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課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第一章
5/102

宝くじが当たる時

漸く本編へ!!

とはなれませんでした。まだ序章……、みたいな感じです。すみません。

 片っ端からバイトの面接を受ける。そのつもりではあったが、まさかネットでコンビニ店員募集の要項に申し込みを入れた瞬間、即時に連絡が返り、夜だと言うのにいきなり面接になるとは思わなかった。どうやらかなりの人手不足の様だ。

 まだ履歴書も作成していなかったが、店長の「ここで書けば良いよ!」と地雷臭のする声を頂いたので、「ヤバいかなあ」と思いながらも提示されている時給に惹かれ、そのまま面接を受け、まさかの今直ぐの採用を貰い、面接終了直後から仕事に入る事になる。

 その際、夜勤ベテラン勢に聞くと、かなりの連日連勤で夜勤・日勤・夕勤を通す事も少なくないらしい。今年の3月頭まではそんな事も無かったそうだが、どうやらここのコンビニの近くに大学が1つあり、その関係で大学生が多いらしく、しかしその大学生が卒業と共に次々と辞めて行ったのが原因だとか。只、通常、雇用側はそんな事にならない様に人事を考える筈で、ここの店長もその例に漏れなかったのだが……、話を聞くと、「相当に運が悪かった」、としか言い様が無い事のオンパレードだった様だ(話が全て事実ならば、と言う注釈は付くが)。

 どんな職種・職場でも言える事だが、人には向き不向きがある。そこに正職でなくバイトと言う条件が重なればどうなるか。「向かない=続かない=直ぐに、或いは少しして、若しくは他に条件の良い処を見付けて辞める」、である。続く者は卒業年次まで続き、そうでない者は早々に他所へ行く。

 去年の4月時点では年齢にバラつきがあった様だが、そこから徐々に辞めて行く者が出て、今年の2月時点で卒業生ばかり。新規が入る前に卒業生はバイトを辞めて、急激に忙しくなった店を回すに無理なシフトとなり、そこへ時給に惹かれた新規が入っても、ついていけずにあっさりと辞めるーー、と行った状態だったらしい。

(となると、暫くは掛け持ちなんて考えない方が良いかもな……。)

 掛け持ちの暇なぞ無さそうであるし、そこまで忙しいならば、給料も良くなるだろう。気になるのは健康状態だが、あのブラック企業で5年間働いた20才男性となれば、今は考える事ではないと割り切れるし、割り切るしかない。

 

 結果、彼は、新人研修も新人教育もなんぞや的な数日を過ごすのである。


 アパートに帰る暇が無い。近隣トラブルとか心配していたのが馬鹿みたいである。地理的にコンビニはアパートよりもネットカフェの方が近く、余り経済的でないと思いつつも、僅かでも休む時間を増やしたいとネットカフェに度々世話になっている。そしてそれ以上にコンビニで仮眠を取る方が多い程に、コンビニ店員のバイトは忙しい。実質、コンビニに住んでいて、ネットカフェでシャワーを借りてるくらいの生活だ。

 次郎以外の先輩達の中、同じ事をしている人間が1人2人………、それ以外は目の前にあるマンション(次郎の住む場所より良さげ)に住んでいるとかで、帰宅しているらしい。

 そんな中、新たな人手が複数やって来た。しかもかなりの経験者、即ちベテランである。何でも3月で此処を辞めた卒業生らしい。彼等は仲が良く、揃ってグループでコンビニバイトをし、卒業後も揃って同じ会社に入ったとの事。

 ……「職場では本当の友人は出来ない」、「仲が良くとも、同じ職場になると色々変わる」らしいが、この辺りはデリケートな部分だ。「興味無いと放置してたら巻き込まれた的な話はゴメンなので、深入りしない様に意識的に気を付けよう」と決める次郎。

 そんな次郎の耳に入るのは、入社した会社が倒産(計画倒産の疑い濃厚)し、無職になった為にコンビニに戻って来たとの事。それは不運を憐れむ理由であれど、それよりも「戻って来てくれたお陰で、シフトが楽になる」と言う歓びの方が大きいのは身勝手な人間の性だろうか……。

