予想外な戦闘①
戦闘……、ええ、すみません。
イレギュラー発生!! ユニークアイテム「神の生産器」がモンスターと化しました!
モンスター・「神の生産器」が現れた!!
生産イレギュラーを告げるアナウンスに続き、まるで某RPGを彷彿させる様な一文が追加される。
「え。」
しかし某RPGとは違い、戦闘にターン等存在しない。チュートリアルと違い、選択肢も無く、アナウンスが終了した瞬間、それは襲い掛かって来る。
「うわっ!!」
体当たりして来たソレを、咄嗟に向かって左へ飛び、躱す。
「ここ安全地帯だよねぇ!?」
何事にも例外は有ります。
思わず出た文句に余り嬉しくない情報が返る。途轍も無く白々しいが、それはその例外をAIが意図的に引き起こしたと知らなければ、感じ取れないだろう。
「そうなんだねえ!! 処で何で器に胴体も手足も生えたの!? アンパンマ○のキャラかよっ!!」
顔の中身こそ無いが、元の器部分がそのまま頭に来ており、その下に首、胴体、そして胴体から手足が生えている。アポロンが言った様に顔でアイデンティティを主張するアンパン○ンシリーズのキャラクターを彷彿させない事もない。顔面の中身が無いので、もっと無機質に見えているのだが。後、全身真っ白で若干不気味だ。そのせいか、器の装飾が色系統が違うが血管みたいに見えて気持ち悪い。
そう言ったデザインです。
そうした淡々としたアナウンスが聞こえて、思わず叫ぶ。
「誰だよ、こんなキモいデザイン考えたの!? うわっ!!」
同時に再びの体当たりが来る。それを今度も向かって左に飛んで躱す。1度目の突進をアポロンが躱した際、「神の生産器」は彼の背中側へと通り抜ける事になっており、アポロンは躱した位置で半回転する形で敵性存在となった「神の生産器」と再び向かい合っていたのだが、その状態での再度の体当たり。1度目と同様に左に向かって飛んで躱した為に、1度目とは真逆の方向へ飛んで、躱した事になる。
そのまま「神の生産器」はアポロンの背中側に向かって再び通り抜ける形となる。結果、最初の位置と同じ様な塩梅となる。
デザインを考えたのは当運営のーー、
別に本気で知りたい訳でも無い、只のツッコミに対し、返答が何とも言えないタイミングで吹き抜ける。一瞬、力が抜けた様な感覚になった時、3度目の特攻が向かって来る。
「!!」
初回、2回目よりも明らかに早くなった突撃に身を躱し切れないと知覚したアポロンは、咄嗟に右足を蹴り上げていた。運良く、完璧なカウンターが入った。恐らくはそれ故だろう。アナウンスが入る。
スキル「夢幻顕在」が発動(アポロンはスルーしてますが、「意図的に使用した」or「それに近い状態設定」では無く、アポロンの行動によって、「※1条件付きアクティブスキル」が引っ張り出されたので、「使用」ではなく、「発動」になっています)しました。スキル「※2カウンター・極」により後続ダメージと追加効果「※3ノックバック」が入ります。
「神の生産器」のHPゲージが蹴りが入った段階でも減少していたのが、吹っ飛び中に入ったアナウンスと同時に、更にゲージが減少していく。そして。
ガッツーンッ!!!
