第61話 涙の再会と勝利の証
「わ、私の名は、セレナです。セレナ・エス・ドーラと言います……」
「エス・ドーラって、スフィアと同じ…」「スフィアお姉様を知ってるのですか……!? ど、どこにいるんですか!? ずっと探してたんです! 誰に聞いても「知らない」「分からない」といわれて、この三百年間、毎日無事を祈ってたんです!」
(ん? さっきまでコミュ症だと思ってたが、普通に話せるんだな)
セレナは、先ほどまでの怯えた表情から一変し、不適な笑みを浮かべながら、話を続ける。
「三百年前ほど前に、姉様が突然行方不明になりました。最初はいつものように貴族との会談とか、どこか遠方に舞踏会のパーティーにでも呼ばれたんだと思ったんです。姉様は私なんかよりずっと、社交の場にも慣れてたし、大人だし……そのうち、すぐ戻ってくるって、そう思ってました。でも一週間、二週間が経っても帰ってこなかった。置き手紙もないし、さすがにこれはおかしいんじゃないのって、何かあったんじゃないかと思って、必死に探しました。そして一月経っても、帰って来なかったんです! 城内の人たちに聞いて回ると、まるで今まで存在しなかったみたいに、誰も何も知らないし! 私はただ途方に暮れるしかなかったんです! 心配で悲しくて、どうしようもなくて! 何度も泣きながら、お姉様のことを思い出してっ!! 私は必ず会うんですっ!! 会わなければいけないんですっ!!」「ストップ! ストップだ!」
完全に目が普通ではない。
一度冷静になってもらうため、話を中断させた。
「頼むから落ち着いて話してくれ」
「ゼェ、ハァ、ゼェ……。し、失礼しました。私としたことがつい」
やはり間違いない。セレナは、スフィアの妹だ。ヒートアップしていくところも、目の焦点が合ってなかったのも、スフィアと初めて話した時とそっくりだ。
ひとまず、ここで話していても真相は聞けないままだ。セレナを拠点である、ダンジョンに連れて帰るが……女の子って、やっぱり怖い……。
◇
「スフィアお姉様……!?」「セレナ!!」
二人の声が重なるように、スフィアとセレナは泣きながら、強く抱きしめ合う。
「お姉様ぁ……! ずっと、ずっと、探してたんですぅっ……!」
「ごめんなさい……本当にごめんなさい……よく生きててくれました……」
涙と嗚咽が混ざる、約三百年ぶりの再会。
積もりに積もり過ぎた話があるだろうし、俺がここで口を挟むのは野暮というものだ。
そっと、その場を離れて、二人きりにすることにした。
あれからセレナを領民として迎え入れると、毒霧ダンジョンは一瞬で消滅。俺たちのダンジョンは転移の光に包まれて、元の場所へと帰ってきた。
それから、セレナには<住民鑑定>をしておいた。別に深い意味はない。ただ、何となくだ。
名前:セレナ・エス・ドーラ
LV:29
性別:女
年齢:315才
種族:魔族
適職: ダンジョンマスター・王女
スキル:<ダンジョンクリエイト><毒魔法LV7>
称号:<ダンジョン開拓者>
やはり見た目は少女とはいえ、俺の299才年上。まあ、今さら年齢が数百才離れていようと、気にならない。すでに完全に麻痺してるからな。
そして翌日。
新たなお知らせが届いていた。
早速、タップして開いてみる。
【第二回戦、結果発表!】
ダンジョンマスターの皆様、第二回戦のご参加、誠にありがとうございました。
第二回戦では、総勢1,000名を超えるダンジョンマスターが参加し、白熱した戦闘が繰り広げられました。
その中で生き残った者こそが、真のダンジョンマスターと呼ぶにふさわしい存在だと、我々は確信しております。
そして全ダンジョンの中から、上位10名のダンジョンマスターを、このたび特別表彰することと同時に、新たにランキング制度を導入することが決定致しました。
早速ですが、10位内のダンジョンを以下の通り、発表いたします。
第1位:ダンジョン・オブ・ザ・デッド(NO12)