 とまあ、そんな訳で「怒号の数日の疲労を入り浸るネットカフェでの睡眠にて取るのはこれが最後かもしれない……」、等と考えたかどうか、本人も定かでは無い中、次郎は心理的にもグッスリと眠るのだった……。


 起きて伸びをする。同時にお腹がなる。廃棄弁当にありつけ無かった為、空腹の様だ。カップ麺を手に取る。久々の余裕がそれを思い出させた。

(あ、今日が当選日だ。)

 宝くじの当選番号を確認する日だ。連日の多忙で忘れていたソレを思い出せた事、気持ち的にゆっくり確認出来る事に気分が上がる。

(先行きが良い気がする。)

 だからと言って、当たっていない可能性の方が高いが、それを差し引いても悪くない気分だ。そう思いながらも折角ネットカフェに居るのだし、とスマホではなく、パソコンで検索を掛ける。結果的に持ち歩く事になっていた宝くじの封筒を横に置く。

(カップ麺を食べるのは確認した後にしよう。)

 数字の確認をしたりするのに、お湯の時間も気に掛けるのはうっかり麺が延びる、なんて事になりそうなので、お湯も入れずに脇に置く。


 そして彼はパソコン画面を見てーー、「億万長者だ」と口にする事になるのだ。


 いやはや、人生何が起こるか分からない。まさかのまさかの当たり籤。序に言えば、この幸運は考えようによっては、宝くじを買う前から始まっていた。まず、○周年記念だとかで今年は還元祭を行っていた事、関係は不明だが去年の年末にとある殿上人達の裏金が発覚した事、その隠れ蓑だと噂された(疑われた)のがこの宝くじ関連である事……、生臭い背景と都合の良いイベントが被った為とは言わないが(不明なので)その当選額や配当率が元々トンデモ状態だったのだ。

 1等の当たり番号が何と30組。2等はその倍、3等は更にその倍……、と言う始末。そして1等の額は……、何と1000億。1等の当たり籤30枚合わせての額では無い。1等の当たり籤1枚の額だ。クドいかもしれないが記す。1等の当たり籤1枚1000億。これに30枚を掛けると30000億、即ち3兆円。


 何故、態々記すか。


 次郎の30枚の内訳だからである。つまり、有り得ない確率を当てた次郎(番号指定主は彼ではない)は、ネコババした30枚の宝くじ全てが1等だった次郎は、一気に3兆円の資産持ちとなったのだ。勿論、本来の当て主の事なぞ、頭の片隅でさえ気に掛けていない。


 バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク…………。

(落ち着け、俺。)

 煩いくらいに耳に付く心臓音。動揺を抑えようと無意識に左胸に拳を当てている。スーハースーハー、スーハースーハー、スーハースーハー……、と何度か深呼吸をする。そしてもう1度、番号を確認する。もう1度、番号を確認する。もう1度、番号を確認する。もう1度、番号を確認する。もう1度、番号を確認する。もう1度、番号を確認する………、と何度か確認をし直し、どれも見間違いではないと確信する。

(確か宝くじの賞金は税金も掛からなかった筈……。)

 確定申告等のややこしい事は考えずとも良い。何も考えずに、只、普通に銀行に入れて良い。問題は何も無い。そして通帳はある。当たり前だ。5年程前より働いているのだから。あのブラック企業に入社した時から、普通に通帳を作っていた。

(良し、食べたら手続きに行こう。)

 空腹なぞ吹っ飛んでいるのが正直な処だが、あくまでそれは気分。何も食べずに暑い中を彷徨いて倒れたく等無い。浮かれるのは取り敢えず色んな意味で落ち着いた後で良い。次郎は「勝って兜の緒を締めよ」と胸中で呟き続けた。

お読み頂きありがとうございます。


☆実は宝くじ買った事が無いのですよ。「何かおかしいぞ?」と思われても、スルーして頂きたいです。お願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 『億万長者』じゃなくて『兆億長尺』だぁ!すっご!予想の300倍上行かれました!楽しいです♪
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