エリア「始まりの広場」とチュートリアル①
新章開始です。取り敢えず移動はしました……、よ?
本日、2回目ログイン。再びダンジョンエリアの洞窟へ。説明を聞いて、色々と考察していただけの1回目と違い、移動の為に洞窟の出入り口へと向かう。
暫く歩くと、直ぐに外が見えた。
(何かチュートリアルを思い出すな……。)
アポロンの言うチュートリアルとは、エンシェントスライムとの戦闘時の話ではなく、それ以前の話だった。
(アイツと話した空間がこんな感じの宇宙空間だった気がする……。)
正確にはトランス5万1270号と言うのだが、この数字は機材の製造番号で、一々丸暗記等していないので、こんな言い方(?)になっている。
(にしても星空すらないって……、ダンジョンエリアってどう言う設定なんだ?)
洞窟の出入り口から数mは地面が見えるし、草が生えているのだが(素材ではなく、オブジェクト扱いの様だ)、それ以降はあちらこちらに宙に浮く石(此方も素材ではなくオブジェクト扱い)が見えている。更に遠くには光が見えていて、何かの惑星っぽいのも浮かんでいた。つまりは宇宙空間のイメージで、地上から見る星空でも夜空でも無い。故に初ログイン前のチュートリアルを思い出したのだ。
(もしかして……、空間歪曲とやらが関係しているのか……?)
洞窟のある地が丸ごと宇宙空間に浮いているーー、そんな空間を見て考える。1回目のログイン時に確認した、ワールドニュースでその様な事を言っていた筈だ。
ダンジョン・エリアが攻略されました。各エリアにダンジョンが生まれます。ダンジョンとは魔素濃度の異常箇所が周りの空間を歪ませる事が原因で生まれます。ダンジョンを攻略して、空間歪曲に対処して下さい。
コレだ。このエリアは攻略された訳だが、故に各エリアにダンジョンが出現したらしい。その事から考えると、各ダンジョンを齎した空間歪曲が実は繋がっているとか有るかもしれない。
(聞いて見るか。)
今までのアポロンの思考にAIは答えていない。となるとある程度、答えは予想が付く。
「この宇宙空間が各エリアにあるダンジョン……、空間歪曲と何か関係有るか? ここから各エリアのダンジョンに飛んだり出来るか?」
このアポロンの質問は当然ながら、「此処からダンジョンに飛び、スキル「データ変換+」による攻略を試みる」事が前提となっている。
申し訳有りませんが、前者の質問にはお答え出来ません。後者は「許可出来ない」と申し上げて置きます。
因みに最初の質問、正解は「Yes」である。そして色々ややこしい設定が重なっている上に、プレイヤー・ダンジョンの件もあるので、後者の質問は「NO」となる。此処はスキル「データ変換+」を使っても、AIは決して設定を変えたりはしない。今の処は、だが。故にAIは「許可出来ない」と言っている訳だ。
後、メタ的に言ってしまえば「許可出来る」、「可能」としてしまえば、アポロンは当分、スキル「データ変換+」によるダンジョン攻略に勤しむ事になるので、それは運営サイド的に収集が付かなくなるのが目に見えているので、流石にしない。
只、もし仮に此処がVRMMOの電子空間ではなく、本物の異世界であるなら、アポロンはチートスキルを持っている転移者、或いは転生者になり、運営サイドが一切無関係になるので、現実設定になると別の意味で色々話はよりややこしくなりそうだが、許可が必要無くなるので、可能か不可能かで言えば可能になるだろう。
最もこの仮定は「今のアポロン」には関係無い話だ。「今のアポロン」には……。そして当然、私にも……。
「ふーん、有難う。」
それはともかく、可能か不可能かではなく、「許可出来ない」と言う言い方から「多分に自分の考えは当たってそう」とは思ったが、「許可されないならスキルを使っても無駄だろう」とも思う。
(もっとデミゴッドもプレイヤー・ダンジョンも増えたら色々変わるかもだけど。)
今は流石に一人勝ち過ぎるだろう。アポロンはそう結論付けて、取り敢えずいよいよ別のエリアに向かおうと洞窟の外側へ足を踏み出した。
エリア移動しますか? →Yes →No
途端にそんな文字が現れる。勿論、「Yes」を選択する。本来ならば移動先となるエリアを選ぶのだろうが、現状、アポロンが移動出来るエリアは「始まりの広場」だけである。故に選択肢は一切出ず、代わりに即移動となる。
