表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第三章
23/101

デミゴッドのみのステータス概要③

ステータスの異様さが分かって貰える様にするのも、この長い説明の理由の1つでした。

やっとここまで来た……。

 説明を残したステータスは「速度」と「技量」である。

『最後に「速度」と「技量」の説明に移りたいと思います。』

 同時に「速度」と「技量」の文字2つが次郎の正面にシフトして来る。

『この2つは密接に関わっておりますので、同時に行いたいと思います。』

「密接?」

 次郎は意外に感じる。大体のゲーム経験者にとって、ゲームに於いてこの2つのステータスは別物に取り扱われている印象が強いのでは無いだろうか?

『はい。確かに片方のステータスだけで攻略出来るクエストも御座いますが、ゲーム内日常に於いては、片方のステータスだけが高ければ良い行動を取れる訳では無いのです。

 これは例えばですがーー、ダンスではスピードが遅ければ遅い程にダンシング技術が必要になると言われます。勿論、スピーディーなダンスにも技量は必要でしょうが、スローなダンスに比べて誤魔化しが効く面は否定出来ません。』

「ああ、何か聞いた事はあるね。」

 だから日舞とかは非常に難しいとか言われているのを何となく思い出す次郎。トランス5万1270号は頷く(様に上下に動いた)。

『また何らかの作業に於いて、スピード仕事を行うには技量が必要になりますが、それはスピードを速めても作業要点を外さない事が肝要になるからです。「手早く丁寧に」を実践するには技量が必要不可欠なのです。』

「分かるね。まあ、それでも『効率、効率』って煩く追い立てられずに、無理無いスピードで行った方がより綺麗に仕上がるものだけど。」

 只、その「綺麗」は一種の嗜好品だ。贅沢品と言い換えても良い。大袈裟な例えだが、「超一流職人が手間隙掛けて造り上げた至高の逸品」なんぞ、出回ったりはしない。売り物に購入者が求めるラインを大きく上回るからだ。つまり一般に出回る商品は、求められるラインを下回らなければ良いのだ。そしてそのラインを下回らない程度ならば、「手早く丁寧に」で実践出来る。実践出来なければならないのだ。

『仰る通りです。つまり何らかのスピード重視な行動は失敗しないギリギリの要点を押さえる技量が必須となり、ソレが無ければ失敗します。そして逆に技量を最大に優先するにはスピードを殺さねばなりません。

 ……人間は日常生活の中で意識的・無意識的に関わらず、場面によって使い分けしていると思います。』

 言われて次郎は「確かにそうだ」と頷く。当たり前の行動であると。

『ゲーム内に於きましては、ステータスやスキル等でその使い分けを行います。プレイヤースキルが高ければ、自身で計算する事も可能でしょうし、それによるプラスアルファ要素も有るでしょうが、根本的にはプログラムによって行われます。従ってこの2つの数値は密接に関わるのです。』

