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第1話 帰還と遭遇

この作品は今日中に全て投稿し終わる予定です。

小学6年生の頃。俺は異世界に召喚された。勇者となり魔王を打ち倒すまで鍛え、戦い、いくつもの力を得てきた。そして、召喚されてから10年後、20歳を超えた俺は、ついに魔王を打ち倒す。


「……わ、我もこれで終わり、か」


「ああ。長い戦いだった。俺の10年返してくれよ」


「ふっ……それは我ではなく神に言うのだ、な…………」


最後にそう言って命を落とした魔王。

魔王を倒した後は女神に呼び出され、元の世界へ強制送還されることが告げられる。理由は、


「前の勇者、魔王を倒した後に自分が魔王になっちゃったのよぉ。あれは手がつけられなくて大変だったわぁ……」


ということらしい。凄く疲れた顔で、遠い目をしていた。

俺としても救った世界ではあるが強い思い入れがあるわけでもないので、大人しく送還される。

ただ、女神は俺が魔王に言ったことを聞いていたようで、


「ちゃんと体は召喚される前のまま、召喚したときに戻すわね」


俺は元の世界に戻された。小学6年生だった頃の姿で、小学6年生だったあのときに。

召喚の光に包まれた後、


「ん。ここは……」


目を開くとそこはベッドの中。俺は召喚された日の朝に戻されていた。少し最初は頭が追いついていなかったが、次第に色々と理解していく。

それから体も色々と動かし、問題ないことを確認した。そして、


「『炎よ集え』……うん。魔法も使えるな」


俺の手の上に浮かぶ火の固まり。魔法がしっかりと発動されていた。

他にも魔法を使っていると、部屋がノックされて


早紀(はやき)!御飯できたわよ!」


「あっ。はぁ~い」


母親が、御飯ができたと告げてくる。早紀というのは俺の名前だな。本名は長谷川(はせがわ)早紀(はやき)だ。

俺は魔法を消し、部屋を出て久しぶりに両親に会った。かなり感動したぞ。涙こそ見せなかったが、2人には不思議がられていたな。

そしてその後、学校に行き、


「早紀ぃ!おはよぉ!!」


「ああ。おはよう」


友人と言葉を交わす。再開は嬉しかったが、やはり年の差を感じてしまうようなテンションの差がある。そう感じているときだった、


「おはよぉ亜弥ちゃん!」

「亜弥ちゃん今日も可愛いぃ!」

「あ、あああああ、亜弥ちゃん!おはよう!可愛いね!!」


大勢が言葉をかけているのが聞こえてくる。俺が目を向けてみると、そこにいたのは1人の少女。その少女は学校の人気者で、皆からは天使と言われる存在。


「皆おはよぉ~」


ぽわぽわとした印象を受けるが見た目と相まって更にそれがかわいらしさを際立たせている。そんな天使と呼ばれる彼女は天崎(あまさき)亜弥(あや)

そんな彼女だが、俺も印象に残っていることがある。それが、


「うわぁ~。今日はぽわぽわがいっぱいだぁ~」


そう言って、教室を見回す。だが、ポワポワと表現するのに適したようなモノは何も無い。……せいぜいほこりくらいだろう。

だが、誰もそれを気にした様子はない。これはいつものことなのだ。

……なんとこの天使と呼ばれる子、ちょっと不思議ちゃんなのである。何かよく分からないイマジナリーなものが見えるようで……


「うわぁ!凄いね早紀君!ポワポワがいっぱい出てる~!!」


「……ん?」


天崎の視線がこちらに向けられる。どうやら俺からいっぱいそのイマジナリーな何かが出ているようだな。つまりイマジナリーフレンドと言うことか?(絶対違う)

普段は人から沢山出ているなんて発言をしたことはなかったので、クラスメイトもこれには困惑していた。


「どうやったらそんなにポワポワいっぱい出るのぉ~?」


そんなクラスメイトや俺の驚きをよそに、天崎は尋ねてくる。ポワポワもよく分かっていない俺に対して。

……何だポワポワって。適当にあしらうべきだろうか?……だが、それも大人としてどうかと思うしな。


「……ポワポワってどんな感じ?」


俺は逆に天崎に尋ねてみる。天崎は少し考える素振りを見せて、


「どんな感じ?……ん~とねぇ~。こう、体からポワポワ~って小さい球みたいなのが出てくるのぉ~。でも、早紀君のはいっぱいあるから霧みたいになってるよぉ~」


「へぇ~。それは凄いね」


小さい球。そして、霧。……これをにそんなことはないと切り捨てるのは簡単だ。だが、確かめてみる価値はあるかもしれない。

俺は異世界で得た技術を使い、


「うぉ~!?ポワポワが小さくなった!」


ふむ。小さくなったか。これだけではまだ何とも言えないが。


「おぉ~。凄い。ゆらゆら揺れてる~!……今度は伸びたり縮んだりしてるよ!凄いねぇ~」


「へぇ~」


俺は確信した。

これ、本物だと。この天使、普通は見えるはずのない()()が見えている、と。


「良く分からないけど、また今度詳しいことを教えて」


「うん!良いよぉ~。じゃあ、今度遊ぼ~」


こうして俺たちは休日に会う約束をした。天使に好意を寄せる男子達に激しい嫉妬の視線を向けられながら。

……それから数年後。俺たちは、


「早紀君!見てぇ~。受かってるよぉ~」

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