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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第二章
8/103

宝くじが当たったので、億ションを買おう!

う〜ん、ちょっと、いえ、大分退屈かもしれません……。

申し訳ありません。

 翌日。


 寝心地抜群のベッドから降りた時間は7時頃。中々に良い時間だった。スマホを充電器から外し、充電器を片付ける。その直ぐ近くに置いていた不動産会社の情報が記されたメッセージカードをもう一度読む。

(おお、流石……。)

 不動産会社の名前をスマホで検索すると、結構高い評価を受けているらしいと知る。それらは適度に流し、HPに移動すると、アクセスを確認する。

(バスを使うと良いのか。)

 しかしバスの路線図等、田舎から出てきたばかりの者に分かる訳が無い。路線図を検索し、色々と調べて見る。

(あ、これなら行けそう。)

 どうやらこのホテルと銀行の間にあるバス停に停車するバスならば、間違いなく不動産会社に付ける様だ。しかも説明から察するに、間違えて反対路線のバスに乗ってしまっても問題無く、しかも時間も余り差か無いらしい。

(有り難い。)

 そう思いながら、不動産会社の始まる時間を再確認する。案の定、まだ早い。

(取り敢えず朝食にするか。)

 何となくだが、モーニングはルームサービスではなく、既に開いているレストランで取る事に決めた。尚、人の目に関してはもう開き直っていた。


 何時も朝の食事は抜く事が多かった。時間に追われ、取れないでいる内にそれが癖になっていった。しかし、こうしてじっくり、ゆっくり食べていても満腹を感じるまでは結構な量が必要だった。

(今日は流石に食べ過ぎだろうが、あの習慣はやっぱ体に良くなかったよな……。)

 食べ終わった量を見ながら、これまでの食事習慣を思い返す。若いから食欲旺盛な面もあるだろうが、若いから体力で不健康な生活を押し切れていた面の方がずっと大きい筈だ。

(規則的な生活を意識しないと、40代くらいでポックリ行きそうだな。……特に42才辺りで。)

 自身の寿命に付いて思いを馳せた経験は余り無く、長生きしたいとかも思わなかったが、流石に40代は早死にな気がした。

(40代で死ぬよりはもうちょい長生きしたいよなぁ……。)

 次郎は漠然とそう考えるのであった。


 ふと時計を見る。延々と食べている内に1時間半程は、経とうとしている。例の不動産会社はそろそろ店を開ける筈だ。流石に満腹になっている事もあり、時間の頃合いも良い。

(そろそろ行くか。)

 食事を終えると、これから人に会う事を考え、歯を磨く為に部屋へと一旦は戻る。何人かとエレベーター内で一緒になったが、幸い、昨日の家族は居ないし、妙な(?)勘繰りをする人間も居らず、問題無く部屋の階へと行けた。


 9時。外出準備を終え、フロントへ。先に一旦はお金を下ろす為に銀行へ向かい、その後、不動産会社へ向かうと告げる。

「宜しければ送迎サービスをさせて頂きますが。」

 ホテルから一定距離以内ならば車を出してくれる。そう言ったアシを持たない客の為のサービスを現在、実施しているらしい。

「では銀行から戻り次第、宜しくお願いします。」

 この場合、銀行へ向かうのもサービス内に出来るだろうが、流石にホテルから近過ぎる。駐車場に止める、駐車場から歩く、これらを考えると素直に歩いた方が早そうだった。そんな訳で足早に銀行へと向かった。


 銀行には人が居るが、ATMも普通にある。よってATMを使用したいのだが。

(カードがまだ出来てないんだよな。)

 カード作成には凡そ1週間程掛かると言われた。尚、郵送ではなく、次郎が直接取りに行くと言う話になっている。当然だ、書類上の現住所はヤクザさんなご近所がいるあのアパート、否、マンションなのだ。郵送にすれば、そんな場所にまで取りに行く必要が出てしまう。そんな事は面倒でしか無い。

