表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金チートのボッチ生活  作者: 美香
第三章
21/98

デミゴッドのみのステータス概要①

真夜中に失礼します。目が覚めたのと、今日は休みなので、頑張りました。

 トランス5万1270号は言う。

『では次にステータスについて、お話します。』

 同時に先程まで出ていたアバターや2つの料金表が消える。代わりに幾つかの文字ーー体力・知力・物理攻撃力・物理防御力・魔法攻撃力・魔法防御力・速度・技量ーーが上から順番に踊り出た。

「あれ、日本語なんだ。」

 てっきり「HP」みたいな単語で現れると思っていた次郎はキョトンとした。

『仕様を変える事も出来ます。大事な事は御本人に分かり易い事ですから。尚、言葉のカスタマイズは何時でも出来ます。』

 何となく力が入っている様に感じる説明に気付く。

「もしかして、言語機能にやたらと力が入ってたみたいな事に関係してる?」

『はい。と言っても此方はスティル星の言語に於ける設定の副作用みたいなものですが。』

「え〜っと……、」

 良いのか悪いのか良く分からないが、取り敢えず判断する必要も無いのは事実だ。

「じゃあ、取り敢えずカスタマイズからしてみるよ。」

 意識を目の前の文字にシフトすると、トランス5万1270号から説明がされていく。

『では各項目の説明をさせて頂きます。まず全ての項目は基本、数値で現されます。数値が高い程、その項目が示す能力が高くなります。』 

「うん、そうだろうね。その辺りはやっぱり他のRPGゲームと一緒なのかな。」

 大体、この基礎部分は説明を受けずとも分かるだろう。

『はい、そうですね。恐らくゲームを遣り馴れている方が多いでしょうから、説明が要らない部分だらけかと思われますが、先入観によるご不便が0とは申させませんので、このまま説明を続けさせて頂きたいのすが、宜しいでしょうか?』

 そして恐らくは「そんなの説明されなくても分かるよ」思考になる者が多いのだろう。そしてここは思考がそのまま言葉に変わる空間なのだから、それを直に伝えてしまうし、伝わってしまう。

 次郎レベルの思考者もそれなりに居ただろうが、それでも「他のRPGゲームと一緒だ」発言は避けられないだろう。

 実際にこうしたケースは他にもあっただろうし、多分にそれを予想もしていた筈だ。故にある程度のマニュアルと言うか、申し入れの言い方は決まっているのだろう。

 副作用との言い方ではあったが、どうも言語機能、即ち言葉関連に色々と気を使っているので、ステータスも説明が無ければ、うっかりな落とし穴に嵌るかもしれない。

 そうなった時、「運営の説明不足だ!!!」とでも責められてしまうかも知れない。ソレを避ける為には説明を行う必要がある(100%防げるかどうかは不明だが。と言うより「確証が無い」と言った方が良いかも……?)。

「ああ、勿論だよ。思い込みで何かミスするのは嫌だし。そちらさんもその方が良いよね?」 

 次郎は頷いて、トランス5万1270号に水を向ける。

『ご理解、ありがとうございます。』

 上下に揺れる。実は先程から謝礼の言葉を発すると見られている光景だ。多分、人間姿のアバターならお辞儀をしているだろう。

『では引き続き、説明をさせて頂きます。』

 体力の文字が光って点滅する。

『一番上の「体力」ですが、これはプレイヤー様方が活動するに当たって、必要基盤になる項目です。此方に記された数値が0になると、死亡した扱いとなります。

 例えば敵性存在を攻撃した場合、或いは敵性存在から攻撃を受けた場合、何らかの特殊条件下では無い限りは、削り削られる数値となります。敵性存在の体力数値を削り取って0にすれば勝利、自身が敵性存在から体力数値を削り取られて0になれば敗北→死亡、と言う事ですね。

 尚、死亡した場合は死に戻りと言って、一番直前のセーブ地点に戻る現象が起こります。此方に関しましては後程、説明させて頂く機会がございますので、詳細はその折にさせて頂きます。』

 次郎は頷き、了承を伝える。

「うん、分かったよ。丁寧にありがとう。」

『此方こそ御礼、ありがとうございます。

 ……それから削られ、減少した体力ですが、回復させ、元の数値に戻す事が可能です。こちらも詳細は後の機会にさせて頂きます。

 では続きまして「知力」の項目説明をさせて頂きます。』

 光って点滅していた「体力」の項目が通常に戻り、代わりにその下の「知力」の項目が光って点滅する。

『此方の知力は魔法を使う際に必要になる数値です。魔法を使用すると減少します。また一部の装置や敵性存在の技等により、徴収される事もございます。只、こうした装置や敵性存在に関しましては、ある程度攻略を進めて頂かないと登場しませんので、今回の一連では殆ど説明致しません。ご理解の程、お願い致します。』 

 確かにMPを奪う相手と遣り合うなんて、最初の方では無いだろう。次郎は普通に納得する。

「うん、分かった。続けて。」

 先を促すと、トランス5万1270号は従う。

『魔法によって、如何程知力を使うのかは変わります。また、残存する知力数値が足りなければ、魔法を使う事は不可能です。よって数値が削られて0になれば、魔法を使う事は叶いません。』

