第57話 DBT第二回戦
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「また地味なダンジョンだな」
「ですね。どこにでもあるようなダンジョンだと思います」
「プラン、あの紫の霧は、やっぱり毒とか?」
《その通りです、マスター。高濃度の毒霧が漂っていると断定します》
相手は毒の特化型ダンジョンか、もしくは俺と似た考えで、毒をトラップにしただけか。敵のダンジョンの詳細は不明だが、入口からある程度のところまでは、ダンジョンマップですでに確認済みだ。
マップで確認できているのは、岩石で構築された一般的なダンジョン。まあ、俺たちのダンジョンとは違って、一階層だけのダンジョンとは限らないし、油断は禁物だ。というより、何階層もあるのが普通のダンジョンであって、俺たちの方がおかしいのだ。
「さてと、まずは予定通りに行くぞ、スフィア」
「はい! えと……そのことなのですが、本当に待っているだけでよろしいのでしょうか?」
「ああ、何も問題はない。俺たちが今やるべきことは、ただ敵を待って迎え撃つことだ」
俺が考えた最高の作戦。名付けて、放置プレイ。
敵の情報を手に入れるため、相手のモンスターや攻撃パターンを知る必要がある。そのため、こちらからモンスターを送り込んで全軍突撃、なんてバカなことはしないで、開幕は放置プレイがいいんだ。
入口には第一トラップとして、例のウイルスを仕掛けている。まずは様子を見るのがベストだ。
《マスター、敵モンスターの反応を確認しました。その数、1,500体と断定します》
「ああ、俺も今見えた。敵のモンスターは……なんか毒々しいやつばっかだな」
「ダイチ様、あれはポイズンリザードとポイズントード、それからポイズンファングですね。確かC級からB級あたりだったと思います」
ん? スフィアって、こんなにモンスターのこと詳しかったっけ? 影で勉強でも始めたのか?
《マスター、スフィアは前回の戦での経験から「あのようなことでは、私はダイチ様の第一妃どころか、側室にすら選ばれないかもしれません。こうしてはいれませんよ」と、気合いを入れて猛勉強中と推定します》
俺の第一妃だと……いやいや、今は敵に集中だ。
「敵はやはり毒構成か」
「どうやら、そのようですね。あのウイルスのトラップを物ともしていませんから」
今回も毒は通用しないということか。ま、相性が悪かったってことで、気にしない気にしない。
《マスター、合計194,350DPが意味もなく、消え去ったと断定します》
「ぐはっ……!」
「あの、ダイチ様、いかがされましたでしょうか?」
「い、いや、何でもないぞ……」
「あ、ダイチ様、そろそろ例の場所に着く頃です」
「ここからが見所だぞ、スフィア。第二のトラップ発動だ」
――第二のトラップ。
それは、とあるモンスターたちが待ち構えている。
名前:ファイアボム
種族:エレメンタル
全長:1m
クラス:C
レベル:40
HP :1
MP :100
攻撃力:2,200
防御力:1
俊敏 :850
スキル:<自爆>
弱点 :全属性
入口から100mほど進んだ場所に配置したモンスターは、すべて自爆モンスターのオンパレードだ。ファイアボムの他に、アイスボム、ウインドボム、アースボム、プラズマボム、ホーリーボム、ダークボム、ポイズンボム。火、水、風、地、雷、聖、闇、毒の全属性自爆攻撃。
ちなみにダンジョンウインドウで、すべてのモンスターを確認したところ、こいつらが一番コスパがよさそうだった。42万DPを引き換えに、ボム系すべてのモンスタースポットを配置してある。
ステータスの偏りはかなりあるが、攻撃力という一点においては、A級にも匹敵する。もちろん一回限りの使い捨てにはなるが、元より自爆するためだけに生み出されたモンスター。見た目も色違いのゴーストみたいだし、心も痛まない。
さらに自爆する度に、モンスターがリスポーンするため、相手からすれば、次から次へと後ろから爆弾を投げられている気分だろう。
ただし、このボム作戦が通用するのは、ダンジョンの通路が狭い一本道でなければならない。
そのため、俺たちのダンジョンを極端に狭くする必要があった。そこで前回の報酬100万DPと、俺の20万KPの変換分を合わせて、合計300万DPを使用し、わざとダンジョン全体を極細の一本道にした。全長およそ10kmというところだ。
まあ逆に言えば、最奥のコアルームまで、ただ直進すればいいだけの一本道ダンジョン。道中は迷うこともないため、非常に危険のようにも思える。
では、なぜこのような諸刃のダンジョンにしたのか?
――それは、俺がただシンプルなものが好きなだけだからだ。
《マスター……》
「ダイチ様……」
「お前ら何だよ。シンプルイズザベストと言うだろ? それにほら、複雑にするとDPがかさむんだ。わざわざ分かれ道をつくって、部屋を増やしたりすると、すぐにDPが枯渇するぞ」
「なるほどです! 確かにそうですね。シンプルイズザベスト。初めて聞く言葉ですが、肝に銘じておきますね、ダイチ様」
まあ一本道とはいえ、攻略できないようにしている。ま、そんなことは当たり前のことだが。
「ダイチ様、そろそろ敵が全滅しそうです」
「「「ギュギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!!」」」
「ま、また押し寄せて来ましたね……」
ある程度までモンスターを削ってから攻めに転じようと思っていたが、また大群のお出ましか。さらにモンスターの種類も同じ。
相手の戦力とDP消費を同時に狙ってみたが、モンスタースポットの可能性もある。その場合、このまま防衛に回っているだけでは平行線。
とりあえず、こいつらを全滅させた後、また同じ状況になるのであれば、間違いなくモンスタースポットから生まれたものだと判明する。
まだ戦いは始まったばかりだ。
今回は焦らず戦うのがベスト。