洞窟の最奥の行き止まりに思いっきりぶつかる。
「うわっ、痛そ……、」
その音に思わず、身を竦める。因みに多分、これが生身の人体だったら「痛い」では済んでいない。
地形効果によりノックバック中のモンスター・「神の生産器」にダメージが入りました。効果「硬直」が追加されました。
だがそのアナウンスを聞いて、「今がチャンス!」と銃を抜く。銃爪を弾こうとして、はた、と気付く。
(これ、倒したら折角のユニークアイテム無くなるんじゃ……。)
アポロンのこの気付き、実は正しい。生産関係イレギュラーの1つである、器のモンスター化。HPゲージを0にすると、器は完全にモンスターとしての最後を迎えてしまう。即ち消滅してしまうのである。
消滅させない為にはHP1を残し、その上で再度生産スキルを使い、成功させなければならない。失敗すれば、消滅こそ免れるが、器は粉々に砕けて素材化してしまう(稀に元の器よりランクが高い素材になる事も有る)。尚、器を喪った通常の生産職は、また1から器を取得し直さなければならない。勿論、アポロンにこの辺りまでの予想は不可能だ。
※1/条件付きアクティブスキル:
ノンパッシブでありながら、プレイヤーの行動の如何次第で、不随意に発動するプログラムを組まれたスキル。その為、プレイヤーの行動後、発動する形を取っている。その性質上、プレイヤー・スキルの影響を受け易い為に、スキルの使用/不使用関係無く、条件を満たしたとAIに見なされると、発動する。
しかし大元は通常の、プレイヤーの意思で以て発動されるアクティブスキル使用状況が完璧である事(逆にスキル使用状況が最悪だと十全の効果が得られない処か、無効化するケースも有り)で、追加効果として発動するプログラムである為、スキル不使用ケースのプレイヤーは、スキルと類似する行動を取っており、今回のアポロンがソレに当たっている。
※2/スキル「カウンター・極」:
敵性存在の攻撃を返すスキル「カウンター」、若しくはそれに類似した通常攻撃を、完璧なタイミングで行う事で発動する、条件付きアクティブスキルの1つ。追加効果はダメージ増(これが後続ダメージとして入る)とノックバック。
※ノックバック効果:
攻撃した敵性存在が後ろに引き下げられるor敵性存在から攻撃を受けた自身や仲間が後ろに引き下げられる現象の事。今回は突進体当たり攻撃へのカウンターがバッチリ決まった為、「吹っ飛ばす」までに至り、更にその先にも地形オブジェクトとぶつかった為に硬直状態にまで持ち込めた。尚、このゲーム内の現状では、ノックバックに硬直効果は無い。但しこの先、変更する可能性は有る。
ユニークアイテムはそう簡単に手に入らない。それは簡単に予想出来る。ではその「ユニークアイテムが無くなってしまうかも知れない」となると、人はどう考えるか。「絶対に無くならない方法」を求めるのでは無いか。少なくともアポロンはそうだ。しかし。
そんな答えが簡単に分かる筈が無い。
だから攻撃の手を止めてしまったまま、迷順する。だが目の前のモンスターと化した「神の生産器」にはそんな心情を慮る事等無い。硬直時間が解ければ、またアポロン目掛けて攻撃して来る訳である。
フォン!
そんな音が聞こえたと同時に、ダウン硬直していた「神の生産器」が起き上がる。その形態には変化が出ていた。器の両手が筒型になっていたのだ。
「げ。」
その筒が此方に向けられる様はまるで銃口。銃を構える姿勢のまま、嫌な予感に口を吐いたアポロンを肯定するかの様に、その両筒からガンアクションのある映画やゲームで聞く様な音が鳴る。同時に飛び出す黒い塊。間違いなく銃弾だ。確信する程に動体視力が良くなっている。しかしそれに気を留める暇は無い。
「うわっ!!」
クイックドロウ、とでも呼ぶべきか。連続して撃ち出される銃弾に、反射的に銃身を振る。
スキル「夢幻顕在」を使用しました。スキル「空間湾曲」により、目の前の空間を歪ませ、攻撃を防ぎます。
チュートリアルでエンシェントスライムの攻撃を無効化したのと同じ方法だ。
「銃弾を器に入れたからか?」
時間稼ぎの成功に、思わず呟くアポロン。尚、正解である。人型モンスターっぽくなった器は体当たりの様な肉弾戦が出来るのは当然と言えばそうだが、他の特殊(?)攻撃は、器に入れられたものに影響を受ける。アポロンが銃弾を入れたから、銃弾を使った攻撃が可能になっているのだ。
(とにかく今の内に何か良い手を考えないと……、)
馬鹿の1つ覚えの如く、銃攻撃を繰り返す「神の生産器」。威力も段々増しているが、空間をまともに戻さない限り、それがアポロンに当たる事は無い。銃撃音をバックミュージックに、アポロンは考える。
(……そもそもアイテムがモンスター化ってどう言う事だ?)