 その言葉と共に速度・技量から分岐筋が現れる。しかし先が無い。数えるのが面倒になる程の数多の分岐筋だけが現れている。

『一言に「速度」、「技量」と申しましても、「()()」速度か、「()()」技量かは様々です。プレイスタイルに合わせた速度と技量をお求め頂きたいと思います。』

「って事はビックリするくらい、色んな処に関わっているのか……。」

 もしかすれば「武器の扱い」やら「魔力操作」やらにも関わって来るのかも知れない。その辺りはプレイしながら学んで行く事なのだろう。

『ご想像にお任せします。最後になりましたが、この2つも数値が高くなる程に、能力が高くなります。』

「あ、うん、分かったよ。」

『ご理解ありがとうございます。ではまずステータス言語のカスタマイズですが……、どうなさりますか? 先程も申しましたが、カスタマイズ自体は何時でも行えますが。』

「うーん、気になる処も有るからやっちゃうよ。」

『畏まりました。尚、他プレイヤーやNPCのステータスも機会が有れば閲覧する事が可能ですが、その際には、自身が行ったカスタマイズに従って翻訳される事になります。』

「ん、了解、了解。」

 と言っても大した事はしていない。変なキラキラも厨ニ臭い事もしていない。



・体力→HP

・知力→MP

・物理攻撃力→物攻

・物理防御力→物防

・魔法攻撃力→魔攻

・魔法防御力→魔防

・速度→スピード

・技量→変化なし



 と、極普通のカスタマイズだろう。速度→スピードは少し迷った。敏捷にしようかとも考えたのだが、色々な方面に関係しそうだったので、スピードにしたのだ。そしてカスタマイズが終われば、次はステータスの数値だ。

 昔のRPGではゲームプログラムにより、ステータスは完全に決められていた。時代が現在に近付いて行くと、基礎ステータスはプログラムが決めて、少量のプラスアルファを自身で決められるものも出てきた。

 そして「ようこそ、我等の地球へ」はプログラムが決めた基礎ステータスにプレイヤーが決めるプラスアルファの数値で個性を出す仕様にしていた。その為、スタート地点のステータスからすれば、プラスアルファは少量等では無い。

『お疲れ様です。では次に基礎ステータスの数値とカスタマイズ様の数値をお見せ致します。どうぞ。』



・HP:S

・MP:S

・物攻:S

・物防:S

・魔攻:S

・魔防:S

・スピード:S

・技量:S


残りポイント:B



 只、次郎のステータスはそんな仕様等、どうでも良いくらいにおかしなものだった。「今までの説明は何だった!?」となる程に……。


 ステータスは()()で表される。


 トランス5万1270号はそう言っていた筈だ。それこそ何度も何度も。しつこい程に何度も何度も。1つ1つステータスを説明する度にそう説明されていた筈だ。


 それが何故。


 それなのに何故。


 次郎の疑問はそのまま声となる。其処に例外は無い。

「何でアルファベット?」

『答えられません。』

「何で!!??」

『数値のアルファベット化はゲーム内にて、その現象が起こった際に順当に説明される事だからです。』

 此処に至って、次郎はトランス5万1270号のプログラムは、「現時点で説明すべき事」と「現時点で説明してはならない事」が割と明確にラインを引かれていると実感を持って気付いた。人間で言うなら融通が効かない部類になるのかもしれない。

「……課金しても?」

 デミゴッドと言う種族情報が解禁(課金したプレイヤーだけに教えられる事に対して、「解禁」は果たして正しい言い方なのだろうか?)されたのも課金である。つまり「現時点」には「課金前後」も含まれる。アルファベット情報も課金によって解禁(課金したプレイヤーだけに教えられる事に対して、「解禁」は果たして正しい言い方なのだろうか?×2回目)されるのでは無いだろうか?

『……何に課金されますか?』

 そうして出現したのは、先程、アバター作成時に出現した課金表ーー???だらけの種族表ーーである。確かに課金するものとして、次郎が教えられたのはコレだけだが。

「……他に課金するものって無いの?」

『ステータスに振るポイントならば課金して更に増やす事は出来ますが、スタート前から各プレイヤーとの差が出過ぎる事を避ける為に課金上限が設けられております。50ポイント分です。1ポイント500円となります。』

「……アルファベットの基準が分からなくて、何とも言えないや……。まあ、折角だから上限一杯買って置こうかな……。」

 ガックリ来た次郎だが、何かのヒントは貰えるかも知れない。

『お支払いを確認しました。50ポイントをどうぞ。』



・HP:S

・MP:S

・物攻:S

・物防:S

・魔攻:S

・魔防:S

・スピード:S

・技量:S


・残りポイント:B+50



 変化が起きたステータス。これをどう判断すべきか、次郎には分からない。

「えっと……、取り敢えずアルファベットでステータスを現す場合、大抵はGかFかEが最低ランクで、SかSSかSSSが最高ランクだよな。けどこのゲームは数値を使って現す訳で、だからアルファベットと相対する数値がある筈だけど、其処に関する情報が無い……。試しに課金して50ポイント余分に貰ったけど、さっぱり分からない。」

