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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第二章
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宝くじが当たったので、億ションを買おう!!

もうすぐ……、もうすぐの筈っ!

と言って見ます。

 ベテラン店員に尋ねられる。

「セキュリティに拘りがあるとの事ですが、具体的にはどうお考えでしょうか。」

「お恥ずかしい話ですが、具体的なプランはありません。どう言った形を選択するべきなのか以前に、どう言った形があるのかも全く分かっておりません。警備会社と契約……、くらいしかパッと思い浮かぶ事はありませんし……。」 

 事実だ。そもそも彼は玄関のドア鍵を閉める、くらいしか経験がない。彼にとっては守るべき財産は宝くじが当たる直前にもあったとは言え、防犯に意識を割く事の方が勿体無い程度でしかなかった。「防犯、何ソレ、美味しいの?」的な価値でしか無かったのだ。

「ですから、どう考えても『何も分かっていない者が考える最強のお家』、みたいな妄想しか出てきませんので、幾つか案を出して頂き、それから考えたいのですが。」

 どう言い繕っても、丸投げであった。


 ……もし仮に次郎が真剣に「僕が考えた最強のセキュリティが搭載されたお家」を考えていたとすれば、それが全て実現出来るかどうかは別にして、その現実化に手っ取り早い方法は土地を買い、理想の家を建てる事である。

 だが次郎は素人の考える防犯妄想を組み込んだ家に住むつもりは無いので、もっとリアリティのある設備が整った、既に建っている住まいを紹介される事になる。


 そんな住まいは大別すると2種類ある。


 新築か。中古か。


 そんな住まいは大別すると2種類ある。


 一軒家か。マンションか。


 別に次郎は新築か中古かは拘っていない。良いと思えば中古でも良く、同時に金銭に不自由していないので新築でも問題がない。

 だが一軒家かマンションかはセキュリティを求める次郎には真剣にどちらがより自分に合うかを考えねばならない事だった。

「結局、一軒家だと自分が全責任を追うんですね……。」

「そうなりますね。幾ら備え付けられているとは言えど、防犯システムを確認するのはご自身になりますからね。」

 新築にせよ、中古にせよ、当然の話である。

(うーん、セキュリティはしっかりしたいが、自分でそれを全管理となると……、正直、最初はまだしも継続して行く自信が無いな。)

 やはり、と言おうか次郎は面倒な部分を丸投げしたがった。

「マンションでお願いします。」

 と言う訳である。マンションの購入には、住宅そのものの値段の他に様々な手続きに掛かる諸費用が必要になる。またマンションの様々な共用設備関連の管理費や、将来のリフォームや建て直し等を考慮した修繕積立金なるものが、毎月必要となるらしい。

「一括払いとかは出来ないと言う事でしょうか。」

「修繕費に関しては出来る処もございます。しかし管理費となりますと、ある程度ならば纏めて頂く事は出来ますが、完全に一括となりませんね。」

 そう答えられて、次郎は「ふむふむ」と頷く。

「ではその2点に関しては、毎月払いだと思っておきます。それで、セキュリティが一番しっかりしたマンションだと貴方が判断するものから情報を見せて頂けますか?」

「畏まりました。処でお客様、ご予算は如何程をお考えに?」

 この不動産会社は超が付く一流だ。かなりの高額物件も多い。そんな不動産会社の客として、次郎は浮いている。言うまでもなく。

 高級ホテルの支配人からの紹介である故に「見た目に寄らない人間」と判断して、ベテラン店員は接客しているが、そうでなければ「冷やかし」と判断しただろう。

 尤もそれで邪魔者扱いにしたりしない。邪険にしたり、追い出したり等しない。今は「冷やかし」でも何れ本物の客になるかもしれないからだ。

 また、そうでなくとも邪険にした客がどの様な繋がりを持っているか分からない。思いも寄らない処で思いも寄らない客と繋がっていない保証も無い。

 後は邪険にした処を周囲に見咎められる可能性。ネットにでもばら撒かれたら最悪である。

 そんな訳で接客はきっちり行ったが、買い物をしていく前提でのアクションは取らなかっただろう。だが実際は上記した理由により、それなりに高価な買い物をしていくだろう、と店側は考えている。しかし具体額が分からない。次郎の予算を確認するのは当然だろう。しかし。


