第59話 全軍突撃
「全軍突撃だッ!」
「ワオーンッ!」
俺は今、巨大化したリルの背中に乗って、全軍突撃真っ最中。まあ全軍といっても、コアルームから出撃したのは、俺とリルだけだ。
本来ならレッドドラゴンやメガタウロス、ゴブリンキング、アークデーモンたちもいるが、あいつらは地上の防衛のため、広場に配置したままだ。
ドラスポやスラスポ以外のスポットも、今では領民のレベル上げと、健康目的のために使われているため、無闇に移動させるのも、どうだのかと悩んだ結果だ――まあ本音をいうと、戻すのが面倒だっただけだ。
ちなみに、「あのダイチ様が、怒りに任せて突撃してるなんて」と、バカみたいにスフィアに思われているかもしれないが、実のところそうでもない。
すでにぷにまるたちが見た情報を、プランが解析しているため、敵のダンジョン構造をマップで完全に把握している。
つまり、最深部までの道のりは丸見え状態だ。
それにしても、あらゆる所に毒のトラップが仕掛けられている。ま、俺からすれば毒しか取り柄がない中途半端なダンジョンだが。
「「「ギュギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!!」」」
「リル!」
「ワオーンッ!」
凄まじい閃光と業火の白炎
リルのスキル、<聖なるブレス>で凄まじい閃光と共に、敵は一瞬で消滅していく。だが、リルは<瞬走>を常時使用している。このありえないほどの速度は、魔導バイク以上。
つまり走りながらブレスを吐いているため、背中に乗っている、俺まで浴びる羽目になってる。もちろん、フレンドリファイアはないし、スーツと革靴も装備しているため、敵からも毒からもノーダメージではある。
ただ、突撃してからというもの、すぐに視界が真っ白になって、何も見えない。というより何も見ていない。
せっかくの敵のダンジョンにも関わらずだ。
ひたすらリルの毛を必死に掴んで、吹き飛ばされないように耐えているだけで、楽しくもワクワクもドキドキもないまま、すでに五階層に入ってるとは、どういうことかと思う。
さらに、そんなことで敵のコアルームまでたどり着けるのかと思ったが、最深部までの最短ルートを、プランからリルに指示すれば解決できると考えた。
だからこそ、俺は一切の手を出すこともなく、何もせずにいられる。
――いや、俺は掴まって耐えてるだけで、何もできないのだ。
『しゅじん、てきのボスまでもうすぐワン』
『早ッ……!?』
徒歩で攻略するとすれば、数日はかかるダンジョン。マップで見た情報から、いくつもの分岐ルートが存在していた。本来ならボス部屋の毒に特化したボスも、状態異常無効か、耐性がなければ苦戦するはずだ。ボスもチラッとしか見えなかったけど。
とにかく、ぷにまると同じく圧倒的なまでの強さを誇る、リルがいれば、もはや怖いものなしだ。もちろんぷにまるもだ。俺の知らない間にリルの背中に、ぷにまるがいたことも驚きではあるが。
「ぷに〜♪」
もはやS級クラスが束でかかって来ようが、何も心配することはない。とはいえ、リルとぷにまるは、スキル、<状態維持無効>を持っているわけではない。 実は何気に毒ダメージが効いてはいるが、<再生>が早すぎるために常時回復状態。痛みや苦しみが襲ってくる前に回復しているため、平然としている。
つまり、この毒トラップダンジョンは、俺たちにとってみれば、F級クラスのダンジョンでしかないというだ。
「お、最後のボス部屋だな」
「ワンッ!」
「ぷに〜♪」
さてと、さっさとボスを倒して、二人目のダンジョンマスターに挨拶でもしてやるか。
◇
「ベリアル様、七魔将の招集、共に軍備が整いましたので、これより進軍いたします」
「うむ。すべては魔族、そして御方様のために、必ずや勝利し、よい報せを持ち帰るがよい、アスモダイ」
「はっ!」
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