初期エリア「始まりの広場」へと移動します。
その言葉と共に、アポロンの視界から宇宙空間が消えた。
………運営サイドは疲れ切っていた。アポロンが本日2回目のログインをしていると言う事は確かに「1日の始まり」、だなんて時間では無いので、そりゃあ「元気一杯」だなんて言える訳では無いだろうし、疲れていても可笑しくないのだが、それでも、異常状態だと言える程に疲れ切っていた。
「……何故、こうなった……。」
何故か、短期間でアポロンを特別扱い仕出したAI。泣きたくなるのは河村だけではあるまい。しかも俗物的な話だが、わんさか金を支払ってくれた次郎なので、その判断を正す(?)のも勿体無い。彼等はこの先、次郎が一般プレイヤーの居るエリアへ向かう事をどう判断すれば良いのか分からなかった。
初期エリア「始まりの広場」。
漸く本来のチュートリアルの場へとアポロンはやって来た。その感想は………。
(うわあー、ゴチャゴチャしてるなぁ……。)
隠蔽系統のスキルを使っているので、他プレイヤー達には気付かれていないが、NPCはそう言う訳では無い。
(此処で話し掛けられたら却って面倒かも?)
何せNPCが何も無い空間に話し掛けている形になる(だろう)のだ、それは別の意味で目立つ。慌ててスキル「限定気配隠蔽」をスキル「完全気配隠蔽」へ切り替えようとする。
スキル「限定気配隠蔽」をスキル「完全気配隠蔽」へ切り替えました。311DPを取得しました。これよりスキルを切るまで、毎秒2DPを取得します。
スキル「完全気配隠蔽」←New/ありとあらゆる存在から自身を隠し切る。スキル「看過」やスキル「気配察知」等の対抗スキルで見破る事は可能だが、スキルレベルや素のステータスの差が一定以上有れば、実質は不可能となる。1度発動させると、解除するまでそのまま。スキル解除・同系統スキルへの切替はソレを意識する事で成る。
スキル「限定気配隠蔽」←New/何に対して気配を隠蔽するか自身で決める事が可能。敵性存在/パーティー・プレイヤー/notパーティー・プレイヤー/NPCから選択可能。低レベル(デミゴッドの場合は使い慣れしていないと)では選択は1分野だが、成長すると(デミゴッドの場合は使い慣れしていくと)3分野までは同時選択可能になる。スキル「看過」やスキル「気配察知」等の対抗スキルで見破る事は可能だが、スキルレベルや素のステータスの差が一定以上有れば、実質は不可能となる。1度発動させると、解除するまでそのまま。スキル解除・同系統スキルへの切替はソレを意識する事で成る。
地味に新たなる項目(?)が付け足されているし、DPの獲得ポイント数もちょっと違うのだが(スキル「限定気配隠蔽」は使い慣れしていないと1分野しか選べない為、その影響がある。尚、スキル「完全気配隠蔽」は使い慣れする・しないに関係無く効果は変わらないが、代わりに【?】毎秒の獲得DPが増える)、アポロンは「イミフ」と感じる文章が無かった事と、DPの獲得方法の各効率なぞ気にしない事が重なった為に、さっと読んで確認すると、それ以上の関心を持たなかった。
(……捌けるの早いな……。)
その分(?)周囲を観察していると、渋滞列を作っている訳では無さそうだと気付く。
(もしかして、混雑しない様にしてるのか?)
アポロンの疑問的感想は正解だ。当たり前だが限られた空間で集まる多くのプレイヤーを捌くのは大変だ。リアルなら人気アトラクションに並ぶのも、人気飲食店に並ぶのも、高速道路の帰省ラッシュに巻き込まれるのも仕方無いと諦めが付くだろうが、電子空間内までそれではちょっと嫌だ。
偶にサイトにアクセスしようとしたら、サーバーが混雑していてアクセス出来ない、とか言う事がある。致し方ないと思うが、その間、お行儀良く待っている事をせず、サーバーにアクセス出来るまで別の行動を取りつつ、様子見を行う、なんて姿勢で居るのはそう珍しい事ではない。
この様にリアルの列から離れないのに(「離れる=待たない、諦める」だから仕方無いと言えばそうだが)、ネット関連での渋滞はその場に大人しく居る事をしなくても普通の事だ。
ならば電子空間での行列は?
