最速でリクライニングを倒す男vsどうしても今すぐカレーうどんが食べたい女
私は今、飛行機でサウジアラビアに向かっている。サウジアラビアまで、エコノミークラスで行くのはそこそこ疲れるし、そもそも乗ってる時間が長くて疲れる。
よく、私はサウジアラビアに仕事に行くため、疲れることについては慣れている。だって、カレーうどんを食べれば疲労など吹っ飛ぶからである。
カレーうどんは世界を救う。
到着1時間前。着いたらすぐに仕事だ。今こそカレーうどんを食べる時。
前の席にくっついている折りたたみ式の机を広げようとする。
私が異変に気づいたのはその時だった。
なぜかすごい勢いで机が振動しているのである。
特に前の席が動いている感はない。
おかしいな、と思いながら前の席に対して、肘を伸ばして手をつけてみる。
痛い痛い。肘を伸ばしたままだとあまりにも痛い。
手がものすごい力で押されているみたいだ。
もしかして......
えげつないくらいの速度でリクライニングを上げ下げして、ずっとリクライニングが止まっているように見えていた......?
ま、まさかね。
インスタントのカレーうどんを机に置く。小刻みに揺れているせいで、どんどんと手前にカレーうどんが迫ってくる。
こんな時のためでは無いが、私は木工用ボンドを持っている。
どんぶり部分をボンドで机に固定する。
CAさんからお湯が届いた。今はそれどころでは無いけれど、入れないと冷めてしまう。
お湯を入れると、多分お湯がぱちゃぱちゃなって私にかかってしまう。仕事がすぐにあるから、今日は白い服なのに......
そうだ。お湯を入れる口を自分と反対側に向けて入れたらいいんだ。
前の座席には犠牲になってもらおう。
お湯を無事入れおわり、5分間待つ時間に入った。
どんぶりの中からぱちゃぱちゃと音が聞こえてくる。
いい感じに粉末スープが混ざっていいかもしれない。
5分経った。蓋を取ろうと手を伸ばしたところで気づいた。開けたら汁が私にかかってしまう。
手が止まる。麺が伸びてしまう。麺は少し硬いくらいの方がいいのに。
やばい。仕事、カレーうどん!、仕事、カレーうどん......!
キュピーン
めっちゃひらめいた。
日本から出る時に、タピオカミルクティーを買って、機内に持ち込んでいた。
極太ストロー!!
カレーうどんの蓋にストローで穴を開け、カレーうどんを一気に啜る。
美味しい!!
過去一、その日のカレーうどんは美味しかった。