運営コメント:戦略、トラップ構築、モンスター運用。どれを取っても圧倒的。わずか一時間足らずで、対戦相手を完全攻略した記録は前例なし。死を以て、死を制す。その理念を体現したかのような極悪ダンジョン。
特別報酬:1,000万DP/SS級限定召喚チケット×3
第2位:ダンジョン・アビス・デザイア(NO1)
運営コメント:暴力的なまでの支配力と、行手を阻む超高難度の構築構成。惜しくも首位を逃すも、その完成度は依然として脅威。ダンジョンの中でも一番の古巣でもある。
特別報酬:750万DP/SS級限定召喚チケット×2
第3位:ダンジョン・アーク・レギオン(NO3)
運営コメント:神聖属性に特化した圧倒的防御型ダンジョン。その崩れない城塞は、運営内でも議論となったほど。
特別報酬:500万DP/SS級限定召喚チケット×1
第4位:バベル・クロノスダンジョン(NO2)
運営部コメント:時間操作ギミックを導入した、唯一のダンジョン。戦略面での革新性は、特筆に値する。
特別報酬:250万DP
第5位:ルシファ・クレイジーダンジョン(NO9)
運営コメント:美しさと狂気が同居する芸術的ダンジョン。精神汚染系トラップの成功率は、驚異の98%。
特別報酬:100万DP
第6位:ダンジョン・ギア・マシン(NO5)
運営コメント:圧倒的な機械防衛システムを兼ね備えた理想的なダンジョン。無人型の戦闘運用では、トップクラスの完成度。
特別報酬:100万DP
第7位:フロストヴァイスダンジョン(NO7)
運営コメント:氷結系魔法を極限まで活かしたトラップ構成。美しさと冷酷さを兼ね備えた氷の王国。
特別報酬:100万DP
第8位:インフェルノダンジョン(NO6)
運営コメント:防衛成功率96%を誇る、攻撃的守勢ダンジョン。最終局面での爆炎演出は、運営人気NO1。
特別報酬:100万DP
第9位:ネザー・フェザー(NO8)
運営コメント:隠密戦・空中戦特化型ダンジョン。戦闘データは分析班が最も読めなかった、と評した。
特別報酬:100万DP
第10位 ロスト・アルカディア(NO12)
運営コメント:幻術と空間歪曲を融合させた高難度構成。敗北した相手は「夢を見ていた」と証言。
特別報酬:100万DP
※10位内に入選したダンジョンは、運営委員会による総合評価(戦闘時間、侵攻率・防衛効率、被害率、創造度などを基に選定しています。
【次回予告】
第三回戦は、多対一。
ランキング10位までのダンジョンは、自動的に防衛側として選出されます。
また挑戦者は、彼らの築いたダンジョンを攻略しなければなりませんが、他のダンジョンマスターとチームを組んでいただき、ダンジョンアタックに挑んでいただきます。
開催時期と詳細は、後日お知らせにて、ご確認ください。
次回も皆様の健闘を、心よりお祈り申し上げます。
〜ダンジョン運営委員会より〜
すでに完全にゲームのノリだ。ふざけたことしやがってと思ったが、特別報酬が美味すぎて、許してやらんこともない。それに、よく分からないけど一位だったし。
次回の開催時期は未定らしいが、世界を安定させるだ、何だのと、どこまでダンジョンを減らす気なのかは知りたいところではある。
相変わらず主催者の考えは分からないが、次回に備えて、引き続きダンジョンの強化に重点を置くことにする。
◇
「あはははっ! それにしても12番の裏で操る、あの男の子。すごく面白かったよ〜。つい、ランキングなんてものを作っちゃったし。14番を手玉にするだけじゃなくて、仲間にしてしまうとは思わなかったな〜。でも、どうしてそんなことができたのかな? やっぱり転生者で間違いはなさそうだけど……ボクのマスタークリエイトを超える力でなければ、できない芸当だよね? そうだったら、もっと楽しくなりそうだな〜。もうダンジョンは安定したことだし、これ以上続ける必要はなかったけど、せっかくランキング形式に変更したんだし、そもそもトーナメントだし、最後まで戦ってもらおうっと」