電子空間はネットの最先端なイメージがある。そんなイメージが強い場所で、リアル同様に列で待つ……、と言うのは余り気分が良い事では無いかもしれない。そこまで気にしないと言う意見もあるだろうが、行列解消が出来ているならそちらに越した事は無いだろう。
なので実は初期エリア「始まりの広場」はかなりの数が用意されている。1つに付き集まる人数が決まっていて、そこで更に研修と称される、チュートリアル用のNPC指導員を班長とする班に振り分けられる。因みに運次第だが、運が良いか悪いかは謎だが、完全ソロで指導を受けられたりもする。
そしてチュートリアル終了は王都ファーストと称される(まんま)街にて、冒険者登録を行う事となる。もしリアフレとパーティーを組みたければ、その後になる、と言う事だ。
つまり「始まりの広場」に於いて、混雑対策が0であれば、確実にその流れが滞り、中々冒険が楽しめなくなる、と言う事だ。尚、他の初心者エリアとなる場所も常に混雑にならぬ様に色々と運営は工夫しているのである。
なのでアポロンの「ゴチャゴチャしている」と言う感想だが、それほど酷い混雑状態を差している訳ではない。今まで1人だけで広い空間を行き来していた影響である。そしてその視界の中で、NPCがプレイヤーに次々に声を掛けており、故に自身も対象になり得るとつい慌てたのだが、実の処、それは全くの杞憂であった。
と言うのも、アポロンは既にチュートリアルをクリアしているからだ。変則的だがチュートリアルはチュートリアル。彼はチュートリアルクリア済プレイヤーとして、NPCから認識されており、彼から声を掛けるまでNPCが反応を示す事はない(何らかのフラグを立てていない限りは)。それこそ、運営サイドの人間が居ればまた話は変わったかも知れないが、幸か不幸か今のこの場には居なかったのだ。
NPCからの声掛けを気にして、スキル「完全気配隠蔽」を使用しているアポロンは、それが全くの杞憂だとは知らない。DPやスキルの使い慣れが有るので、「完全なる無駄な事」では無いが、それにしてもマヌケではあった。
(……そういや此処って何かチュートリアルクエスト以外のクエストとかは無さそうだよな。)
そんな自身には気付かず、辺りを見渡し思う。周囲はテントだらけである。後、焚き火。結構な広さが確認出来るが、森やら何やらが視認出来ない。水場とかは結構な数が揃っては居るのだが。
……何となくだがループしている様な気もした。が、態々確認しようとは思わない。と言うのも先程からプレイヤー達はNPCに連れられ、一緒に行動をしているのだが(指導名目なので当然)、その姿がやがて消えるからだ。恐らくはエリア「始まりの広場」の「始まりの広場」から出て行っているからだろう(ややこしい)。
メタ的に言えば、アポロンが飛んできたエリア「始まりの広場」は、数あるエリアの1つでしかない。そこーーエリア「始まりの広場」の「始まりの広場」ーーからフィールドに向かう訳だが、そう言った仕様な為、フィールドと同空間データ上には作れなかったのだ。
まあ何にせよ、ここは安全地帯だ。覚えて貰えていたら、地味に感動するが、あのラストーーアポロンによるスキル「データ変換」の被害者ーーが築いてくれていた場所の規模大きい版である。
当然、チュートリアルクエスト用の広場なので、NPCの数はかなり多い。決して広場に残るNPCの数は0にならないようにプログラムされている。なので此処に居る彼等にはラストとは違い、空腹度とか気にする必要は無いのだ。此処に居て、此処に戻ってくる設定のNPCだけだが。
さて。アポロンが「……そういや此処って何かチュートリアルクエスト以外のクエストとかは無さそうだよな」と考えている訳だが、それが正しい保証は何処にも無い。しかし同時に間違っている保証も無い。つまりは私が考えていない。ずっと眠ってたクエストとかがある日突然、生まれたりしない、なんて言えないのだ。只、少なくとも今、現段階ではそんなものをアポロンに関わらせる気が無い、と言うだけだ。
(って事は出て行かなきゃ進みようが無いのか。)
とにかく今はアポロンにこの安全地帯から出て行って貰わなければならない。そうでないと話が進まないのである。
(さて。どうやって出て行く?)