 とにかくもカードがまだ無い為、窓口で下ろす事になる。今日は不動産会社に行くのだ、急遽、幾らか支払う必要が出てくるかもしれない。今、残っている現金だけでは不安だった。そんな訳で幾らかまた下ろす。

(持ち歩くのはちょっと不安があるが、仕方ないよな。)

 スリ辺りに出会ったら、と考えがどうしたって過る。しかし不審者の様な行動を緊張から取ってしまうのは、別の意味で厄介な事を引き寄せるかも知れない。

(警察に職質されるとか、絶対避けたいしな。)

 次郎はホテルに戻るまでの間、緊張を表に出さない様に意識しながら歩いていた。その為なのか、行きより帰りの方が時間が掛かった。


 ホテルに戻り、フロントへ。直ぐに車へと案内され、後部座席へ乗り込む。

(良く分からないけど、結構な高級車じゃねぇの、コレ。)

 車の種類に付いては良く分からない。興味を普通に、素で持っていなかった。そんな次郎でさえ、一発で高級車と分かる自動車には品がある。……とか偉そうに言って見るが、実際の処は本当にそうなのかは、次郎には不明であった。

(それにしてもマイクロバスとかじゃねーんだな。)

 マイクロバスならまだまだ人数が乗れたのだろう。送迎サービスとはそちらがイメージだ。こう言った処も高級ホテルならではの処かもしれない。


 何にせよ、然程時間を掛けずに不動産会社に着いた。送迎車はホテルへ戻る。帰りの送迎は連絡すれば良し、らしい。こうして車を見送ってから、店内へ入った。

「いらっしゃいませ。」

 スーツ姿の店員が1人、挨拶しに来た。

「ようこそ、当店にお出で下さり、誠にありがとうございます。」

 深々と頭を下げ、笑顔で指し示す。

「どうぞ、あちらへ。」

 その方向に目を遣ると、小綺麗な机と椅子のセットが並んでいる。

「分かりました。」

 特に反対する必要も無いので、素直にそちらを目指す。椅子に腰掛けるとこう聞かれた。

「お飲み物をお持ちします。コーヒー、紅茶、緑茶、昆布茶、オレンジジュースらがございますが、どちらに致しますか?」

 直ぐ近くにはメニューもあり、今、品のある(様に次郎には見える、何なら光輝いている)店員が言ったものと同じ飲み物が並んでいる。少し考える。

(えっと、モーニングで無茶苦茶美味しいコーヒーを飲んだし……、今度は紅茶にするか。)

「では紅茶で。」

 そう頼むと店員は続けて聞いてくる。

「ホットになさりますか? それともアイスになさりますか?」

「アイスで。」

 この暑い中、クーラーがしっかりと効いているとは言え、ホットを頼む気にはなれなかった。

「かしこまりました、失礼します。」

 店員はそう言って、下がって行った。そして程なく、それ程、時を置く事無く、紅茶とちょっとした菓子類を乗せた盆を持った店員が戻って来る。

「係の者が参りますので、もう少々お待ち下さい。」

 そう言って、次郎の前に盆の上から紅茶と菓子類を置いていく。

「ありがとうございます。」

 次郎は高級な店が出す、客用の飲み物と菓子を楽しむ。

(う〜ん、このお菓子、スーパーとかでは見た事無いな。やっぱりどっかの専門店からのものかな? と言う事は紅茶もそうだったり?)

 因みに次郎がスーパーで見繕うものは、その中でも安いものに限定されていたので、実の処、スーパーの商品さえ余り知っている訳ではなかった。


 それはさておき。


 先程の店員とは違い、ある程度、年配な者がタブレットを持って近付いて来る。

「お待たせ致しました、音無様。」 

 どうやら物件を紹介してくれるのは、ベテランらしい。そう言った雰囲気が漂っている。流石は高級ホテルが間に入った事はあるーー、と言って良いのだろうか。

お読み頂きありがとうございます。大感謝です。

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