お父様、お母様、そして第一王女である、スフィア姉様にいつも守られて、甘やかされて、本当に幸せな日々が続きました。


 朝はスフィア姉様と一緒にお茶を飲んだり、帰らずの森へ、ピクニックに行くこともありました。

 夜は、お母様の膝の上で、絵本を読んでもらったり、忙しくされてる、お父様には、会うたびに抱っこをしてもらいます。

 

 たまに遊び来てくれる、ドルガン叔父さんからは、「パパとママには内緒じゃぞ。スフィアにもじゃ」と、あらゆる魔法耐性が強化される、魔法の白いローブをもらいました。このローブは後で聞いたんですが、ドルガン叔父さんの手作りだったそうです。


「あの時はサイズが合わなくて、結局、何年か後になって、やっと着れるようになりましたね。あ、手が止まってますよ、セレナ」


 私は知らない人の前では、緊張して上手く声が出せなくなることがあります。でも、仮にも私は第二王女。スフィア姉様とまではいきませんが、色んな方と会って、話をしなければなりません。


 ですが、いつからか姉様と行ってた、帰らずの森へ逃げるように、遊びに行くようになりました。

 魔王城からは、一人でも歩いて行ける距離だから、夕方には城に帰ってましたけど、朝から森に行っては、ポイズンスライムとよく遊んでました。


 最初は、可愛い緑色のスライムがいるな〜と、思ったのがきっかけです。もちろん、当時はポイズンスライムという名前も、毒もあることも知らなかったので、近づいて触ってると、いつのまにか毒を受けて、死にそうになったことがあります。


 あの時は、たまたま通りがかった、姉様の親友である、ミレイユさんに助けてもらいましたが、今となっては悪運が強いといいますか、ラッキーで助かりました。その後は、家族や王城の方に、こっ酷く叱られて……。


「……恥ずかしいから、ここは書くのをやめときましょうか」


 ですが、怪我の功名? と聞いたんですが、何と私は、ポイズンスライムのお陰で、毒魔法を習得してました。それからというもの、毒に耐性を持った私は、毎日のように毒魔法を勉強して、森へ行ってはポイズンスライムと仲良く遊んでました。


「あの時は、人と会うよりも、ズンイムちゃんといた方が気楽でしたね……あ、続き書かないと――」


 そんな幸せな毎日が、永遠に続くと思ってたんです。

 でも、ある日を境にすべてが変わりました。


 突然、お父様とお母様が病で倒れたと聞きました。いても経ってもいられず、私はすぐに王の間へ駆けつけましたが、なぜか兵士たちに入室の許可をもらえず、ゼルディウスの娘である、レイシアと遊んでなさいと言われます。