文句ではない、と言い切れるかは微妙だが、それでもどちらかと言えば、考察よりの疑問が強い。「アイテムがアイテムでなくなる」、「モンスターでないものがモンスターになる」、それはどう言う事なのか。
(メタ的……、って言うのもアレかも知れないけど、要はデータに変化が出るって事……。)
ハッとする。
(データ変換……、使えるか?)
どうなるかは分からない。だが使って見る価値は有る様に思えた。
(よし。)
思い付いたなら躊躇いは無い。銃を持ったまま構えると、銃身を中心に不思議な文様みたいなエフェクトが現れる。どうやら武器を構えたままでも「データ変換」は使える様だ。故に銃爪を弾く(因みに空間が歪んでいても、自身の攻撃ならば問題なく行える)。
「データ変換!!」
スキルを叫ぶと、銃口から文様と同じ色の銃弾が飛び出した。何発も連続して撃っているが故に、「神の生産器」は足場を動かせない。だが驚くべき事にアポロンの放った銃弾に向かって、自身の銃弾を撃ち込んで行く。
アポロンが器に入れた銃弾が元になっている為、その銃弾の質は余り宜しくない。故にアポロンは自身の弾丸が負けるとは思っていなかった。
「マジかっ!?」
故に撃ち落とされた事に驚き、思わず叫ぶ。因みに撃ち落とされた原因は器自身を狙っていたが、銃弾の事は全く考えて居らず、スキル「データ変換」のターゲットに入っていなかった為だ。不意打ちが決められたかの様な扱いとなり、「神の生産器」の弾丸に負けたのだ。
(ん? いや、ちょっと待てよ?)
だがそれがヒントだった。
(防がれたって事は通じるって事じゃね?)
最初からスキル「データ変換」が通じないなら、防ぐ行為は必要無い。「神の生産器」にスキル「データ変換」が通じるかどうかも不明で、試みの意味合いも有って、使って見た訳だが、この防御と見るか、攻撃と見るかは微妙だが、何にせよアポロンのスキル「データ変換」を態々防いだと言う事は、「意味ある攻撃」だったのは確かだろう。十分な収穫と見て良い筈だ。
(魔法無効化するモンスターが態々魔法を躱したり、魔法を潰したりしないものな。跳ね返すならともかく……、あ、いや、その可能性も有るのか。)
「カウンター・極」の件が有ったからか、今のが跳ね返しの失敗だったと言う可能性も有るとアポロンは考える。先に答えを言ってしまえば、スキル「データ変換」は制御に失敗して、跳ね返る事は有っても、スキル「データ変換」を持たなければ、流石にその意図を以って、跳ね返す事は不可能なのだが。
(けど、銃でカウンターってのも何か違和感が有るよな。)
飛び道具は銃だけでない。他にも弓矢の類や投石等もある。銃ならば銃弾、弓矢ならば矢、投石ならば石、そうしたものが先に撃った銃弾に、射った矢に、投げた石に同じ類のものをぶつけて、カウンターを狙う術が有るのだろうか。
……結論から言うと、普通にスキル「データ変換」は効く為、確かにモンスター「神の生産器」が行った事は防御反応によってである。反射させる事も出来ないので、「効かないスキル」を利用したのでも無い。
だがこうした答えは現段階のアポロンには分からない。なのでもし飛び道具を使用せずに接近戦を行っていたなら、「ある飛び道具へのカウンターにその飛び道具と同じ飛び道具を使う」現象は起こっておらず、違和感を覚えなかったかもしれない。
(うん。やっぱり変だ。攻撃反射スキルが仮に有るとして、それが飛び道具で行われるってのは見た事無い……。)
大抵、そんなスキルの外見は「鏡の様な盾」みたいなのが多いイメージがある。恐らくそれだけのファンタジー(SF含む)作品に於ける「攻撃反射」がそう言った演出をされていたのだろう(多分。尚、私がパッと浮かぶのはスーファミ時代のド○クエ6のマホカ○タ演出です。……ゲームオタクやゲーム実況系ユーチューバーみたいなゲームの専門家を抜いた、今の若い世代はこの機体をご存知なのだろうか……、とふと考えてしまうくらいにはもう若くないんだなぁ、としみじみ思います)。
