第52話 ダンジョン防衛戦3
《先ほどスフィアと連絡が途絶えました。おそらくダンジョンで何かが発生したと推定します》
あれから俺は信じて待つことしかできないと思ったが、まだ手は残されていた。
プランによると、念話と転移の使用は不可能だが、スフィアのダンジョンウインドウであれば、俺も使えるようになっていたからだ。
アイルたちを助ける時に、スフィアから共有してもらったディスプレイだが、あの時「ダイチ様にも見えるように設定を変更しますね」と言っていたのは、ただ見れるようにしただけでなく、遠隔操作もできるようにしてくれていた。
そうであれば、「見えるように設定を」ではなく、「操作もできるようにしておきました」と言ってくれたらよかったのに。と、そんな愚痴を言っても仕方ない。
遠隔で使えるなら、スフィアには悪いが、勝手に操作させてもらうぞ……って、DP全然ねえ……。
戦いの前にウイルスを撒き散らせておけばOKと言ったのは俺だが、まさか全ブッパしてるとは思わなかった。
まあ俺の言い方が悪かったし、こうなってしまったのも仕方ない。
ひとまずダンジョンの様子を見るか。
「ダンジョンマップは、これだな……は? すでにボス部屋が占拠されてるじゃねえか!?」
スフィアはコアルームでおろおろしてるし、かなりやばい状況だぞ。
あれ? 一瞬ゾンビが見えた気がするが……気のせいか?
「プラン、ボス部屋は破壊できるのか?」
《マスターが召喚される家屋などとは違い、かなりの強度で構築されていますが、S級クラスであれば破壊可能と推定します》
俺が召喚するほとんどのものは、<不壊>で壊れないが、ダンジョンとは性能が違うということか。
破壊されても一定時間経てば自己修復するのが、そもそもダンジョンだったな。
だが、そいつはかなり不味い。
こんなことになるなら、もっとダンジョンについて聞いておくべきだった。
後悔しても遅いが、このアビスハウンドとかいうゾンビ犬? いや、狼か。どっちでもいいが、一斉に暴れ出したら壁ごと破壊されてしまうだろう。
今はボス部屋の中を世話しなく歩き回っているだけだが、あの土壁を破壊できると知れたら、即ゲームオーバーだな。
一時間のタイムリミットまでは半分ほど。
このまま時間切れを狙うのは無理があるというものか。
それならいつも通り、とっとと終わらせるか。
「プラン、残りDPで状況を打破できるものはないか?」
《マスター、残念ながら残り1,554DPでは、ダンジョンウインドウのリストには見当たらないと断定します》
「うっ……やっぱそうだよな」
あれ? 1,554?
さっき1,600はあったように見えたが、スフィアが何かしたのか?
どちらにしろ千五百程度のポイントでリストには何も……って、俺のリストにはあるんじゃないか?
「プラン、KPをDPに変換させることは可能か?」
《可能です。スフィアの<ダンジョンクリエイト>と、マスターの<開拓術・極>は極めて特殊なものとはいえ、同じスキルで構成されたものですからね》
見事に予想が的中したな。
プランの話し方がやっぱり気になるが、早速変換。
《はい。喜んでマスター》
<マスターの必須品>
すごい変換機 10,000
<残227,884KP>
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すごい変換機:KPをDPに変換できるすごい機械。
効果:DP変換・不壊
必要KP:10,000
《マスター、ついでに〈ものすごい変換機〉に進化させておきました》
ものすごい変換機:KPをDPに十倍で変換できるものすごい機械。
効果:DP10倍変換・不壊
必要KP:20,000(進化使用時)
ここで、まさかのものすごいシリーズとは思わなかったが、これがあれば何でも変換できるとは、一体どんな機械なのか。さらに十倍で変換してくれるとは、確かにものすごい。
早速KPをDPに十万KP変換。
これで百万以上のDPになるため、やれることは増える。
「プラン、再度リストアップしてくれ」
《承知しました》
【マスターの必要品】
進化の魔石 (10,000DP)
超進化の魔石 (50,000DP)
究極進化の魔石(100,000DP)
帰還魔法陣(単発100DP/常設10,000DP)
>BACK 【残1,001,554DP】
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「うっ……思った以上にやれることは少ないな」
しかし進化の魔石か。
見たところ、モンスターを進化させるためのアイテムだが、これらは俺が使えないものばかりだ。
地上からではボス部屋どころか、ダンジョン内にモンスターを召喚することはできない。
仮にここで召喚したとしても、謎の結界でモンスターを送り込むことはできないからな。
まあそんなことができるなら、とっくに俺が向かっている。
百万DPもある状態で、プランからの提案がこれだけとなると、追加でDPを増やしても意味はないだろう。
――だとすると、やはりスフィアに操作してもらう必要がある。
今の俺にできることは、ボス部屋の帰還魔法陣を作動させて、やつらの気をそらせることぐらいか。
理想は新たにボス部屋前に帰還魔法陣を常設すれば、大神殿で待機しているだけで、帰還してくるやつらを順に倒していけばいいだけのことだが、今はモンスターが密集しているために設置できない。
「そうなると、一万体のS級モンスターに対抗できる力を持つモンスター召喚か」
【モンスタースポット一覧】
A級:アークデーモン (200,000DP)
A級:レッドドラゴン (200,000DP)
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S級:キマイラロード (1,000,000DP)
S級:フェンリル (1,000,000DP)
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>BACK【残1,001,554DP】
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やはり予想通り、S級一体で百万DPもの消費量。
雑魚モンスターを進化の魔石でクラスを上げるしか道はなさそうだ。
ひとまず俺たちは大神殿で待機し、帰還魔法陣を単発連打して、順に討伐して時間稼ぎをする他ない。
後は、スフィアが進化に気付けるかどうかの問題だ。




