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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第七章

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72/102

フィールドと(変則的な)チュートリアル④

あれ? 展開の予定か……、すみません。

 アポロンは流石に感極まっていた。

(漸く……、やっとだ……!)

 感動レベルで感情が動く等そう無い。次郎は親に家を追い出された時でさえ、「怒り心頭」とか「情けない」とか「悲しい」とか「寂しい」とか……、後は何処ぞの見る目の無い、人外の番相手になる悲劇のヒロインに有りがちな「自分を愛せ」なんて感情がチラリとも湧き上がる事等無かった。

 会社があんな事にもなり、無職にならざる得なかった次郎は、余りに身勝手で理不尽な言葉を親に告げられた時でさえ、「可哀想な自分」に酔って嘆いて、周囲の同情を曳くなんて事からは完全に無縁だった。

(待った甲斐が有った……!) 

 にも関わらず、こんな事で彼は今、感極まっている。何ともアンバランスな心理であった。それはさておき。

「其処に落ちているのは見ての通り、モンスター達の成れの果て、則ち死骸だ。今からモンスターからドロップされる素材に付いて、説明を行う。」

「ドロップって、モンスターを倒したら自動的に手に入るものじゃないんですか? 後、どうしてモンスターは消えないんですか?」

 先程の質問に於けるエトセトラはもう頭から抜けたのか、質問大好きプレイヤーが我先にと質問を重ねる。

(先に説明を全部聞いてからで良いじゃん……。)

 アポロンこそ舌打ちしたい気持ちになるが、それは恐らく彼だけでない。他プレイヤーは「またか」的な顔をしている。

「お前、いい加減にしろよ。」

 否、それだけでは済まなかった。また質問大好きプレイヤーの独壇場にさせたく無かったのか、とうとうメンバーの1人がNPCが何か答える前にキレた。短気、ともキレやすいとも言うまいが、決して穏やかに話を聞けるタイプでは無かったのだろう。

「何だよ、重要な事に繋がるかも知れないだろ!?」

 そしてその言い方に腹を立てたのか、質問大好きプレイヤーもキレ気味に言い返した。

「全く重要じゃない可能性も有るよな! そんな可能性の話でこれ以上時間を無駄にさせるなよ!!」

「そうよ!! これじゃあ何時まで経ってもチュートリアルが終わらないじゃないっ!!!」

「お前等だってさっきは質問し捲ってたじゃねーかっ!!! それも無駄な質問ばっかよっ!!!! 『答えられない』って何回聞いたかっ!!!!」

「無駄な質問が多いのはソッチじゃん!! アンタが一番無駄!!! 自分を棚上げするなっ!!!」

 あれよあれよと言う間に質問大好きプレイヤーに他プレイヤーが文句を重ねていく。何時、口喧嘩の域を超えるかと思う様な激しさだ。

「…………………………………………………………………………………………………………。」

(何かヤバそうな無言だな。)

 何も言わないNPCが気になる。こう言ったトラブルに於ける対応プログラムがどうなっているのか気になる。若干、モンスターの死骸に対してから意識が逸れるアポロン。

「……………………………………………………………………………………………………。」

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 

「ーーーーーーーー!!!」

 今はチュートリアル専用プログラムで行動しているNPCの意味深な無言に気付かず、益々激しくなる言い合い、否、怒鳴り合い。そしてとうとう誰かが手を振り被る。その瞬間ーー、彼等は消えた。

 目の前で始まる殴り合い、とはならなかった訳だがアポロンからすればより意味が分かり辛い。尚、アポロンが知る事は無かったが、要は彼等は隔離されたのだ。

 このゲームではPKに関しては全面禁止している訳ではないが(言い換えれば条件を満たさないとPKプレイは認めらない)、チュートリアルではスムーズに事を運ぶ為にPK行為やそれに準ずる行為に制限を掛けている。

 運営がこうしたフルダイブ型VRMMOでは放置すれば問題となりそうなプレイヤー同士の人間関係にどう干渉するのかは恐らくは探り探りになるだろうが((筆者)は余り考えてませんw)、とにかくチュートリアル時に関しては通常よりも素早く厳しく処置される、と言う事だ。最も彼等の問題行動と同レベルな事を通常時にやらかしたとして、「問題無〜し」とされるかどうかは不明だが((筆者)は余り考えてませんw)。