 当時、レイシアには、色々と慰めてもらいました。


「今となっては、憎しみすらありますね……」


 それから王であった、お父様に代わって、ゼルディウスが新たな王になりました。それと同時に、姉様も行方が分からなくなりました。

 最初はどこか行かれただけだと思ってましたが、何日待っても、姉様は帰ってきません。


 私は魔王城の中を駆け回り、兵士にも、侍女にも、家臣にも尋ねます。けれど返ってくるのは、決まって、「知らない」、「分からない」の言葉ばかり。

 まるで最初から姉様の存在など、なかったかのような態度に、とても不安になります。


 誰も探そうともしない。

 まるで、触れてはならない真実のように、誰も姉様の名を口にしようとしません。


 ――その時、私は気づいたんです。

 これは偶然なんかじゃない。突然いなくなったのも、両親が急に病で亡くなったと聞かされたのも、全部、ゼルディウスの仕業だったと。


 当時、副官だったゼルディウスの笑みは、いつも穏やかでした。けれど、あの目の奥には、氷のような冷たさがあることも知ってます。


 姉様が行方不明になる前夜、彼は長い時間、姉様と執務室で話をしていました。扉の前まで行った私を見て、兵士が言います。


「セレナ様、執務室は、ただ今お入りすることはできません」


 次の日、スフィア姉様はいなくなりました。

 そして数日後――私は、王の間にゼルディウスに呼び出され、こう告げられます。


「セレナよ、姉と同じように立派になるのだ」


 そして、ゼルディウスの隣にいた、レイシアに、突然、不思議な魔法をかけられてしまいます。

 視界が真っ白になって、気付けばあの場所、霧に包まれた、地下洞窟にいました。

 何が起こったのかは分かりませんでしたが、目の前に不気味に輝く、紫色をした球体が宙に浮いてました。


 あの時の私の頭に直接響いた声は、今でも覚えてます。


『セレナ・エス・ドーラ。これより、君をダンジョンマスターとして登録するよ』


 その瞬間、私は理解しました。

 これは呪い。

 ゼルディウスによる策謀だと。


 それからというもの、私はゼルディウスやレイシア、さらにゼルディウス直属の四天王や、七魔将と名乗る者たちに脅されて、毒霧ダンジョンをつくることを余儀なくされます。

 

 その後、ダンジョンマスターにされてしまった私は、紫色の毒霧が立ち込めるダンジョンの中、毎朝、行方不明の姉様の無事を祈ることから始めます。


 お祈りが終わると、コアルームの手前にある、ダンジョン最後の砦である、ボス部屋を見回るのも日課。


 黒岩で囲われた巨大なホール。

 紫の毒霧が漂い、無数の毒沼が、「ボコリッ」と音を立てる。足を踏み出すたびに、融解毒であらゆるものを溶かし、黒壁の苔まで紫に染まり、絶え間なく毒液を垂らす。


 ここが、私のお家。


「あれは、ただの牢獄でしたね……あ、続き書かないと――」


 こうなってしまったのは、すべては強行派のゼルディウスの手の者によって、毒沼を沢山つくらされたり、黒岩で囲うようにしろとか、モンスターはどこに配置するのか、どんなモンスターを召喚するのかまで、いつも指示されました。


 指示に逆らうと、酷い仕打ちを受けるから、言うことを聞いてたし、聞かざるをえません。


 深く息を吸うと、鼻を突く匂いもして、毎日が、すごく不快。そんな毒まみれの中でも、私が平気だったのは、毒魔法が使えたことと、昔、叔父様からもらった、魔法の白いローブのお陰です。


 それから、他にもモンスターの出現率とか、毒沼や毒霧の濃度を調整したり、ダンジョンを維持するのも日課。調整に失敗すれば、召喚モンスターたちが勝手に暴走することもありました。


 一度目は、100年ほど前に、デススネイクを暴走させてしまって、その時は、ティシリス聖教国の方にまで行ってました。知らない間に、巣まで作ってたと、後から聞きました。


 実は、最近同じ失敗をしてしまったことがあって、黒いうじゃうじゃした、ヴェノムワームの群れを、帰らずの森の方へ暴走させてしまって、ブラッディベアや、グランドボア、フライノドンたちとも大喧嘩になって、大量の魔物たちが、死の荒野の方へ向かってしまいました。


 その時、私がこっそり召喚した、お友達のペン銀もどこかへ行ってしまいました。


「一階層で、お散歩なんて、させなかったらよかったな……元気にしてるのかな…… メタリックバディちゃん」


 それは置いといて、所持モンスター一覧を見ると、A級からD級まで合わせて、5,000体近くのモンスターたちを全滅させてしまったことも失敗です。それも、一瞬でいなくなってしまいましたから、やはり死の荒野には、すごく恐ろしい何かがいるのでしょうね。


 ですが色々あって、私は今では姉様と奇跡の出会いを果たして、こうして手帳に書くこともできてます。


 両親の仇討ちもしたいと思いますが、私を呪いから解放してくれた、恩人のダイチ様に忠誠を誓って、役に立つ女として、姉様と共に、側に仕えさせてもらおうかなと思ってます。


「おしまい。と」

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