そして後悔してたりする。
メタ的に言えば、アポロンが飛んできたエリア「始まりの広場」は、数あるエリア「始まりの広場」の1つでしかない。そこーーエリア「始まりの広場」の「始まりの広場」ーーからフィールドに向かう訳だが、そう言った仕様な為、フィールドと同空間データ上には作れなかったのだ。
こんな事を記してしまったばかりに。アポロンをどうやったら此処から出て行かせるか、頭を悩ませているのだ。アホです。アホなんです。バカですわ。バカなんですわ。マヌケですやん。マヌケなんですよ。………とか私自身にツッコミながら、一生懸命(笑)に頭を動かしているのです。
……え? NPCに声を掛けさせれば良い? いや、アポロンがスキル「完全気配隠蔽」使ってるから……、プレイヤーの誰にも「何かホラー現象起きてない!?」とか言われないってしたくないねん……。ご都合主義やろ? 「今更やん」とか言わないで………。
……え? スキル「完全気配隠蔽」の解除したら良いやん? アカン、アカン……。此処に居るプレイヤーは「初心者」プレイヤーやで。装備品とか皆おんなじなんよ。アポロンだけ別の装備品なんよ。姿見せられへん。
ん? 変身系統のスキルを作る? アカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカン!!!! それは使うとしたら、もうちょっと先や!!! 王都ファーストに付いてからや!!!! 今、それやったら、フッツーに他プレイヤーと一緒の班になるやん!!! アポロンが嫌がるやんっ!!!! ……ん? それやったらソロで指導して貰う展開(と言う程でもないけど)にしたら良いやんやって?
なので実は初期エリア「始まりの広場」はかなりの数が用意されている。1つに付き集まる人数が決まっていて、そこで更に研修と称される、チュートリアル用のNPC指導員を班長とする班に振り分けられる。因みに運次第だが、運が良いか悪いかは謎だが、完全ソロで指導を受けられたりもする。
って書いてやん、やって? いや、運次第とも書いてるやん。狙っては無理やし、そんなどうなるか分からん事を狙う程、切羽詰まってないし……、
……とか何とか逃避は此処までにして於いて、そろそろ真剣に考えようと思う。アポロンがどうするか。
(もうちょっと近付いて見るか。)
どうせ、自分は感知されない。隠蔽系統スキルを見破る事が出来る系統のスキルを所持しているNPCが居ないとは言わないし、言えないが、現段階では勿論、アポロンとの差が有り過ぎるので、この場合、どの道、無駄である。だからまずは堂々と恐れる事無くあるプレイヤー+NPCの集団に近付いた。
つまりは「取り敢えず、目に付いた集団に近付いた」と言う訳である。そんなアポロンは勿論、此処で声を掛けて、スキル「完全気配隠蔽」を切ったりはしない。単に近付いただけだ。
「ーーーーーーーーー?」
「ーーーーーー。」
「ーーー?」
「ーー。」
「ーーーーーー?」
どうでも良いのでスルーしているアポロンには、会話の内容等右から左であるには間違いない。間違いないのだが………。
「ーーー?」
「ーー。」
「ーーーーーー?」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
しかしそれでもこれは立派な盗み聞きである。NPC相手に盗み聞きと言うのもナンセンスであるかも知れないが(例えばRPG等で、2人以上で会話しているのを只管見てる【聞いている】、何て事も有るし)……。
「ーーーー、」
「ーーー、」
「ーーーーーー?」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
只、そんな仮定は無意味である。何せ最初(?)に言った通り、そこにはNPCだけでなくプレイヤーも居て、班員として、かは知らないが、色々と話をしているのだから。
「ーーーーーーーーー?」
「ーーーーーー。」
「ーーー?」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「ーーーーーー?」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「ーーーー、」
「ーーー、」
「ーーーーーー?」
「ーーーーー。」
何にせよ、勿論、アポロンの中には何の悪意も罪悪感も後ろめたさも無いのだ。
お読み頂きありがとうございます。大感謝です!
評価、ブグマ、イイネ、大変嬉しく思います。重ね重ねありがとうございます。