「すみません! 続きを聞かせて頂いても!?」

 何にせよ、あの喧嘩勃発で消えたプレイヤー達に気を取られても仕方無い。アポロンがそう判断したのは、「始まりの広場」に戻ろうとしたのか、チュートリアル用転移移動の使用を伺えた(姿が消えようとしていた)からだ。慌てて大き目の声が出る。


 そして変則的にチュートリアル()()()()のである。


 結論から言えば、倒したモンスターが消えるのはダンジョン(エリア含む)だけだった。ダンジョンに出現するモンスターは、倒されるとダンジョンに吸収される為に、直ぐに消えるのだ。

 因みに本来ならば、ダンジョンの質問に関しては「悪いがそれは答えられん」と言われていた筈だ。実際、喧嘩勃発→隔離された彼等もダンジョンの事は気になっているので(スレとかに早速掲載されていた)、幾つも質問を重ねたがそのほぼ全ての返答が、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、「悪いがそれは答えられん」、、、、、、と言ったものだった。

 しかしアポロンは彼等とは違う。自身がダンジョンエリアを攻略し、ダンジョン・マスターの称号を所持しているプレイヤーである。その為、色々と教えてくれたのだ。


 ではダンジョン内やダンジョンエリアではない場所に於けるモンスターだとどうなるのか。


 アポロンが見ての通り、それは消えていない。

「コイツ等モンスター共は解体すると消えるんだ。」

 そう言いながら、実際の解体を見せてくれる。この解体技術はスキルになるものだ。

 本来ならば、スキルになるまで幾度も素の解体を重ねなければならないが、そうなるとプレイヤーの解体に対する忌避感と言った心理や、リアル器用さからも影響を受けてしまう。

 解体スキルは所謂冒険者初心者パックみたいなスキルであるので、チュートリアルで身に付ける事が可能になる様に、NPCの指導プログラムは組み立てられている。

 しかし解体スキルをそうした通常のスキル会得方法とそう変わらない位置に付けてしまうと、実際にはチュートリアルで身に付けるのが厳しいプレイヤーも存在してしまうだろう。

 故に、スキル「解体」は指導NPCの行う解体を見ているだけで行える様になっている。そしてモンスターの死骸は解体すると消失する様になっている。つまりこのチュートリアルで解体を覚えるとモンスターの死骸を消失させる事が可能になるのだ(最もアポロンのスキル「データ変換」でモンスターを倒すならば、余り関係は無い。普通にモンスターのプログラムを壊されて消えるので)。

「つまり、普通は戦闘終了しないとモンスターは消えないんだね?」

 質問しながら「1度の戦闘で出現するモンスターの数によっては戦闘が遣り難いかもしれない」と考えるアポロンだったが、返ってきたのは否定だった。

「いや、スキル『解体』は戦闘していると自動的に作動するから倒して行く端から消えていくぞ。」

 ………つまりはモンスターの死骸が自動的に消えていかない現象はこのチュートリアルのみな様である。ある意味でアポロンが少し前に無意識で否定していた「『モンスターを倒すとモンスターが消えますよ〜、はい、消えましたー』的な説明をNPCがして、実際にモンスターの死骸が消えていく」……、と言った予想(妄想)が近い事、否、ほぼ等しい事が確定したのである。

 スキル「解体」は戦闘中に常に発動するパッシブスキルらしい。その為、解体スキルは戦闘を重ねるとレベルが上がる事になる。意識していなくとも勝手により効果的になると言う事だ。

「だからと言って、胡座をかくもんじゃねえけどな。少なくとも人に指導出来る様になろうと思うなら、自然に任せるだけじゃあ無理だ。……まあ、お前さんにゃあ聞き流しても問題無い話だがな。」

 若干、「それ言って良いの?」とツッコミたくなる付け足しが有った気もするが、アポロンはそれをスルーする。スキル「データ変換」で色々剥ぎ取れるだろう事を思えば、確かに関係無いだろう。



 スキル「解体」を習得しました。スキル「データ変換」の機能が組み込まれます。スキル「解体」がスキル「解体α」になりました。57DP会得しました。


解体α:

モンスターを解体する技術。解体したものの質がアップする。



 とか思っていたら、スキルを習得した上に早速何か変更された。序にDPも会得した。

(……こうこまめにDP言われても合計ポイントとかいちいち確認しないしなぁ……。進化可能になるくらい貯まったらそこで初めて声掛けて貰っても良いよなぁ。)

「さて。それじゃ王都に行くぞ。」

 説明が終わり、NPCが歩き始める。その隣を歩きながら、アポロンはDPに付いて考える。

(もうレベルも関係無いし、経験値とかもサッパリだしなぁ……。)

 意図的に貯めるにしても、DPの数値が地道に地道に地道に……………、と言ったものである。

(良し、溜まり切るまでDP数値は聞かない、と言う事で。お願い出来ないかなぁ?) 