 ぶつぶつ呟き、そしてハッとする。

「ねえ、」

『はい。』

「もし俺が一切の課金してなければ、基礎ステータスはどうなってたか、基礎残りポイントはどうだったか知りたいんだけど……。」

 明らかに次郎のステータスは異様だ。基本から外れ過ぎている。「あれ程の長いステータス説明は何だったか!?」となる程に、説明を無駄にするものだ。だがそんな異様なステータスが基盤になる訳が無い。


 ならば、ステータスを異様にしたのは次郎自身だ。


 思い付くのはやはりデミゴッド。次郎の課金だ。ならば課金していない、極普通のステータスを見れば、何か分かるかもしれない。故の要望だったが、しかし。

『申し訳有りません。それはもう貴方様から見ると、他者のステータス扱いとなります。それは課金して頂きましても教える事は出来ません。

 どうしてもお知りになりたいのでしたら、今までの遣り取りを()()()()()頂く事になります。

 ですが恐らく()()()()()頂きますと、同じ思考をトレースする事になりますので、結果は変わりにくいかと思います。勿論、そうなりますと課金して頂きました事を含めて、全て無かった事になりますから、返金処理もさせて頂く事になります。』

 

 トランス5万1270号は物凄く怖い事を言った。トランス5万1270号は物凄く恐ろしい事を言った。トランス5万1270号は物凄く戦慄する事を言った。


 今、此処で話した記憶を失くさせる事が出来ると言ったのだ。


 だが、何故かその内容をアッサリとスルーしてしまう次郎。彼の関心は「自身のステータスを測れない」事に集約されていたのだった……。


 さて。それはともかく。彼は悩んだ。しかしその時間はそんなに掛からなかった。

「残りポイントって使わなかったらどうなるの? 貯める選択を取ったって事で良いの?」

 分からないなら、下手に使わず貯めて置くのも手だと思った。不可能とは思わなかった。

 何故ならトランス5万1270号は基礎残りポイント含めた、基礎ステータスを「次郎から見れば他者のステータス」と言ったからだ。残りポイントを使い、基礎ステータスに変化を及ぼさねばならないなら、そんな事は言うまい。現時点では使わない選択も可能な筈だ。

 そしてもし、「使わない選択も可能だが、溜めて於けない」ならば何の為に使わないのか分からない事にはせず、何らかの特典が付くなりしている筈だ。そうなるとやはり初期ステータスは基礎ステータスから外れる事になる。基礎ステータスから外れるならば、「他プレイヤーのステータス」には成り得ない。

 従って基礎残りポイントを「使わない」選択肢が有るなら、それはポイントを「貯める」事になる筈だ。

『はい、その通りです。ポイントを貯めて置きますか?』

 次郎の質問に肯定が返り、その直ぐ後に質問が続けられる。

「そうだね、貯めておくよ。」

 もし考察が間違えていて、「貯める事が出来ない」と言われたら、またもやランダムに振り分けて欲しいと頼む予定だったが、そうはならなかった。

『畏まりました。ではこれにてステータスのカスタマイズは終了しますね。続いてはジョブに付いての説明をさせて頂きます。』

 こうして爆弾を処理しないまま、次の段階へと進むのだった……。

お読み頂き、ありがとうございます。大感謝です!

評価、ブグマ、イイネ、嬉しく思います。重ね重ねありがとうございます。


ジョブ説明が終了すれば、いよいよプレイヤーネームを付けて、ゲームスタートです。チュートリアル戦闘はゲームスタート直後になる予定です。次で何とかゲームスタート出来る様にしたいと思います。……本当にテンポ悪くて申し訳有りません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