第58話 コトの真相と新たな作戦
《マスター、敵モンスターの反応を再び確認しました。今回も数と種類、共に完全に一致すると断定します》
「モンスタースポットで確定だな」
「さすがはダイチ様です! あ、でも、この後も同じことが続くだけになりますが、これから、どうするおつもりですか? あのモンスターたちをいくら倒したところで、こちらのDPも増えていませんし」
「確かにDPがもらえないのは残念だが、心配することはないぞ。そろそろ偵察部隊から連絡…」『にんむかんりょうぷに♪』
お、言ってる側から、ぷにまるから連絡が来たな。
実のところ、敵ダンジョンの全容を知るために、開幕と同時に、ぷにまると偵察の専売特許である、あのインビジブルスライムたちを、敵ダンジョンに送り込んでおいた。初手で攻撃はしていないが、情報は必要だからな。
最初はインビジブルスライムだけを送り込もうと思っていたが、開幕直前でフェンリルロードのリルが仲間に加わったことで、偵察部隊のメンバーを急遽変更した。
現状、こちらの最終防衛ラインは、リル。
偵察部隊隊長として、ぷにまる。
そして偵察隊員のインビジブルスライムが、五体。
ま、こうして棚から牡丹餅的に偵察部隊が組めたのも、シキ神様のお陰だ。
「ダイチ様、この子たちは……まさかインビジブルスライムですか!? でも、あの子はレアモンスターで、もう二度と帰ってこないと思っていたのですが、こうして再び目にすることができるなんて、とても感激です! ですが召喚モンスター一覧には、あの子はいなかったはずです。一体どうやって召喚したというのですか!? それも五体もですっ!」
「ち、近すぎるぞ……」
「あら、私としたことがつい嬉しさのあまり、ダイチ様に迫り過ぎて、キスしてしまいました♡」
「いや、今のはキスではなく、スフィアが食い気味過ぎて軽く唇が当たっただけだ」
「ダイチ様、軽く唇が当たっただけでもキスと言うのです。それに……今さらではありませんか♡」
「今さらって何だよ……何もしてねえし」
「ふふっ。それはダイチ様が寝ている隙に…あ、それより、私の元相棒がどうして五体もいるのです? あの子は元々、初回限定特典パックのレアチケットから召喚した子ですので、つい知りたくなりまして」
俺もゲーム定番の初回限定特典パックとやらを、つい知りたいところだが、こうなった時のスフィアからは逃れられそうにない。まあ元相棒で、お気に入りのやつだったと考えれば、あれだけ食い気味に来るのも分からなくもない。
だが、俺が「寝ている隙に」何をしているのかが、非常に気になって、戦に集中できない。
(スフィアの口ぶりからして、よからぬことにしか思えないんだが……)
《マスターの就寝中にスフィアたちは、すべての行為を実施していると断定します》
(す、すべての行為って、ななな何だよ……?)
《マスターが知りたいのであればお答えしますが、お聞きにならない方がいいかと断定します》
(おいおい、余計気になるじゃねえか……)
《それでは説明しますと、マスターが装備されているオーパーツであるスーツには、状態異常無効の効果があります。ですが就寝中は村人の服。簡単に言いますと、シルフィリアの風魔法ウインドスリープで深い睡眠状態にされた後、ヤリたい放題されています。さらにマスターが果てた後も、レーナが回復魔法を使用し、再びマスターの聖剣のうなりを上げさせて、行為に及ぶ連鎖が続いていると断定します》
「ぐはッ!」
とんでもないコトされてた……。
スフィアだけでなく、あいつら全員寄ってたかってヤリたい放題ぶん回しやがって、俺を何だと思ってやがる。
性女のレーナはまだ分かる。だが、あの優しいシルフィが魔法まで使って、あれやこれやしていたとは色々と怖すぎるぞ……。
《マスター、コトの始まりはレーナが、「そろそろ、わたくしたちは我慢しなくてもよろしいかと思いますが、皆さまはどうお考えなのでしょうか?」と、皆に寝室で提言し、色々あってルナリスがシルフィリアに魔法を使うように指示をし、エリスもなんだかんだで賛同し、今に至っていると断定します》
(な、なん、だと……それは、さすがの俺でも捨て置けないコトだぞ……)
《マスター、そんなことよりもスフィアに教えてあげてはいかがですか? 併せて、ぷにまるから送られてきた、ダンジョン内部のデータ解析が完了したと断定します》
インビジブルスライムが生まれたのは、ただの偶然に過ぎない。モンスター召喚一覧に、B級のクリアスライムという、聞いたこともないスライムがいたから、「なんだ? このスライム」と思って、気になって、進化の魔石でS級まで上げただけだ。なんてスフィアに教える前にだ。
俺の寝込みが襲われていることが、「そんなことよりも」なのか……?
まあ百歩譲って、それはいいとしてもだ。元はといえば、絶賛ダンジョンバトル中に、コトの真相をプランに聞いてしまった俺が悪いんだ。それに、ちょっと前から全裸パーティだった意味も、これでよく分かった。
――だが、俺も男だ。
毎晩寝込みを襲われてました、なんて辱めを受けてたとあっては、男が廃るというもの。今回は焦らず戦うのがベストだと思っていたが、そんな、ちまちました安全策の戦は止めだ。
いくつも用意した俺の作戦は、すべて台無しになるが、それは仕方ない。
なぜなら俺は今、無性に腹が立っているからだ。
こうなってしまった以上、もうどうにでもなれと開き直って、敵のダンジョンに、俺のすべてを八つ当たりしてやる。
俺が考えた最高の作戦。
名付けるとするのであれば、それは――。
「全軍、突撃だッ!」
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