 次郎には予算に付いても具体的な考えは無かった。


 恐らくだが、登録者数1000万人を超える、有名YouTube○が住んでいる様なマンションも買えるだろう資産を持っているのだから、その辺りがユルユル思考となっている。何となく上限は1兆円と決めている程度だ。

 只、セキュリティがしっかりしていれば、防犯システムに納得が行けば、値段が安くても高くても良いので、予算を説明し辛い。店側が紹介してくれるマンションを幾つか見ないと「仮」相場も分からない。尚、「仮」なのは、これだけで相場がハッキリと分かる訳では無いだろうからである。

 しかし店側から言わせて貰えば、予算次第で大きく紹介する範囲が変わるのである。それこそ超高額の物件から比較的お求めし易い物件から色々とあるのだから。

「取り敢えず、先に、、、と言うのも非常識ですね。」

 そこは分かっているので、これ以上は辞めて、少し考えると次郎は言った。

「失礼ですが、私の見た目的に買える値段だと思われたマンションから見せて頂き、徐々に値段を吊り上げて頂けますか?」

 ……この答え方もどうかと言う話だが、今までとは別世界過ぎるのだ。どう予算額を決めるべきなのか、判断材料となる経験値が無い。これが次郎の精一杯だったのである。勿論、何処ぞの仏教学生から「神は死んだ」と言われる様な、「客だし良いよね!」的な店員側からすれば非常に困る質の楽観が無かったとも言わない。

 はっきりと次郎が話す事は無いが、今までの遣り取りで大体の処を店側、即ち接客しているベテラン店員は掴んでいた。

(どっかから泡銭(あぶくぜに)が手に入ったタイプだな。)

 例えば遺産。思わぬ処の思わぬ相手からの遺産が手に入った。或いは株式等の現金以外の遺産を受け継ぎ、その価値が思わぬ爆上がりしたとか。

 例えば骨董品。誰かから譲られた、或いは交換で手に入れた、若しくはそれこそ遺産代わりに受け継いだ、良く分からない骨董品を試しに査定に出したら、思わぬ値が付いたとか。

 高級ホテルに泊まり、結構な新居を買う程度では使い切れず、少なくとも防犯に意識を割かねばならない程度には残る額を急に手に入れた、或いは手に入れてしまった。序に言えば、税金対策も考えないとならないのかもしれない。 

 とにかく今までの生活からは考えられもしなかった事態で、育まれた価値観が役に立たない訳だ。

(大抵の人間は急な大金を手にしたら、アホみたいに豪遊生活に走ってしまうのも珍しくないが……。)

 「豪邸が欲しい!」的な事を言ってきた訳でもないし、以前の生活に親しい金額のものを探そうとしている次郎は、「そのタイプでは無さそうだ」と考えながら、ベテラン店員は最初に見せる物件の写真をタブレットで映す。

 そうして選ばれたのは次郎の願い通り、その見た目に合わせ、それからローン返済を考慮した上で1000万程度の部屋だった。言う迄もなく、セキュリティに力を入れたマンションの部屋である。

 間取りを見せて貰い、次郎は疑問点を質問し、良い物件と思えた写真にチェックを入れて貰う。その後、2000万、3000万と値段を上げた、部屋を見せて貰い、同じ様にして貰った。

 数を重ねると次郎自身より早く、店側が彼の好みの間取りを理解していく。そしてやがてはこれ以上は一般向けではないレベルになる、と言う処に辿り付く。

「じゃあ、今までチェックを入れた写真を並べて貰えますか?」

 それを告げられた次郎はそう願い、一番最初と一番最後、それからその中間レベルの金額の部屋3つ、それらの間取りの部屋の内見を依頼した。

お読み頂きありがとうございます。大感謝です。


☆次郎の住むマンション、当初は高くても1億くらい……、だと思ってたのですが、参考までに5000万辺りのマンション〜億ションの間取りを見ていたら、「あれ? ぼやぁと考えてる間取りの部屋って思ってるより高い?」となり、急遽変更になりました。

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