 俗に言う、「MP切れーーRPGでお馴染み代表ならやはり、HPとMPの概念だろう。稀にMPが無く、HPで魔法も賄うゲームもある様だが(尚、そのゲームには回復魔法が一切存在しない)、そうしたゲームはマイナー部類だろう(か?)ーー」の現象である。

『知力も体力同様、削られた分を回復する手段がございます。それは後に体力回復の術と合わせて説明させて頂きます。』

 上記はさておき、RPGの全回復と言えば、大抵は宿屋での宿泊が代表だろう。

「分かった。予想は付くけどお願いしとくよ。」

『ありがとうございます。』

 次郎の言葉にトランス5万1270号は礼を返事とする。

『では続きましては、物理攻撃力のご説明を致します。物理攻撃力はその名が示す通り、物理的な手段によるーー、少々大雑把ですが、魔法スキルによる直接攻撃以外の攻撃に対する能力の事です。こちらも数値が高い程、攻撃力が強くなります。』

 「魔法スキルによる直接攻撃以外」、これは魔法には何らかのサポートスキル、即ち補助魔法があるのだろう。それにより、自身や仲間の物理攻撃力を上げる事が可能なのだろう。「補助魔法により増した攻撃力の、増加した分は魔法攻撃ではない」と説明している訳だ。

「細かいね……、ありがとう。」

 ある意味も何も、説明の意味はあるのか不明な程、当然と言える事柄だが、律儀な事にトランス5万1270号はーー、強いては運営は説明の中に入れ込んだらしい。考え難いが、絶対に居ないとは言えないだろう、完璧なゲーム初心者やRPG初心者なプレイヤーには丁寧で良いかも知れない。

「いや……、何れは完璧RPG初心者プレイヤーが出て来ると見做してるのかな?」

『そうですね、その自信がある様です。』

 まず生まれた瞬間からゲーム経験者だなんて、前世の記憶保持者の様なオカルト案件でなければ、有り得ないだろう。生まれた時は誰もがゲーム経験等無いのだ。


 ならば「初めてのゲーム」、と言う瞬間が来た時。


 その時に選択されるゲームはどんなものだろうか。幼児向けゲームも多い現在、初っ端にRPGを選ぶ事にはならない可能性が高いが、ある程度、ゲームを経験した後で、初めてRPGをプレイする時ならばどうだろうか。

 

 初めてのRPGはこの「ようこそ、我等の地球へ」。


 現在、この機体は登場したばかりで、子供の遊び道具となるにはかなり高価だ。大人が使うとしても高い買い物になるには違いないが、それでもプレイヤーは子供より大人が多いだろう。つまりRPG初心者の可能性を限りなく低くしている。

 しかし機体がもっと沢山作られればどうだろうか。売上や利益等から安易に増産される様な事は起こらないだろうが、売れると見込まれているなら、月日が経つのと比例して、数が増えていくだろう。

 特にバージョンアップした機体が登場すれば、今の機体の値は下がる筈だ。そうなると当然、購入者は増える。即ち、プレイヤーが増えると言う事だ。

 プレイヤーが増えていくと、今度は旧い機体ーーこの場合はVR機体以外のゲーム機体ーーを使う者が少なくなる。特別にレトロゲーム好きだとか、YouTu○erの配信者でレトロゲームもプレイするだとか、そう言った理由が無い限りは、新しい購入者が居なくなるだろうし、持っていても手放す人間も増えるだろう。尤もこの時点では旧い機体を子供の好きにさせる親も多いだろうか。

 しかし何にせよ、こうなればVR機体以外のゲーム機体は、その売上を落とすのは違いない。そうなればVR機体以外のゲーム機体はやがて作られなくなるかもしれない。益々VR機体は普及して行き、値段もそれに合わさった価値を妊むだろう。なればこそ。


 初めてのゲーム経験がVR機体。


 そんな人間も出てくるに違いない。しかしもし時流がそうなれば、必須になるのはソフト数の増加だろう。今はこのVR機体を生み出した会社陣営によって作られた「ようこそ、我等の地球へ」しか無いが、そんな時流の先では、此処以外の会社から、それ以外のソフトもそれなりの数が存在する様になっているだろう。


 であれば、初めてのRPGが「ようこそ、我等の地球へ」では無い可能性も高くなる。


 にも関わらず、そうした時流の先の未来で、初プレイしたRPGが「ようこそ、我等の地球へ」になる事を予見して、この説明は成されているのだ。

 それはつまりーー、時が経っても「ようこそ、我等の地球へ」の魅力は色褪せず、プレイヤーを引き付けると信じているに事に他ならない。


 それは確かに大きな自信だ。


 だがその自信を過剰であるとは言い切れまい。

『では次は物理防御力に付いて、説明させて頂きます。』

 不思議なもので、それを知るとトランス5万1270号から発せられる機械音声までもがとても堂々としていて、自信たっぷりに聞こえる。

『物理防御力とは、物理攻撃力同様、その名が示す通り、物理的な手段によるーー、少々大雑把ですが、魔法スキルによる直接防御以外の防御に対する能力の事です。こちらも数値が高い程、防御力が強くなります。』

 ……予想していたが、完全に物理攻撃力の説明の焼き直しであった。

お読み頂き、ありがとうございます。大感謝です!

評価・ブグマ、嬉しく思います。重ね重ね、ありがとうございます!


イイネ?

この機能にたった今気付きました(^_^;)。

イイネしてくださった方もありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