だが先程の、発砲したスキル「データ変換」に対しる無効化にはそうした演出が一切見受けられなかった。他作品との違い……、と言うには何とも狡い印象を受けるので、アポロンはその可能性を考慮していない。ほぼ完璧に遮断している。無意識に、だが。
(って事はやっぱ防御反応だな……。やっぱり効くんだ……。)
因みに以前にも記したが、スキル「データ変換」は本来、非常に効き辛い。その辺りはそれこそ、ドラ○エシリーズのザキの様な……、いや、多分、成功率はそれ以上に悪いが、まあ、そんなものである。だがそれだけでない。それ以上に悪い部分が有る。それは「失敗=無効化」ではないパターンも有る事だ。
プレイヤーにとって非常に残念ながら、「失敗=暴走」に繋がる事も有る、と言う事だ。さて。ここでスキル「データ変換」の概要(+おまけ)をもう1度説明させて頂く。
・スキル/データ変換:
データ改竄するスキル。隠しスキルなので、獲得にはかなり難しい条件を満たさなければならない。しかもスキル成功率は技量とスピード(モタモタしてると失敗する)以上に幸運値に作用する。幸運値作用90%+技量&スピード作用10%。にも関わらず称号で幸運値が上がらない鬼畜仕様。更には常にフレンドリーファイア機能ONでOFFに出来ない(対味方に使用する事も有り得る為)。
対敵性存在、対オブジェクト、対味方に使用可能←New(アポロンは未確認だが、スキル「データ変換」の対象となれる三種に使用したので【本来の想定されていた使い道では無いが】、追加された)
※スキル「データ変換」にて消去したのがモンスターであった場合、一部の例外を除き、モンスターのリポッププログラム自身はモンスターからは独立した状態で組まれている為、リポッププログラム内に「データ変換」反プログラムも組み込まれている。その為、モンスターのリポップには問題Nothing。
※基本、フレンドリーファイア機能はON/OFF選択可能。但しONにしている方がステータス高。
※デミゴッドには幸運値が無い為に、技量とスピードとMPのゴリ押しで成功してしまう。本来ならば、デミゴッドになる前のプレイ歴でスキル「データ変換」が見付からなければ思い付くイメージでも無く、逆にスキル「データ変換」を知っていれば、その失敗率のイメージに引き摺られる為に大きな事が起きにくい。
アポロンがプレイ歴1日にも満たないプレイヤーだったので、イメージにマイナス補正が掛からず、またラストが味方サイドで抵抗しなかったので簡単に成功してしまった。
☆データ改竄、イメージは「.○ack」のデータドレイ○です。「ようこそ、我等の地球へ」では、普通、倒せない設定の敵を倒す裏攻略等に使われる隠しスキルでした。味方サイドに故意に使用した為、「悪意の、」と言う言葉が付いた称号までもを得てしまいました。
この説明ではまだきちんと記されてはいない。それはまだアポロンがそう言った事象に遭遇していないからだ。しかしヒントは有る。それは……、下記の2つの部分である。
更には常にフレンドリーファイア機能ONでOFFに出来ない(対味方に使用する事も有り得る為)。
☆データ改竄、イメージは「.○ack」のデータドレイ○です。「ようこそ、我等の地球へ」では、普通、倒せない設定の敵を倒す裏攻略等に使われる隠しスキルでした。味方サイドに故意に使用した為、「悪意の、」と言う言葉が付いた称号までもを得てしまいました。
運営的には()内の情報は実に建前でしかない。メタ的なヒントをそうと理解されている方々がいらっしゃるならば、ゲーム「.○ack」シリーズをプレイされた経験が有る方であろうと思われる。
ゲーム「.○ack」……、読み方は「ドッ○ハック」だが、そのゲームではプレイヤー操る主人公がVRMMO(私プレイしていた頃は別の言い方だったかもしれません)内にて、転移門やモンスターにハッキングやクラッキングを行う(設定的には運営は認めていなかったが、AIが自己判断でそのプログラムツールを渡していた)事でストーリーを進めるアドベンチャーRPGアクション(私の認識です)ゲームだった。
お読み頂きありがとうございます。大感謝です!
評価、ブグマ、イイネ、大変嬉しく思います。重ね重ねありがとうございます。