 気持ち的に迷いは無いものの、多分、この辺りはAIにお願いした方が良さげだと心で尋ねる。



 了解しました。これよりはDP数値に付いてはアポロン様がお知りになりたい時以外は一々宣言致しません。



 結果、そんな答えが返り、アポロンは満足を覚える。そしてそれはそうと、アポロンが受けているチュートリアルは変則的になったとは言え、プレイヤーにちょ〜〜優しくプログラムされている初心者用のものだ。


 と、なるとどうなるか。


 王都に着くまでの時間、モンスターが何度か用意され、戦闘プレイに慣れる様にしてくれているのだ。流石に最初の戦闘程ちょ〜〜〜が着く様な馬鹿丁寧にはしないが(先程、隔離された彼等のチュートリアルを思い出して下さい)、アポロンからして見ればそんな事は関係無く、中々にめんどくさい。そして。


 ーーバン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! 


 実際には流石にそこまでは銃を撃ってない気がするが(と言うか絶対に撃ってない)、心理的にはこうだった。全てワンキルなのだから、そこまで言わんでも……、と思う誰かが、ナニかが、居るかどうから分からない。


 ーーバン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン! バン!


 銃に依るワンキル。超激バリ弱小モンスターは1度に付き、1〜4匹くらいが出現する。

 ターン制ではなく、実際に肉体を動かしている様な感覚で行うバトルになる為、本当にチュートリアルは丁寧だった。

 だが余りにもアポロンには無意味なターンである。ステータス的に。何せアポロンからしてみれば、ついこの間まで、ラスボスダンジョンで戦闘し、時にはラスダンの中に出現する中ボスみたいなモンスターともバトっていた処で、何故かRPGの始まりの村周辺でバトルの練習をしている様な状況なのだから(尚、「バトル?」等と言うツッコミも「いや、寧ろまともなバトルは今が初めてでは?」等と言うツッコミも「いや、今もまともなバトルじゃない気が……」等と言う感想も(筆者)は聞こえませんwww)。

 故にアポロンの心情的にはダルい、この一言に尽きる。チュートリアルの舞台では隠蔽しても無意味だから、戦闘を減少ーー0にするーーする事は不可能だから、嫌でも引き金を弾き続けるしかないからだ。流石にAIは初心者用のチュートリアルを大きく変える事は出来ないと判断したらしい。

 故にアポロンの心理的には延々とクソザコ戦を続けている気分だ。

 勿論、実際はそこまでではない。幾ら丁寧でも初心者チュートリアルだ。ドラク○で例えるならば、あの始まりの村周辺だ。そんなアホみたいな出現率でモンスターが現れる訳が無いのだ。

 そして気持ち的には延々とバトルしていても、終わりは必ずやって来る。そう、王都への到着である。


 王都らしく、城壁に囲まれた場所の一角ーー則ち入口ーーへ向かうと、見張りの兵士が居る。遠視スキルの影響で結構前から見えていたが、それはつまり地形が「始まりの広場」から王都まで殆ど変わりなかった事を意味する。

 そしてアポロンが連れて来られたルートはチュートリアル専用で、この入り口はまだ身分証明書を持たない人間専用と言う設定になっている。中に入り、冒険者登録を行えば、立派(では無いが……、王都民からの信頼的にも)な住民扱いで、この入り口は使わない。


 つまり、今だけの入り口なのだ。


 が、この事を説明されてもアポロンは感慨深くはならない。只、これはアポロンだけの事ではない。これからのゲームプレイに思いを馳せて、「はよ、冒険者登録を!」となるプレイヤーが殆どだからだ。

お読み頂きありがとうございます。大感謝です!

評価、ブグマ、イイネ、大変嬉しく思います。重ね重ねありがとうございます。


ケンカ勃発です。プレイヤー達は隔離されました。

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